2026年の自賠責保険料はどうなる?
自賠責保険料は毎年一定のルールに基づいて見直されており、過去には値下げが続いていました。しかし2026年は様相が異なり、料金の引き上げが決まっています。いつから、いくら上がるのか、なぜ今回だけ年度途中の改定なのか、その背景から適用時期まで順を追って解説します。※参考:金融庁、自賠責保険料の6%引き上げ案を提示 13年ぶり値上げ 2026年11月から適用(一般社団法人日本自動車会議所)
13年ぶりの値上げ・約6%引き上げが決定
2026年4月17日、金融庁が自動車損害賠償責任保険審議会において約6%の保険料引き上げ案を提示し、了承されました。自賠責保険料が値上げとなるのは2013年4月改定(損害保険料率算出機構「自動車損害賠償基準料率表 2013年1月」より)以来、実に13年ぶりのことです。なお、今回の引き上げの内訳を見ると、将来の保険金支払いに充てる「純保険料率」が1.9%、保険会社の事務コストなどにあたる「社費・代理店手数料」が4.3%の引き上げとなっており、合計で平均6.2%の改定となっています。
直近の改定履歴を振り返ると、値下げが続いていたことがわかります。2017年1月改定・2020年1月改定・2021年1月改定・2023年1月改定・2024年1月改定と、いずれも料率は引き下げられてきました。特に2020年はコロナ禍による外出・移動の急減で交通事故件数が大幅に減少し、保険収支が改善したことを受けて大幅な値下げが実施されています。
ところが、その後は医療費・リハビリ費用の高騰や後遺障害補償の支払い増加が重なり、収支は悪化に転じました。自賠責保険は「ノーロス・ノープロフィット」の原則(損保会社が利益を得てはいけない)のもとで運営されているため、収支悪化が続けば料率の引き上げは制度的な必然です。今回の約6%という引き上げ幅も、こうした実態を反映したものといえます。
年度の途中(11月)に改定される理由
自賠責保険料の改定は、通常であれば毎年4月1日に実施されるのが慣例です。それにもかかわらず今回は11月という年度途中の改定になった背景には、いくつかの事情が重なっています。まず、2025年秋の衆議院議員選挙後の政治日程の影響から金融庁の審議会スケジュールが後ろ倒しになり、料率改定の方針了承が2026年4月にずれ込みました。また今回は、約14年ぶりとなる事業費等計算基準の抜本的な見直しも同時に行われたため、例年より審議に多くの時間を要したという側面もあります。
方針が了承された後も、保険会社や全国の車検場がシステム改修や書類対応に要する準備期間として約半年が必要なことから、11月1日という適用開始日が設定されました。
2026年11月以降の自賠責保険料の一覧
自賠責保険料は車種・用途・契約期間によって異なります。ここで紹介する新自賠責保険料は、損害保険料率算出機構が2026年4月30日に届け出て、2026年11月1日から適用されることになる金額です(離島以外の地域・沖縄県を除く本土の料率)※参考:自賠責保険基準料率表(損害保険料率算出機構)
自家用乗用車・普通車
自家用乗用車(3・5・7ナンバーなど)の料金は以下の通りです。| 契約期間 | 現行料金 (〜2026年10月31日始期) | 新料金 (2026年11月1日始期〜) |
|---|---|---|
| 24か月 | 17,650円 | 18,560円 |
| 12か月 | 11,500円 | 12,220円 |
軽自動車(検査対象)
軽自動車(軽自動車検査協会の検査対象車)の料金は以下の通りです。| 契約期間 | 現行料金 (〜2026年10月31日始期) | 新料金 (2026年11月1日始期〜) |
|---|---|---|
| 24か月 | 17,540円 | 18,660円 |
| 12か月 | 11,440円 | 12,300円 |
現行料金では普通車より110円安かった軽自動車ですが、新料金では普通車より100円高くなります。改定後の料率計算の結果として逆転が生じており、いずれにせよ両者の差額はわずかです。
主要な契約期間別・新旧料金一覧(25か月・36か月・37か月)
車検のタイミングによっては24か月以外の契約期間(初度登録から3年目の新車一括など)を選ぶケースもあります。主な車種・契約期間別の新旧料金は以下の通りです。| 車種 | 25か月(現行→新) | 36か月(現行→新) | 37か月(現行→新) |
| 自家用乗用自動車 | 18,160円 → 19,070円 | 23,690円 → 24,690円 | 24,190円 → 25,180円 |
| 軽自動車(検査対象車) | 18,040円 → 19,170円 | 23,520円 → 24,830円 | 24,010円 → 25,330円 |
※離島以外の地域(沖縄県を除く)の料金です。長期契約は月あたりの単価が割安になるため、新車購入時や複数年まとめて更新したい方は検討する価値があります。
バイク・二輪車(排気量別)
二輪車の料金は排気量・車種区分によって細かく設定されています。| 車種区分 | 現行料金(12か月) | 新料金(12か月) | 現行料金(24か月) | 新料金(24か月) |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 7,010円 | 7,730円 | 8,760円 | 9,640円 |
| 軽二輪自動車・検査対象(126〜250cc) | 7,100円 | 7,800円 | 8,920円 | 9,780円 |
| 一般原動機付自転車(125cc以下) | 6,910円 | 7,800円 | 8,560円 | 9,630円 |
| 特定小型原動機付自転車(電動キックボード等) | 6,650円 | 7,430円 | 8,040円 | 9,040円 |
四輪車と比較して保険料が低く設定されているのは、二輪車の事故が他者に与える損害規模(対人賠償の支払い総額)が平均的に小さいという統計データに基づくためです。とくに一般原動機付自転車(125cc以下)は改定率が約12.5%と全区分中もっとも高く、原付ユーザーへの影響が大きい点に注意が必要です。
トラック・貨物車(自家用と事業用の違いに注意)
自家用の貨物車は積載量・車体規模によって保険料が大きく異なります。さらに「自家用」か「事業用(営業用)」かによって料率区分が異なる点に注意が必要です。同じトラックでも、自分の荷物を運ぶ自家用と、荷物の運送を業とする事業用(緑ナンバー・黒ナンバー)では保険料が大きく変わります。| 車種区分 | 現行料金(24か月) | 新料金(24か月) |
|---|---|---|
| 普通貨物・自家用(最大積載量2トン超) | 30,980円 | 33,180円 |
| 普通貨物・自家用(最大積載量2トン以下) | 28,370円 | 30,710円 |
| 小型貨物・自家用(4ナンバー) | 20,340円 | 22,060円 |
| 普通貨物・営業用(最大積載量2トン超) | — | 45,570円 |
| 普通貨物・営業用(最大積載量2トン以下) | — | 39,330円 |
| 小型貨物・営業用 | — | 24,620円 |
営業用(事業用)の保険料が自家用より大幅に高いのは、運送業務に使用する車両は走行距離が長く、事故発生の頻度・規模ともにリスクが高いと評価されるためです。乗用車と比べてトラック全般の保険料が高い理由も同様で、車両の重量・積載量に比例して事故時の対人賠償リスクが高くなることが反映されています。
なお、一般貨物自動車運送事業の緑ナンバー車両はもちろん、軽バンや軽トラックで宅配配送を行うフリーランス・副業ドライバー(黒ナンバー)も事業用扱いです。
法人名義の車両や営業用車両では、車検に加えて名義変更・住所変更・使用者変更などの手続きが重なることがあります。
複数台分の書類準備や運輸支局への申請を自社で行うと、担当者の負担が大きくなり、書類に不備があれば再度手続きが必要です。車両手続きをまとめて任せたい場合は、専門家への依頼も検討できます。
自賠責保険と任意保険の違い|保険料はなぜこんなに違うのか
自動車の保険には「任意保険」と「自賠責保険」があり、2つの保険は目的・補償範囲・料金のしくみがまったく異なります。加入が義務化されている自賠責保険の保険料率上昇は、自動車の維持費を押し上げることになるでしょう。さらに、値上げの動きは自賠責保険だけではありません。任意保険についても、保険料の算定に使われる自動車保険参考純率が2026年6月に全国平均14.4%引き上げられ、2027年以降の保険料に影響する見込みです。
自賠責保険と任意保険の値上げ時期や背景、保険料を抑えるための見直し方法については、【2026年最新】自動車保険が値上げラッシュ!参考純率が14.4%の引上げへで詳しく解説しています。
ここで一度、自動車保険の基礎知識を整理しておきましょう。自賠責保険と任意保険の比較
自動車を維持する場合、自賠責保険に足りない部分を任意保険で補うかたちで万一のときの備えをするのが普通です。両者の違いを比較すると、下の表のとおりです。| 比較項目 | 自賠責保険 | 任意保険 |
|---|---|---|
| 加入義務 | 法律で義務(強制加入) | 任意(自分で判断) |
| 未加入の場合 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金・車検非対応 | 罰則なし(ただし事故時のリスクは自己負担) |
| 補償対象 | 対人賠償のみ(相手のケガ・死亡) | 対人・対物・車両・自損など広範 |
| 補償上限 | 死亡:最大3,000万円 / 後遺障害:最大4,000万円 / 傷害:最大120万円 | 保険プラン・特約によって異なる(無制限も可) |
| 保険料 | 全国一律・会社間で同額 | 会社・プラン・等級・年齢・使用目的により大きく異なる |
| 保険料の決め方 | 「ノーロス・ノープロフィット」原則に基づき料率算出機構が算定 | 各損保会社が独自に設定(競争原理あり) |
なぜ自賠責と任意保険で料金差が大きいのか
自賠責保険料は24か月で約1.5万〜3万円台(車種による)ですが、任意保険は年間数万円から20万円以上になることもあります。この差の最大の理由は、補償範囲の広さです。自賠責は「相手方の人への賠償のみ」に特化していますが、任意保険は、● 相手の車・物への賠償
● 自分の車の修理(車両保険)
● 自分自身のケガ(人身傷害)
なども補償します。
また、任意保険は「等級制度」によって事故歴のある契約者の保険料が上がる仕組みですが、自賠責保険にはこの等級制度がありません。誰でも車種が同じであれば同じ金額です。
車検のタイミングで損しない!自賠責保険料のポイント
車検費用のなかでも、自賠責保険料は「いつ手続きするか」によって適用料金が変わるケースがあります。2026年11月の改定を前に、損をしないために知っておきたいポイントをまとめました。自賠責保険料だけでなく、重量税・印紙代・整備費用を含めた「車検費用全体」を把握しておきたい方は、以下の記事も参考にしてください。普通車・軽自動車別の相場や、費用を抑えるポイントを詳しく解説しています。
普通車の車検費用はいくら?相場・内訳・安くする方法をわかりやすく解説【2026年版】
また、車検時に必要な法定費用のうち、検査手数料にあたる印紙代については、車検の印紙代はいくら?車種別・申請方法別の金額一覧で詳しく解説しています。
2026年11月以前に車検を受ければ現行料金が適用される
自賠責保険料の適用は「保険始期日」が基準です。そのため、2026年10月31日以前を始期日とする契約であれば、11月以降の改定料金は適用されず、現行料金がそのまま適用されます。車検の満了日が2026年秋頃に迫っている方は、10月末までに始期日を設定できるかどうかを確認しておく価値があるでしょう。もっとも、普通乗用車・24か月契約での現行料金(17,650円)と改定後の見込み額(約18,700円前後)を比べると、差額は1,000円程度にとどまります。
なお、車検費用全体で見ると、自賠責保険料よりも自動車重量税の方が金額に影響しやすいケースもあります。自動車重量税は車両重量・経過年数・エコカー減税の有無によって変わるため、詳しくは、車検の自動車重量税とは?金額の早見表・計算方法で解説しています。
無理な前倒しをして必要な整備や点検が疎かになるリスクを考えれば「タイミングを合わせることにこだわらず、車両のコンディションを優先する」というのもよいでしょう。
「保険の始期日」と「車検受付日」は違う
自賠責保険料の料金区分を決めるのは、整備工場やディーラーが書類を受け付けた日ではなく、新しい自賠責保険証明書に記載された有効開始日(保険始期日)です。この点はとくに「少し早めに車を持ち込んだ」というケースで混同されやすいため、注意が必要です。たとえば、2026年10月中旬に入庫して書類を出したとしても、自賠責保険の始期日が実際の車検満了日(11月以降)に合わせて設定されていれば、改定後の新料金が適用されます。
逆に、始期日が10月31日以前になるよう手続きしてもらえれば、現行料金が維持されます。
始期日をいつにするか分からない場合は、依頼先のディーラーや整備工場、または最寄りの運輸支局・軽自動車検査協会の窓口に事前に確認しておきましょう。
車検前に住所変更や名義変更が必要な場合、自賠責保険の更新だけでなく、車検証の変更や運輸支局での申請も進めなければなりません。
必要書類を揃えて平日に運輸支局へ行っても、不備や不足があればその日のうちに手続きが終わらず、後日あらためて出直すことになります。
仕事を休んで何度も手続きする負担を避けたい方は、自動車登録に詳しい行政書士への依頼も検討できます。
車検・名義変更の依頼費用を確認
(簡単30秒・確認後に依頼を判断できます。)
なお、車検証を紛失している場合や、電子車検証の内容を確認できない場合は、車検や自賠責保険の更新手続きに支障が出ることがあります。車検前に車検証が見当たらない方は、車検証を紛失した場合の再発行手続きもあわせて確認しておきましょう。
自賠責保険料についてよくある質問
自賠責保険料に関して、とくに問い合わせの多い疑問に答えました。2026年の改定に関連するものを中心に、基本的な内容もあわせて解説します。Q. 2026年の自賠責保険料は値上がりしましたか?
A. 2026年11月1日以降の始期契約から、約6%の値上げが適用されます。2026年4月17日の金融庁審議会で引き上げ方針が了承されており、11月1日以降に保険期間が始まる契約(始期契約)から新料金が適用されます。それ以前の始期契約には現行料金が適用され、自家用乗用車・24か月契約であれば17,650円のままです。13年ぶりの値上げとなりますが、引き上げ幅は約6%、金額にすると1,000円程度の差にとどまります。
Q. 軽自動車と普通車で自賠責保険料は違いますか?
A. 差はありますが、ごくわずかです。現行料金の24か月契約では、自家用乗用車(普通車)が17,650円、軽自動車(検査対象)が17,540円で、その差は110円です。12か月契約でも同様にわずかな差があるのみで、実務上は「ほぼ同額」と考えて問題ありません。
Q. 自賠責保険はどこで加入できますか?
A. 車検時に自動的に更新されるほか、単独での手続き窓口も複数あります。多くの方は車検を受けるタイミングで整備工場やディーラーが手続きを代行するため、特別な手間なく更新されています。車検を受けずに単独で加入・更新したい場合は、損保会社の代理店窓口・郵便局・コンビニエンスストア(一部チェーン)でも手続きできます。どの窓口で加入しても保険料は全国一律で変わりません。これは自賠責保険が「ノーロス・ノープロフィット」の原則で運営される強制保険であるためで、保険会社間の価格競争が存在しない仕組みになっています。
Q. 保険料が上がる前に車検を前倒しすべきですか?
A. 差額が小さいため、基本的に無理な前倒しは不要です。普通車・24か月契約での差額は1,000円前後の見込みです。車検の前倒しには整備スケジュールの調整や費用の前払いが伴い、それによって次回の車検サイクルも前倒しになる点も考慮が必要です。ただし、ちょうど満了日が2026年10月前後に重なる方は、始期日をいつに設定できるかを依頼先に確認しておくと、追加コストゼロで現行料金を適用できる場合があります。
Q. 沖縄に住んでいますが料金は違いますか?
A. 異なる別料率が設定されており、本州や北海道より保険料が低くなります。自賠責保険の料率は地域ごとに区分されており、沖縄県・奄美群島・小笠原諸島などは別の低い料率が適用されます。これは、これらの地域の過去の事故発生率や保険金支払い実績をもとに算出された地域係数を反映したものです。加入時に発行される自賠責保険証明書に実際の保険料が記載されますので、手続きの際に確認してください。
Q. バイク・原付の自賠責保険はどこで加入できますか?
A. 車検が不要な原付・軽二輪は、コンビニ・郵便局・バイク販売店の窓口でも加入できます。126cc以上で車検が必要な二輪車は、四輪車と同様に車検時に手続きされることが一般的です。125cc以下の原付は車検制度自体がないため、加入・更新を自分で忘れずに行う必要がある点に注意しましょう。
まとめ
2026年11月1日始期の契約から、自賠責保険料が6%程度値上がりします。自家用乗用車・24か月契約の場合なら、従来は17,650円だったところ18,560円(910円増)となります。なお、自賠責保険料は全国どの窓口で加入しても一律ですが、車検手続きそのものは書類の準備や陸運局への対応が意外と手間のかかる作業です。車検に必要な書類は、普通車・軽自動車・ユーザー車検・業者依頼などのケースによって異なります。事前に準備すべき書類を確認したい方は、車検の必要書類の解説記事をご確認ください。
車検と同じ時期に住所変更・名義変更・相続などが重なると、必要書類や申請先を確認し、それぞれの手続きを進めなければなりません。準備漏れや書類の不備があると、予定していた日に手続きが完了せず、平日にもう一度運輸支局へ行かなければならないこともあります。