在留資格関連の手続きで必要となる手数料とは
在留資格に関する申請手続きには、出入国在留管理庁(入管)に対して手数料を納付する必要があります。手数料は収入印紙で納付するのが基本で、具体的な金額は政令によって定められています。申請の種類や許可される在留期間によって金額が異なるため、手続き前に必ず確認しておきましょう。手数料が必要な主な手続きの種類
手数料が発生する手続きは、主に以下の4種類です。■在留期間更新許可申請
……就労ビザ・特定技能・配偶者ビザ・家族滞在など、現在の在留資格のまま在留期間を延長する手続き
■在留資格変更許可申請
……就労から永住者の配偶者等へ変更するなど、別の在留資格へ変更する手続き
■永住許可申請
……一定の条件を満たしたうえで永住資格を取得する手続き
■再入国許可申請
……一時帰国や海外渡航の際に、在留資格を保持したまま出国するための手続き(1回限りと数次の2種類がある)
外国人本人や受入れを行う人にとって関係が深いのは、在留期間更新許可申請と在留資格変更許可申請の2つです。採用後の在留期間が満了するたびに更新手続きが必要になるため、手数料は継続的にかかるコストとして考えておく必要があります。
更新手続きが必要になる在留資格には「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「経営管理」などさまざまな種類があります。在留資格ごとの特徴や更新の考え方については、在留資格とは?29種類一覧と就労ビザ・身分系ビザの違いをわかりやすく解説で詳しく解説しています。
なお、日本で長期的に生活する方法としては、在留資格の更新や永住許可だけでなく、日本国籍を取得する帰化申請という選択肢もあります。帰化申請の条件・必要書類・費用・流れを知りたい方は、帰化申請とは?条件・必要書類・費用・流れを徹底解説【2026年最新版】もあわせてご確認ください。
2025年4月1日以降の現行手数料額(出入国在留管理庁)
2025年4月1日に手数料の改定が行われ、主な手続きの金額が引き上げられました。現在(2025年4月1日以降)適用されている手数料は下の表のとおりです。| 手続きの種類 | 改定前 | 現行(2025年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 4,000円 | 6,000円 (オンライン:5,500円) |
| 在留期間更新許可 | 4,000円 | 6,000円 (オンライン:5,500円) |
| 永住許可申請 | 8,000円 | 10,000円 |
| 再入国許可(1回限り) | 3,000円 | 4,000円 |
| 再入国許可(数次) | 6,000円 | 7,000円 |
2025年4月の改定では、在留資格変更・更新は4,000円から6,000円へ、永住許可は8,000円から10,000円へと、いずれも1.25〜1.5倍程度の引き上げとなりました。この改定はすでに施行済みであり、現在の申請にはこの金額が適用されています。
在留資格更新手数料はいつから・いくら上がる?
2026年に進められている入管法改正では、手数料の「法定上限額」が大幅に引き上げられます。ただし、注意が必要なのは、引き上げられるのはあくまで上限額であり、実際に徴収される金額は法案成立後に政令で別途定められる点です。現在は「永住許可が30万円になる」といった情報が一人歩きしていますが、上限額がそのまま手数料になるわけではありません。
入管法改正案が定める法定上限額の引き上げ幅
現行の入管法では、在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可のいずれも、法定上限額は1万円とされています。今回の改正案では、この上限額を以下のとおり大幅に引き上げることが定められています。| 手続きの種類 | 現行の法定上限額 | 改正後の法定上限額 |
|---|---|---|
| 在留資格の変更許可 | 1万円 | 10万円 |
| 在留期間の更新許可 | 1万円 | 10万円 |
| 永住許可 | 1万円 | 30万円 |
実際に徴収される手数料の額は、引き続き政令に委任されます。政令では在留期間の長さに応じて段階的に金額が設定される見込みで、上限額がそのまま請求されるわけではありません。ただし、現行の6,000円〜10,000円と比べると、大幅な引き上げとなることは避けられないでしょう。
施行日は令和9年(2027年)3月31日までに政令で定める日
手数料に関する改正規定の施行日は、法案上「令和9年3月31日までの間において政令で定める日」とされています。つまり、2027年3月31日を期限として、政令によって具体的な日付が定められる仕組みです。入管法改正案は2026年4月28日に衆議院を通過しており、参議院での審議・成立後に施行日と具体的な手数料額が政令で確定します。施行日以降に許可が下りた申請から新しい手数料が適用されるため、施行直前に申請を出しても、審査中に施行日を迎えた場合は新料金が適用される可能性があります。
経済的困難がある場合は手数料の減額または免除がある
法案には、手数料の負担が経済的に困難な人への配慮として、減額・免除規定も盛り込まれています。ただし、適用範囲には条件があります。永住許可における減額・免除の対象は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子等に限られており、すべての申請者が対象になるわけではありません。
減額・免除の具体的な手続きや要件については、施行後に出入国在留管理庁から案内が出る見込みです。
在留資格更新の大幅値上げによる雇用主への影響と対応策
手数料の法定上限額が引き上げられることで、外国人スタッフを雇用する企業にとっては、これまでとは次元の異なるコスト負担が生じる可能性があります。現時点では実際の徴収額は未確定ですが、政令の内容次第では企業の人件費・採用戦略にも影響が及びかねません。(参考)外国人スタッフを雇用する企業は、手数料の値上げだけでなく、2026年6月14日から導入される特定在留カード制度にも注意が必要です。新制度の概要や企業担当者が確認すべきポイントについては、特定在留カードとは?2026年6月14日から始まる新制度を企業担当者向けに徹底解説で詳しく解説しています。
外国人スタッフの採用・受入れを進める企業は、採用時に必要な在留資格手続き全体を整理しておくことも重要です。外国人雇用時に必要となる基本的な手続きの流れについては、外国人受入れ時のビザ申請の方法|必要な手続きと書類を徹底解説もあわせてご確認ください。
更新頻度・人数によってはコスト増が無視できない規模になる
外国人スタッフの在留期間は、企業のカテゴリー区分や申請内容によって1年・3年・5年と異なります。在留期間が短いほど更新頻度が上がるため、手数料が高額化した場合のトータルコストへの影響は大きくなります。たとえば、仮に更新手数料が3〜4万円程度に設定された場合、外国人スタッフ10人分の更新手数料だけで1回の更新期に30〜40万円規模のコストが発生します。特定技能1号のように1年ごとの更新が多い在留資格では、毎年この負担が繰り返されるため、累積コストは相当な金額になりえます。
施行前に企業として整えておきたい3つの対応
まずは自社の状況を把握することが第一歩です。以下の3点を施行前に整えておきましょう。■在留期間の満了スケジュールを一覧化して把握する
……誰がいつ更新を迎えるかを可視化し、施行前後でどの案件が影響を受けるか一目でわかるようにしましょう。
■施行前の更新タイミングを前倒しできないか検討する
……在留期間の残存状況によっては、現行料金での申請が可能な場合があります。施行日ギリギリではなく、余裕を持った対応を心がけましょう。
■費用負担のルールを就業規則・雇用契約で明文化する
……更新手数料を会社が負担するか本人が負担するかについて、現行法上の定めはありません。手数料が数万円規模になることを踏まえ、社内基準を明確にしておくことでトラブルを防げます。
更新回数を減らす方法
手数料の引き上げへの最も根本的な対策は、更新回数そのものを減らすことです。そのために有効なのが、入管のカテゴリー区分の活用です。入管は申請企業を規模・信用度・法令遵守状況をもとにカテゴリー1〜4に分類しており、カテゴリーが高いほど長い在留期間(最大5年)が認められやすくなります。カテゴリー1の対象には上場企業のほか、厚生労働省の「えるぼし認定」や「くるみん認定」を取得した企業も含まれます。中小企業であっても、こうした認定の取得によってカテゴリー1相当に該当する可能性があるため、認定取得を検討する価値があります。
また、特定技能1号から2号への移行を視野に入れることも有効な選択肢のひとつです。特定技能2号は在留期間の更新に上限がなく、更新の少ない長期安定在留につながります。
在留資格更新の大幅値上げによる外国人本人・家族への影響
今回の手数料値上げは、企業の雇用コストにとどまらず、日本で生活する外国人本人や家族の家計にも直接影響します。とくに、家族全員分の更新手続きが必要な世帯や、永住申請を検討している人は、早めに状況を整理しておきましょう。配偶者ビザ・家族滞在ビザの更新負担が大幅に上がる可能性
配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)や家族滞在ビザも「在留期間更新許可」の対象となるため、今回の値上げの影響を直接受けます。現在は1人あたり6,000円(オンライン5,500円)ですが、政令で定まる新たな手数料が仮に3万円程度になると、家族構成によっては一度の更新でまとまった出費が生じることになります。たとえば、夫婦と子ども2人の4人家族がそれぞれ更新を迎える場合、現行では合計2万4,000円程度で済むところが、12万円以上になる可能性もあります。家族全員の更新時期が重なるケースでは、その負担はこれまでと比べて大きくなります。
永住を希望する場合は費用計画の見直しが必要
永住許可申請の手数料については、今回の入管法改正案で法定上限額が現行の1万円から30万円に引き上げられます。実際の徴収額は政令で確定しますが、10万円以上になると見込まれており、現行の10,000円と比べて大幅な引き上げとなることは避けられない情勢です。永住許可の取得を検討している人にとって重要なのは、施行前に申請できるかどうかを早めに見極めることです。
在留歴・収入・納税状況・素行などの要件を満たしている場合は、施行前の申請を積極的に検討する価値があります。
注意が必要なのは、不許可になった場合でも手数料は原則として返還されないという点です。準備が不十分なまま急いで申請することは逆効果になりかねないため、要件の充足状況を申請前に丁寧に確認しましょう。要件に不安がある場合は、申請取次行政書士に相談したうえで判断することをおすすめします。
また、永住許可は外国籍のまま日本に住み続ける制度である一方、帰化申請は日本国籍を取得する手続きです。永住と帰化の違いや、帰化申請にかかる費用・必要書類については、帰化申請の条件・必要書類・費用・流れの解説で詳しく紹介しています。
在留資格更新に関するよくある質問(Q&A)
手数料値上げに関するニュースが広まるにつれ「今すぐ30万円になるのか」「急いで申請すべきか」といった疑問を持つ人が増えています。ここでは、企業担当者や外国人本人からよく寄せられる質問にQ&A形式で答えます。Q. 今すぐ在留資格の手数料は30万円になりますか?
A. いいえ、なりません。「30万円」は永住許可申請に関する法定上限額であり、法案に盛り込まれた上限の数字です。実際に徴収される手数料の額は、入管法改正案の成立後に政令で別途定められます。上限額がそのまま手数料になるわけではないため「今すぐ30万円」という理解は誤りです。現時点では、法案の成立と政令の制定を待って、具体的な金額が確定する見通しです。Q. 施行前に申請すれば旧料金が適用されますか?
A. 2025年4月の改定時には「2025年3月31日までに受付した申請については、許可が4月1日以降となっても改定前の手数料が適用される」という取り扱いがありました。今後の改定でも同様の取り扱いとなるかどうかは、政令の内容によります。施行日ギリギリに申請を駆け込んでも、旧料金が適用される保証はないため、更新時期が近い方は施行日の動向を注視しつつ、早めに準備・申請を進めることが重要です。
Q. 経済的に厳しい場合は手数料が免除されますか?
A. 入管法改正案には、経済的困難そのほかの特別の理由がある者について、手数料を減額または免除できる規定が盛り込まれています。ただし、この規定の適用範囲には条件があります。永住許可における減額・免除の対象は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子等に限られており、すべての申請者が対象となるわけではありません。減額・免除の具体的な申請手続きや要件については、施行後に出入国在留管理庁から案内が出る見込みです。
Q. 企業が手数料を負担する義務はありますか?
A. 法律上、企業に手数料の負担を義務付ける規定はありません。会社が負担するか本人が負担するかは、就業規則や雇用契約の定めによります。現行の6,000円であれば慣行的に会社負担としてきた企業も、手数料が数万円規模になった場合には判断を迫られる可能性があります。トラブルを防ぐためにも、施行前に社内ルールを明文化し、外国人スタッフへ事前に周知しておくことをおすすめします。
まとめ
在留資格の変更・更新のための手数料は、2025年4月1日に4,000円から6,000円へ、永住許可は8,000円から10,000円へと引き上げられています。さらに入管法改正案では、変更・更新の法定上限額を10万円、永住許可を30万円に引き上げることが盛り込まれており、2026年4月28日に衆議院を通過しました。施行日は令和9年(2027年)3月31日までに政令で定められる予定で、具体的な徴収額も政令で確定します。手数料が大幅に引き上げられるまでの間に、企業は更新スケジュールの一覧化・費用負担ルールの明文化・カテゴリー区分の確認を進めておきましょう。外国人本人も、在留資格の更新や永住許可の申請は早めに手続きできるようにするとよいでしょう。
在留資格の手続きは要件が複雑で、書類の不備が不許可につながるリスクもあります。手数料の額が上がるほど、申請の失敗によるコストも大きくなります。スムーズかつ確実に手続きを進めるため、申請取次行政書士に相談しておくと安心です。在留資格の申請に対応した行政書士をお探しの方は、国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」をご活用ください。