特定技能1号の在留期間は原則通算5年
特定技能1号として働ける期間には上限があり、出入国在留管理庁の運用ルールでは通算で5年以内と定められています。この5年は単純にビザ発行日から数えるものではなく、休職中や出国中の期間まで含まれるのが問題でした。具体的には、
- 特定技能1号への移行を希望して在留資格「特定活動」で待機していた期間
- 再入国許可を得て出国していた期間(みなし再入国許可による出国も含む)
- 特定技能1号として在留していながら就労していない期間
特定技能1号の通算在留期間を延長できる2つのケース
特定技能1号の通算在留期間は原則5年ですが、一定の事情がある場合はこの5年を超えて在留できる、あるいは5年のカウント自体を延ばせるケースが用意されています。大きく分けると、2号試験に再挑戦するための特例と、本人の責任によらない事情で就業できなかった期間を除外するしくみの2つです。■特定技能2号に移行するための試験に再挑戦する場合(6年特例)
……通算在留期間を1年延長し、合計6年まで在留できるようになります。
■本人の責任によらない事情で就業できない期間がある場合(除外申立て)
……就業できない期間を通算在留期間から除外できます。
※以下、参考:通算在留期間(出入国在留管理庁)、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の一部改正について(令和7年9月30日)
特定技能1号の通算在留期間を5年から6年に伸ばせる条件とは
2025年(令和7年)に施行済の通算在留期間を5年から6年に延ばせる特例は、所定の産業分野につき、特定技能2号への移行のための試験を再受験する場合が対象です。具体的な適用条件として、以下の4点が定められています。特定技能2号への移行を検討する際は、まず1号と2号で在留期間や家族帯同、技能水準、支援義務などがどのように変わるのかを整理しておくことが重要です。両者の違いと最新の許可基準については、【2026年8月最新】特定技能1号と2号の違いは?比較表でわかる在留の条件と許可基準で詳しく解説しています。
特例の対象となる産業分野である
6年特例は、特定技能2号への移行が認められているすべての特定産業分野で一律に利用できるわけではありません。分野ごとに定められた試験の結果通知書には得点が記載されている必要があり、分野によっては対象となる試験の発行日や受験日に条件が設けられています。2026年8月時点で出入国在留管理庁が対象としている特定産業分野は次のとおりです。- 介護分野
- ビルクリーニング分野
- 工業製品製造業分野
- 建設分野
- 造船・舶用工業分野
- 自動車整備分野
- 航空分野(空港グランドハンドリング業務)
- 宿泊分野
- 農業分野
- 漁業分野
- 飲食料品製造業分野
- 外食業分野
また、航空分野のうち航空機整備業務についても、申請受付に対応する結果通知書の種類を検討する時期であるとして、現在のところ対象に含まれていません。
特定技能の産業分野については、こちらの記事で詳しく解説しています→
【2026年最新】特定技能の対象分野は全19分野に拡大!最新の受入れ要件・注意点を徹底解説
2号試験で合格基準点の8割以上を得点している
この特例を利用するうえで最も重要な条件が、特定技能2号への移行に必要な試験で合格基準点の8割以上の得点を取得していることです。ここで注意したいのは、単に試験に不合格だったという事実だけでは対象にならないという点です。あくまで合格まであと一歩だったという客観的な証明が求められており、この得点率は試験結果通知書などの疎明資料をもとに確認されます。
所定事項につき本人が誓約する
得点率の条件を満たしたうえで、本人には書面での誓約が求められます。誓約すべき事項は下記3項目に渡ります。- 必ず再受験する意思がある
- 試験に合格した場合は速やかに特定技能2号への変更申請を行う
- 再受験でも不合格だった場合は速やかに帰国する
再受験で特定技能2号の試験に合格した後は、1号から2号への在留資格変更許可申請を行う必要があります。変更申請の流れや必要書類、企業側で準備すべき内容については、特定技能2号の申請|1号からの変更手続き・必要書類・流れを解説で詳しく解説しています。
企業側に雇用継続と支援の用意がある
特例の適用には、雇用する企業側の要件も欠かせません。まず、延長された期間中も引き続き当該外国人を雇用する意思を示す必要があります。加えて、試験合格に向けた指導や研修を行う体制を整えていることも求められます。具体的には、業務に関連する勉強会の実施や、学習時間の確保といった取り組みが想定されます。単に雇用を継続するだけでなく、企業と本人が一体となって合格を目指す姿勢そのものが、この制度を利用するための前提になっているといえるでしょう。
通算在留期間5年のカウントから除外できる期間とは
通算在留期間は原則として5年ですが、本人の責任によらない事情で活動できなかった期間については、申立てを行うことでこの5年から除外できるしくみがあります。ここでは対象となる3つの期間を確認していきます。やむを得ない事情で再入国できなかった期間
特定技能1号の外国人が再入国許可を得て一時的に出国したものの、感染症拡大防止のための上陸拒否措置など、本人の意思では対応できない事情によって日本に戻れなくなることがあります。上記のような期間についても在留資格自体は継続しますが、本人に非がない事情であるため、5年の通算在留期間には含めない扱いが認められています。
産前産後休業・育児休業期間
特定技能1号の外国人が日本で出産や育児を経験するケースは珍しくなく、こうした休業期間についても通算在留期間から除外する制度が設けられています。ここでいう産前産後休業とは労働基準法に基づくもので、産前6週間、多胎妊娠の場合は14週間、産後8週間が対象です。
育児休業については育児・介護休業法に基づき、子が1歳に達するまでの期間が基本となりますが、保育所に入所できないなどの事情がある場合は1歳6か月まで、再延長により2歳までの期間も対象に含まれます。
病気・怪我による休業期間
病気や怪我によって長期間就労できなかった期間も、一定の条件のもとで通算在留期間から除外できます。対象となるのは、休業期間が原則として1年以下の場合です。ただし、労災による病気や怪我が原因である場合は、その特殊な事情を考慮して3年以下まで認められます。
注意したいのが、休業期間は連続して1か月を超えるものである必要があるという点です。体調不良で数日間自宅療養したケースや、通院のために断続的に業務を休んだようなケースは、この除外の対象にはなりません。
特定技能1号の通算在留期間に関する特例を利用する方法
除外申立てや6年特例は、対象になるだけでは自動的に適用されるものではなく、決められた時期に必要書類をそろえて申請する必要があります。ここでは申請のタイミングと、ケースごとに求められる書類を確認していきます。申請時期・申請の方法
通算在留期間に関する特例を申請する時期は、期間満了の概ね3か月前までです。該当する在留諸申請とあわせて申立てを行わなければならず、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請のいずれかにあわせて手続きを進める形になります。ここで注意したいのが、この申立ては本人からの申請があって初めて審査されるという点です。産休や育休、病気による休業の事実があっても、何もしなければ通算5年のカウントはそのまま進んでしまいます。申請が遅れて通算在留期間の満了直前になってしまうと、書類の準備や疎明資料の収集が間に合わず、原則どおり5年で在留期限を迎えてしまうおそれがあります。
また、2026年現在、在留関係の手続き(在留期間更新など)の手数料値上げが開始されようとしています。申請の際は、こちらの記事を参考に予算を想定して下さい→
【2026年10月1日から】在留資格の変更・更新の手数料は値上げ後いくらになる?新料金と企業の対応策
ケース別の必要書類
申立ての内容によって、提出が求められる疎明資料は異なります。いずれのケースも、通常の在留諸申請に必要な書類に加えて、下記の資料を追加で提出する形になります。| ケース | 主な必要書類 |
| 2号試験不合格 |
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| 再入国できなかった期間 |
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| 産前産後休業・育児休業 |
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| 病気・怪我による休業 |
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特定技能外国人の在留期間を管理するときのポイント
除外申立てや6年特例をスムーズに活用するには、日頃からの管理体制が欠かせません。制度が対象になっていても、準備が整っていなければ恩恵を受けられない場合もあるため、企業側が押さえておきたい3つのポイントを紹介します。各種証明書類を早期に取得する
除外申立てや6年特例の申請では、母子健康手帳の写しや医師の診断書、試験結果通知書といった疎明資料の提出が求められます。こうした書類は、休業や試験受験の時点からある程度時間が経ってから慌てて集めようとすると、発行に時間がかかったり、必要な情報が記載された書類がすでに手元にないといった事態になりかねません。産休や育休を取得したタイミング、病気で休業したタイミング、2号試験を受験したタイミングなど、その都度関連書類を整理して保管しておくことで、いざ申請が必要になったときにもスムーズに手続きを進められます。人事担当者としては、外国人材ごとに書類を一元管理するファイルやフォルダを用意しておくとよいでしょう。
休業した場合は理由を明確化する
産前産後休業や育児休業、病気・怪我による休業は、いずれも通算在留期間から除外できる可能性がある一方で、その理由や期間が曖昧なままでは疎明資料としての説得力に欠けてしまいます。休業を取得した際には、いつからいつまで、どのような理由で休業したのかを社内の記録として明確に残しておくことが重要です。とくに病気や怪我による休業は、休業期間が連続して1か月を超えていることが条件となるため、通院や自宅療養の期間がどの程度継続的だったのかを正確に把握しておく必要があります。あいまいな記録しか残っていないと、後から除外申立てを行おうとしても事実関係の証明が難しくなってしまいます。
支援体制(登録支援機関等)の整備状況を確認しておく
試験再受験のための6年特例を利用する場合、企業側には試験合格に向けた指導や研修の体制を整えていることが求められます。自社に登録支援機関としての機能がある場合はもちろん、外部の登録支援機関に支援を委託している場合でも、その支援内容が試験対策や日本語学習のサポートまで含んでいるかを確認しておくとよいでしょう。支援体制が形式的なものにとどまっていると、いざ6年特例を申請する段階になって、指導や研修の実態を示す資料が不足してしまう可能性があります。日頃から本人の学習状況や面談記録を残しておくことが、申請時の裏付け資料としても役立ちます。
まとめ
特定技能1号の在留期間は原則として通算5年までですが、2025年9月30日の改正によって、2号試験にあと一歩及ばなかった外国人を対象とする6年特例が新設されました。加えて、産休・育休や病気・怪我による休業、やむを得ない事情での再入国不能期間についても、申立てを行うことで通算在留期間から除外できるようになっています。いずれの制度も、対象条件を満たしているかどうかの判断や、疎明資料の準備、申請タイミングの見極めが煩雑になりやすい分野です。自社の外国人材が該当するかどうか判断に迷う場合や、申請書類の準備に不安がある場合は、早い段階で専門家に相談しておくと安心です。
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