JESTAとは?電子渡航認証制度のしくみ・対象者・導入時期をわかりやすく解説

JESTAとは?電子渡航認証制度のしくみ・対象者・導入時期をわかりやすく解説
JESTAとは、日本が2028年度中の導入を目指している電子渡航認証制度のことです。ビザなしで来日できる国の旅行者を対象に、入国前にオンラインでスクリーニングを行う新しいしくみで、外国人スタッフの雇用・招聘を行う企業の担当者にとっても「まったく無関係」というわけではないものです。
 
ここでは、出入国在留管理庁の法改正案をもとに、制度の概要から対象者・認証の流れ・導入スケジュールまでわかりやすく解説します。
 
外国人を就労目的で受け入れる場合は、JESTAではなく在留資格の手続きが必要です。詳しくは「在留資格認定証明書の申請方法」を解説した記事をご確認ください。

この記事のポイント

  • JESTA=日本版ESTA(電子渡航認証制度)
  • 対象:ビザ免除で来日する外国人
  • 導入時期:2028年度中予定
  • 詳細(手数料・申請方法):未確定

JESTAとは?電子渡航認証制度の基本

JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization/電子渡航認証制度)とは、外国人が日本に入国する前に、オンラインで事前の認証を受けることを義務づけるものです。
同様のしくみには、米国のESTA(エスタ)があります。米国ESTAはアメリカへ渡航する外国人が事前に電子渡航認証を受ける制度ですが、JESTAはその日本版にあたります。「日本版ESTA」と呼ばれるのはこのためです。
JESTAには、大きく2つの目的があります。ひとつは、不法残留などを企図する外国人を入国前の段階でスクリーニングし、日本の出入国管理を厳格化することです。もうひとつは、認証済みの渡航者に対してはウォークスルー型ゲートを活用することで、空港での上陸審査の手続きを円滑にすることです。セキュリティの強化と、入国者の利便性向上という両面を兼ね備えた制度といえます。
※参考:出⼊国管理及び難⺠認定法及び出⼊国管理及び難⺠認定法第⼆条第五号ロの旅券を所持する外国⼈の上陸申請の特例に関する法律の⼀部を改正する法律案概要(出入国在留管理庁)

JESTAの対象者は?

JESTAの対象となるのは、ビザなしで短期滞在する訪日外国人です。就労ビザや留学ビザを持って来日する外国人は対象外であり、いまのところ外国人を雇用や受入れを行う立場の個人・法人にはそれほど関係しません。

対象となる3つのカテゴリー

入管法改正案では、JESTAの認証が必要となる外国人として、以下の3つのカテゴリーが定められています。
  1. 査証(ビザ)を必要としない外国人で、日本に短期間滞在して観光などの活動を行おうとする者
  2. クルーズ船(指定旅客船)に乗って入港し、観光のために日本に上陸することを希望する外国人など
  3. 船舶などの乗継ぎのために一時的に日本に入国する外国人の一部
訪日外国人の大多数は①に該当します。観光や短期商用で来日する査証免除国の外国人は、JESTA導入後は渡航前に認証を受けることが入国の条件となります。

そもそも査証(ビザ)と在留資格はどう違う?

JESTAの対象者を理解するうえで、査証(ビザ)と在留資格の違いを押さえておく必要があります。似た言葉として混同されがちですが、両者はまったく異なる概念です。
査証(ビザ)とは、外国人が日本に入国するための事前許可を確認する書類で、外務省や在外公館が発行します。一方、在留資格とは、日本に在留できる活動内容や身分の種類のことを指し、就労・留学・永住などがその代表例です。
短期滞在と就労ビザでは手続きが大きく異なります。外国人の雇用を検討している場合は、ビザ申請の流れと必要書類もあわせて確認しておきましょう。

就労ビザ・留学ビザ等の保持者は対象外

技術・人文知識・国際業務や特定技能、留学などの在留資格を持って来日する外国人は、JESTAの認証対象にはなりません。これらの外国人はすでに査証審査を経て入国するため、JESTAによる事前スクリーニングの対象から外れます。
ただし、注意が必要なのは「短期商用」のケースです。たとえば、ビザ免除国の外国人を商談や視察のために短期間招聘する場合、その外国人はビザ免除で来日することになるため、JESTA導入後は事前の認証取得が必要になります。
採用・雇用とは別に、ゲストとして外国人を招く機会のある企業も、この点を見落とさないよう注意が必要です。

「短期滞在」からの在留資格変更は原則不可

外国人の採用実務でとくに陥りやすいのが「とりあえずビザなしで入国させてから、国内で在留資格を変更すればよい」という誤った認識です。しかし、短期滞在(ビザ免除入国を含む)で入国した外国人は、原則として国内で就労目的の在留資格へ変更することはできません。
外国人を正式に雇用するためには、まず会社側が在留資格認定証明書(COE)を事前に取得し、外国人本人が本国の日本大使館または領事館でビザを取得してから来日するのが正規の手順です。
JESTA導入後も、この原則は変わりません。JESTAで認証を受ければ就労できるというわけではなく、あくまで短期滞在のスクリーニング制度である点を、企業の人事・総務担当者は正確に理解しておく必要があります。

JESTA認証の流れ(申請から上陸まで)

JESTAでは、外国人が日本に入国する前に認証を受けることが義務づけられます。認証は渡航者本人がオンラインで申請するものですが、航空会社などの運送業者にも新たな義務が課される点が、これまでの制度にはない大きな特徴です。

JESTA認証手続きの流れ(改正後)

改正後の入国手続きは、以下の流れで進みます。
  1. 外国人本人が、認証のための情報をオンラインで提供する
  2. 出入国在留管理庁長官が認証を実施する
  3. 航空会社などの運送業者が、チケット発行前に予約者の氏名等を入管庁長官へ報告する(報告義務)
  4. 入管庁長官が運送業者に対し、「入国させることが相当か否か」を通知する
  5. 「相当である」旨の通知を受けた外国人のみ、運送・チケット発行が行われる
  6. 入国後は、ウォークスルー型ゲートで記録が行われ、旅券への上陸許可の証印が省略される
現行の制度では、査証免除対象の外国人はチェックイン手続きを経てそのまま搭乗でき、入国審査は日本到着後に行われます。改正後は、渡航前の認証と運送業者による報告・情報連携が加わり、問題のある渡航者を「日本に乗せる前」の段階でブロックできるしくみになります。

JESTA認証の条件と禁止事項

JESTA導入後は、認証を受けていることが上陸のための条件となります。認証も査証も受けていない外国人の入国は禁止され、出入国管理が大幅に厳格化されます。
また、米国ESTAと異なる重要な点として、JESTAは新規入国のたびに毎回認証が必要です。米国ESTAは一度取得すれば2年間有効で繰り返し使用できますが、JESTAはその都度認証を受ける仕組みとなっています。頻繁に日本に来日する外国人や、定期的に外国人ゲストを招く企業にとっては、渡航ごとの手続きが必要になる点として認識しておく必要があります。
運送業者(航空会社・船会社等)に対しては、入管庁長官から「入国させることが相当でない」旨の通知を受けた場合、その人物を日本へ入らせてはならない義務(運送禁止義務)が課されます。義務違反には過料の制裁も設けられており、運送業者にとっても無視できない制度変更といえます。

JESTAの手数料

手数料は、認証を受けようとする際および認証を受ける際に、政令で定める額が徴収されます。現時点では具体的な金額は政令に委任されており、まだ確定していません。
参考として、米国ESTAの手数料は約21米ドル(約3,000円程度)です。JESTAの手数料の額を定めるにあたっては、実費のほか、出入国・在留管理に要する費用の額や、諸外国における同種の手数料の額が勘案されるとされています。正式な金額は、今後の政令で明らかになります。

JESTAの導入スケジュール

JESTAはすでに法改正の手続きが始まっており、着実に導入に向けて進んでいます。企業の人事・総務担当者は、JESTA本体の施行時期だけでなく、先行して施行される在留資格手数料の値上げについても、早めに把握しておく必要があります。

法改正から施行までのタイムライン

現時点でのスケジュールは以下の通りです。
時期内容
2026年3月10日入管法改正案を閣議決定・衆議院に提出
2027年3月31日まで在留許可手数料の改正規定を施行(政令で定める日)
2029年3月31日までJESTAの認証制度を施行(政令で定める日)≒2028年度中の運用開始を目標
JESTAの認証制度の施行日は「令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日」とされており、政府は2028年度中の運用開始を目標としています。一方、在留資格手数料の改正規定は「令和9年(2027年)3月31日まで」と、JESTAより早い段階での施行が予定されています。つまり、外国人を雇用している企業にとっては、JESTA導入よりも先に手数料の値上げが現実の問題として迫ってくる点に注意が必要です。

在留資格手数料の値上げも同時に要確認

今回の入管法改正では、JESTAの創設と並行して、在留資格に関する手数料の上限額も大幅に引き上げられます。現行の入管法では、在留資格の変更許可・在留期間の更新許可・永住許可の手数料の上限はいずれも1万円とされていますが、改正後はそれぞれ以下のように変わります。
  • 在留資格の変更許可:上限10万円
  • 在留期間の更新許可:上限10万円
  • 永住許可:上限30万円
ただし、これはあくまで「上限額」の引き上げです。具体的な手数料の額は引き続き政令に委任されており、在留期間などに応じて定められます。値上げ幅が大きいだけに、外国人スタッフを多数雇用している企業は、年間の手続きコストの見直しが必要になるでしょう。
<参考>在留資格更新の手数料値上げをわかりやすく解説|2026年の施行内容・新料金・企業の対応策

JESTA導入に向けて外国人の雇用主がとるべき対応

JESTAはまだ施行されていませんが、法改正の手続きはすでに始まっています。「導入されてから考える」では対応が後手に回るおそれがあります。今から社内の体制を整えておくことが、スムーズな移行につながります。

受け入れフローの見直し

ビザ免除国籍の外国人を商用・研修などの目的で短期招聘している企業は、受け入れフローの見直しが必要です。JESTA導入後は、渡航者本人が事前にオンラインで認証を受けることが入国の条件となるため、これを受け入れ手順の中に明示的に組み込む必要があります。
また、航空会社などの運送業者から入管庁への情報連携・通知プロセスが新たに加わることで、チケット発行までに要する時間が現行より長くなる可能性があります。従来の感覚で渡航直前に手続きを進めようとすると間に合わないケースも出てくるため、余裕を持ったスケジュール設計が求められます。

外国人従業員・招聘ゲストへの情報提供

JESTA導入後に混乱が生じやすいのは、制度の存在を知らない外国人側です。とくにビザ免除国の出身者は、これまで事前の電子申請なしに日本へ渡航できていたため、新たな手続きが必要になることを知らないまま渡航しようとするケースが想定されます。
招聘する企業としては、短期商用での来日を予定している外国人に対して、渡航前にJESTA申請が必要である旨を事前に案内しなければなりません。「うちの会社の外国人スタッフは就労ビザを持っているから関係ない」と思っていても、視察や商談で短期訪問する取引先の外国人ゲストが対象になる場合もあるため、入管手続きは随時確認しておきたいところです。

まとめ

JESTAは、日本が2028年度中の導入を目指す電子渡航認証制度です。査証免除対象の外国人を対象に入国前のスクリーニングを行うもので、就労ビザや留学ビザで来日する外国人は原則として対象外となります。ただし、ビザ免除国の外国人を短期商用で招聘するケースでは、渡航者本人のJESTA認証が必要になる点に注意が必要です。
在留資格申請・ビザ手続きでお困りの際は、申請取次の資格を持つ行政書士への相談をおすすめします。国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」では、在留資格・ビザ申請を専門とする行政書士を地域・分野で絞り込んで検索できます。手続きに不安を感じたら、ぜひ専門家への相談を検討してみてください。

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この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。