登録支援機関とは?まず正しく理解しよう
外国人雇用における登録支援機関とは、在留資格「特定技能1号」で受入れを行うにあたり、義務化されている支援を委託することのできる機関を指します。重要なのは「登録支援機関は在留資格の許可を得るための申請を行えるわけではなく、その許可と引き換えに義務付けられる関連業務を行うに留まる」点です。
登録支援機関の定義と役割
特定技能1号の外国人を受け入れる企業(受入機関)は、外国人を支援するための計画の立案・実行が義務付けられています。支援計画に関しては、自社で実行できそうにない場合、登録を受けた機関に外注しても構わないとされます。ここで言う、特定技能外国人の支援計画を実行できる登録機関こそ「登録支援機関」です。
登録支援機関への委託は「義務」ではない
登録支援機関の利用は、法律上は義務ではありません。受入機関が自社だけで支援計画の全項目を実施できる体制を整えていれば、登録支援機関に委託しなくても適法に外国人を受け入れることができます。ただし、自社で対応するには一定のハードルがあります。外国人が理解できる言語での相談窓口の設置や通訳の確保、定期面談の実施と記録、行政機関への同行対応など、継続的な体制整備が求められるためです。このため、実務上は多くの受入機関が登録支援機関への委託を選択しています。
※参考:登録支援機関について(外務省)、特定技能ガイドブック(出入国在留管理庁)、特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)
特定技能外国人の受け入れで発生する業務とは
特定技能外国人を受け入れるにあたっては、雇用前および雇用中に下記のような業務が発生します。▼雇用前に発生する手続き
- 採用活動、雇用契約の締結
- 社会保険への加入
- 支援計画書の作成
- 支援計画の実施
- 在留資格の認定・変更のための申請
- 賃金の支払い、勤怠管理、社会保険関連の手続き
- 支援計画の継続的な実施
- 在留資格の更新のための申請
- 受入機関に義務づけられる定期報告、随時報告
<参考>在留資格「特定技能」とは?1号・2号の違いや申請方法をわかりやすく解説
なお、特定技能制度は今後、技能実習制度に代わる「育成就労制度」との接続を前提に運用される予定です。
制度全体の流れや違いを整理したい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
育成就労制度とは?技能実習との違い・対象分野・転籍要件をわかりやすく解説
登録支援機関が担える業務(支援計画の実施)
登録支援機関が担えるのは、入管法に定められた「支援計画」の実施に関する業務です。特定技能運用要領では、以下の10項目が支援計画の内容として規定されています。- 事前ガイダンス(入国前に労働条件・生活情報を説明する)
- 出入国時の送迎
- 住居確保支援・銀行口座開設・携帯電話契約などの補助
- 生活オリエンテーション(日本のルール・公共機関・生活習慣の案内)
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情対応(母国語での対応が必要)
- 日本人との交流促進
- 転職支援(受入れ側の都合による離職の場合)
- 定期面談の実施と記録
- 行政機関への同行支援
必ずしも登録支援機関の業務ではないもの(受入機関が担う部分)
支援計画の実施を登録支援機関に委託しても、受入機関(雇用する企業)が自ら担わなければならない業務は残ります。具体的には、下記のような業務です。- 採用活動、雇用契約の締結
- 支援計画書の作成(実施とは別)
- 社会保険への加入
- 賃金の支払い、勤怠管理、雇用中に行う社会保険関連の手続き
- 定期報告、随時報告※
なお、2025年4月1日の制度改正により、特定技能の定期報告は従来の四半期ごとから年1回へ変更されています。ただし、提出主体は引き続き受入機関側に残るため、登録支援機関に委託している場合でも提出スケジュールや新様式を確認しておく必要があります。詳しくは、特定技能の定期報告が年1回に!改正内容・新様式・提出手順を徹底解説をご確認ください。
これらは登録支援機関が代わりに行うことを想定した制度にはなっていません。委託したから全部任せられるわけではなく、受入機関としての管理責任は引き続き残ることを理解しておく必要があります。
委託先が有資格者(行政書士など)となるもの
在留資格の申請を外部に委託できるのは、行政書士などの有資格者のみです。具体的には、次のような業務が挙げられます。- 在留資格認定書交付申請のための書類作成・申請代行
- 在留資格変更許可、在留資格更新許可のための書類作成・申請代行
- 特定技能外国人の受入機関に義務づけられる定期報告、随時報告に関する対応
また、注意が必要なのは登録支援機関だけではありません。外国人材紹介会社や雇用支援サービスが、紹介料・支援費・管理料などの名目で対価を受け取りながら、在留資格申請書類の代筆や入力代行を行うケースも、行政書士法違反と判断されるおそれがあります。
外国人材の紹介・雇用支援で認められる業務範囲や、違反となりやすい具体例については、【2026年1月法改正】外国人材紹介会社・雇用支援サービスにおける行政書士法違反とはで詳しく解説しています。
登録支援機関が行政書士法に違反していたら、受入企業にどんなリスクがあるか
改正行政書士法には無資格者への罰則を強化する内容もありますが、罰せられるのは受託側だけです。実際には、登録支援機関などが万一にも行政書士違反に問われると、委託側=特定技能外国人の受入機関が間接的に不利益を被ることになるでしょう。<参考>【2026年改正対応】行政書士法改正による特定技能外国人の採用・雇用への影響とは
在留資格に関する申請が不許可になる
在留資格の申請書類は、出入国在留管理庁が審査する公的な書類です。行政書士資格を持たない者が作成した書類は、法令に基づく正確な記載がなされていないリスクがあり、審査の過程で問題視される場合があります。申請が不許可となれば、外国人本人は在留資格を取得・更新できず、日本での就労継続が不可能になります。採用に向けて進めてきた手続きがゼロに戻るだけでなく、すでに就労中の外国人が在留できなくなれば、現場の労働力が突然失われるという深刻な事態にもなりかねません。
登録支援機関の登録取消しで労働者の支援が難しくなる
行政書士法違反が発覚した登録支援機関は、出入国在留管理庁から登録取消し処分を受けることがあります。登録を失った機関はただちに支援業務を行えなくなるため、受入企業は委託先を突然失い、次の委託先が見つかるまでのあいだ入管法違反に問われる可能性すら考えられます。実際に、行政書士法違反でないものの「入管に提出する書類に虚偽の記載をした」として、登録を取り消されている支援機関の例があります(※)。同様の事例は今後ないとは言い切れず、注意しなければなりません。
※参考:特定技能支援登録、初の取り消し 名古屋の派遣会社(日経電子版)
受入企業に行政指導・改善命令が下る
見落とされがちな点として、受入企業自身も行政上の監督対象であることが挙げられます。出入国在留管理庁は受入機関に対して報告徴収・立入検査を行う権限を持っており、支援計画の実施状況や委託先との契約内容を直接確認することができます。委託先の登録支援機関が法令違反の状態で業務を行っていた場合、受入機関としての管理責任が問われることがあります。「知らなかった」「任せていた」という事情は、必ずしも免責の理由にはなりません。
外国人雇用をトラブルなく続けるためのポイント
ここまで見てきたリスクは、適切な体制を整えることで十分に回避できます。難しい対応は必要ありません。「誰に何を任せるか」を正しく整理し、契約と確認を徹底することが重要です。委託先の登録支援機関を正しく選ぶ
登録支援機関はどんな業者でも名乗れるわけではなく、出入国在留管理庁への登録が必要です。委託するときは、登録番号と登録有効期間を確認しておきましょう。出入国在留管理庁では登録支援機関の一覧を公開しており、委託前に対象機関が有効な登録を持っているかを必ず確認しましょう。
※参考:登録支援機関登録簿(出入国在留管理庁)
契約書で業務範囲を明確に区切る
口頭での確認だけでは、後からトラブルになりやすいのが業務範囲の問題です。支援委託契約書には「書類作成業務は委託業務の範囲に含まない」旨を明記し、双方が合意した形で契約を結ぶことが重要です。在留資格申請書類の作成や申請取次については、登録支援機関との契約とは別に、申請取次者の認定を受けた行政書士を自社で探すなどして、直接契約するのが安心です。
定期的に委託先の業務内容を点検する
契約を結んで終わりではなく、定期的な確認が欠かせません。登録支援機関から提出される支援報告書や定期面談の記録は欠かさず確認し、実施内容が支援計画の範囲内に収まっているかを確認する習慣をつけましょう。定期報告が年1回になったことで事務負担は軽くなりましたが、その分、年度内の記録管理や登録支援機関との情報共有が重要になります。改正後の提出期限・対象期間・役割分担については、特定技能の定期報告が年1回に変更された内容の解説も参考にしてください。
まとめ
登録支援機関は外国人の生活支援を担う頼もしいパートナーですが、在留資格に関する申請書類の作成や手続き代行は、その業務範囲に含まれません。2026年1月施行の改正行政書士法により、この境界線はより一層明確になっています。在留資格の申請手続きを依頼できる行政書士をお探しの場合は、国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」をご活用ください。外国人雇用・在留資格申請に対応した行政書士を、地域や専門分野から簡単に検索できます。