【2026年1月以降】改正行政書士法で車庫証明の配置図の作成支援・代行はどう扱われるのか

【2026年1月以降】改正行政書士法で車庫証明の配置図の作成支援・代行はどう扱われるのか
2026年1月、改正行政書士法が施行されました。ディーラーや中古車販売店の現場では「配置図の作成支援や代行はどこまで許されるのか」という疑問や不安の声が上がっています。
ここでは、公的なアナウンスや日本行政書士会連合会の通知をもとに、車庫証明の配置図に関する適法・違法の線引きをわかりやすく整理します。
 
尚、法改正の全体像と対策については、以下の記事で詳しくまとめています。
【2026年施行】行政書士法改正で車検・自動車登録の代行は違法?ディーラー・販売店が知るべき違反リスクと対応策

車庫証明の配置図とは

配置図とは、自動車の保管場所(車庫)の形状・寸法を図示した書類で、車庫証明(自動車保管場所証明書)の申請に際して警察署への提出が義務付けられています。所在図と並んで申請書類の一部を構成しますが、所在図が自宅・事務所から保管場所までの位置関係を地図で示すものであるのに対し、配置図は保管場所そのものの平面図です。
配置図には、次の項目を記載する必要があります。
  • 駐車スペースの奥行き・幅(平面寸法)
  • 出入口の幅
  • 前面道路の幅員
  • 高さ制限のある駐車場(立体・機械式など)の場合は高さ寸法
  • 周囲の建物・構造物の配置
なお、所在図は一定の条件を満たす場合に省略できることがありますが、配置図の記載は省略できません。フリーハンドの手書きでも受理されますが、寸法の記載漏れや著しく不正確な図面は、警察署の窓口で補正を求められる原因になります。車庫証明手続きをスムーズに進めるうえで、正確な配置図の作成は欠かせません。
※参考:保管場所所在図・配置図の記載例(警視庁)
 
配置図以外を含めた車庫証明に必要な書類は以下の記事で詳しく解説しています。
車庫証明の必要書類は?普通車・軽自動車・賃貸・法人まで状況別に解説

改正行政書士法に基づく車庫証明の申請代行の考え方

車庫証明の申請などといった官公署に提出する書類の作成、申請の取次などは行政書士法が独占する業務です。今回の法改正は「いかなる名目を問わず、報酬を得て」業として無資格者が独占業務を担うことを引き続き禁じるもので、大きな変化はありません。とはいえ、業界慣習で行われていた申請代行業務は、今後規制が強化され請け負えなくなると考えられます。
完成済みの書類を提出・受領する行為は独占業務には含まれないため、それ自体は適法です。一方、報酬の名目を問わず配置図を代わりに作成する行為は法律違反となります。
ここでは、配置図の取り扱いに絞って、適法・違法の境界線を整理します。
※参考:行政書士制度(総務省)

【適法】本人作成の書類の提出・受領代行

行政書士が独占しているのは「書類の作成」であり、顧客本人がすでに完成させた配置図や申請書を販売店スタッフが警察署へ持参して提出する行為は、行政書士法に違反しません。書類の作成主体がどこまでも顧客本人である点が適法性の根拠です。

【適法】行政書士が作成した書類の提出代行

行政書士が作成・記名押印した配置図および申請書を、販売店スタッフが警察署へ提出する行為も適法です。書類の作成主体が行政書士であるため、販売店は独占業務を侵害しません。また、書類作成業務を行政書士に依頼したうえで、納車手続きの一環として提出代行を有償サービスに含めることも問題ありません。
さらに、申請に必要な情報(住所・駐車場の場所など)を行政書士に送信し、行政書士がその情報をもとに配置図を作成した場合も同様に適法です。書類の最終的な作成者が行政書士であれば、情報提供行為は書類作成には当たりません。

【違法】名目問わず報酬を得た状態での申請書・配置図作成

何らかの報酬を受け取っている状態で顧客の配置図を作成する行為は違反です。車庫申請代行という名目でなくても、車両を購入した顧客につき毎回無償で配置図の作成を代行するなど「車両代金などに報酬が含まれている」とみなせるケースについては、違法性が認められます。

【違法】訂正・補正を求められた場合の追記や内容修正

配置図の寸法に誤りがあったり、前面道路の幅員の記載漏れがあったりするなど、警察署の署員から補正を求められるケースは少なくありません。このような場合に、ディーラーや中古車販売店の担当者が修正を引き受けるのは違法です。
顧客から配置図などの補正について問い合わせがあったときは、行政書士にエスカレーションするか、警視庁ホームページなどに沿った一般的な案内にとどめて顧客自身に補正対応してもらいましょう。
※参考リンク:行政書士法違反となる事例等(国土交通省)自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例(日本行政書士会連合会 許認可業務部運輸交通部)
<参考記事>
【2026年施行】行政書士法改正で車検・自動車登録の代行は違法?ディーラー・販売店が知るべき違反リスクと対応策
【2026年1月以降】自動車関連手続きの代行は委任状があっても行政書士法違反になる?

車庫証明の配置図の作成は誰がやる?支援と作図代行の線引き

前節で整理した適法・違法の考え方をふまえ、実務では具体的にどのような役割分担が求められるのでしょうか。配置図の「作成主体」を軸に、現場で取りうる3つのケースを整理します。

顧客本人が配置図を作成し、販売店が提出のみ代行するケース

最もシンプルで、コンプライアンスリスクが低い運用です。顧客本人が自宅や駐車場を実測し、書式に記入した配置図などを販売店に預け、販売店が警察署への提出を代行します。
実務上の注意点は、書類が「完成した状態」で預かることです。顧客から受け取った配置図に記入漏れや寸法の空欄があっても、販売員が代わりに書き加えることはできません。書式を顧客に手渡す際に「駐車スペースの縦・横の寸法、出入口の幅、前面道路の幅員の4点は必ず記入してください」と一声かけておくだけで、不備による出戻りを大幅に減らせます。

販売店スタッフが必要情報・書式を案内するにとどめるケース

必要書類の種類や記入方法、申請の流れを顧客に説明する行為は、行政書士の独占業務にあたらず適法です。「配置図にはこの4つの寸法が必要です」「書式はこちらです」といった案内は問題なく行えます。
ただし、「案内」と「代行」の境界線には注意が必要です。顧客のそばでスタッフが口頭で数値を伝えながら、スタッフ自身が図面を書き込む行為は「書類作成の代行」と判断される可能性があります。顧客が自分でペンを握って完成させる状態を確保することが、この運用の大前提です。
また、顧客のスマートフォンやパソコンを操作して配置図を作成する行為も、実質的な書類作成とみなされるリスクがあるため避けるべきです。

配置図の作成から申請まで行政書士に依頼するケース

コンプライアンスの観点からベストな運用です。行政書士が保管場所に赴いて現地調査・寸法測定を行い、配置図の作成から警察署への申請・受領までを一括して対応します。販売店は書類作成業務に一切関与しないため、行政書士法違反のリスクがゼロになります。
顧客への案内は「配置図の作成と申請は、提携の行政書士が対応します」と伝えるだけでよく、書類の内容確認や補正が生じた場合も行政書士が直接対応します。書類不備による差し戻しや、警察署との往復対応に割いていたスタッフの工数も削減できます。
行政書士への報酬は顧客から直接支払われる形が原則ですが、販売店が一時的に立替えて後精算する場合も、書類作成費用の名目を他の費用と明確に分離して請求書に記載することが重要です。

車庫証明の配置図作成に関するよくある質問(FAQ)

現場からよく寄せられる疑問を4つに絞って回答します。「どこまでなら対応できるのか」の判断基準として参考にしてください。

Q. ディーラーが配置図を作るのは違法?

A. 違法になります。
「書類作成費用は無料」としていても、車両販売代金や納車費用など何らかの名目で報酬を受け取っている取引関係にある以上、無償とは認められません。改正行政書士法では「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」他人の書類を作成する行為が明文で禁止されており、配置図もこれに含まれます。自社のシステムを使って顧客の配置図を出力する行為も同様です。
ディーラーが取れる対応は、顧客本人に作成してもらうか、提携する行政書士に依頼するかの二択です。

Q. 本人が配置図を書いてディーラーに提出を頼むのは違法?

A. 提出の代行だけであれば違法ではありません。
行政書士が独占しているのは「書類の作成」であり、完成済みの書類を警察署へ持参して提出・受領する行為は独占業務に含まれません。顧客本人が記入を終えた配置図をディーラーが預かって提出することは適法です。
ただし、提出後に警察署から補正を求められた場合に、担当者がその場で空欄を埋めたり寸法を書き加えたりすることは書類作成に該当し、違法となります。補正が生じた際は、顧客本人に連絡して対応してもらうか、提携行政書士に委ねてください。

Q. 配置図はフリーハンドでも大丈夫?

A. 大丈夫です。
警視庁をはじめ各都道府県警察の記載例でも、手書きの図面が使用されています。定規を使った正確な縮尺図である必要はなく、保管場所の形状や配置がおおむね把握できる図であれば受理されます。
ただし、必要な寸法(駐車スペースの奥行き・幅、出入口の幅、前面道路の幅員)の記載が漏れていると補正を求められます。図の精度よりも、記載すべき数値の抜け漏れがないことのほうが重要です。顧客に自作をお願いする際は、この点を事前に案内しておくと差し戻しを防げます。

Q. 配置図の寸法はミリ単位まで正確に測る必要がある?

A. ミリ単位の精度は必要ありません。
メジャーで測ったcm単位の数値で十分です。警察署の審査において求められるのは「実態をおおむね反映した寸法」であり、数センチ程度の誤差は通常の許容範囲とされています。
ただし、保管場所が車両サイズに対して余裕のないケースでは注意が必要です。軽自動車や小型車の場合でも、駐車スペースの幅や奥行きが車両の保安基準上の制限に対してギリギリの場合は、できるだけ正確に測定することが望ましいといえます。また、機械式駐車場については高さ制限の記載も求められるため、高さ寸法の確認も忘れないようにしてください。

まとめ

2026年1月の改正行政書士法施行により「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」配置図などの書類を作成する行為は、行政書士でない者には認められないことが法律上明確になりました。業界慣習として続いていた申請代行業務の多くが、今後は違反として問われるリスクをはらんでいます。
現場での対応は、大きく3つに整理できます。
  • 顧客本人に作成してもらい、完成済み書類の提出のみを代行する
  • 書式や記入項目の案内にとどめ、ペンを握るのは顧客本人とする
  • 配置図の作成から申請まで、提携する行政書士に一任する
なかでも行政書士との提携・依頼は、コンプライアンスリスクをゼロにしながら顧客へのサービス水準を維持できる、最も確実な対応策です。現地調査や補正対応も含めて一括して任せられるため、スタッフの業務負担を増やさずに法改正に対応できます。
車庫証明の申請代行を依頼できる行政書士をお探しの場合は、国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」でお探しください。

この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。