【2026年1月法改正あり】自動車関連業・運送業が知っておきたい行政書士法違反の事例

【2026年1月法改正あり】自動車関連業・運送業が知っておきたい行政書士法違反の事例
2026年1月、行政書士法が改正され、無資格者による書類作成への罰則が強化されました。自動車販売店や整備工場、運送業者が「サービスの一環」として当たり前に行ってきた申請書類の代行が、法律上は違反にあたる可能性があります。
 
ここでは、自動車業界に関わる人が知っておくべき行政書士法違反の定義と、具体的な違反例を解説します。

行政書士法違反とは何か

行政書士法第1条の3第1項は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を下記3要件のもと作成するのが行政書士の職務であると定めています。言い換えると、これらの要件が揃う業務を無資格者が行うのは行政書士違反です。
  1. 他人の依頼を受けること
  2. 報酬を得ること
  3. 業として行うこと
上記の「報酬」や「業として」の解釈は思いのほか広く、自動車販売の現場では気づかないうちに3つの要素を満たしてしまうケースが少なくありません。

自動車業界に関係する具体的な違反行為

行政書士法が禁じる「書類作成」は、自動車業界の日常業務と深く重なっています。車庫証明・登録手続き・車検・運送業許可など、販売や整備のサービスとして当然のように行ってきた業務が、実は違反に該当するケースが少なくありません。ここでは業務別に具体的な違反行為を整理します。
自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例行政書士法違反となる事例等(国土交通省)

車庫証明申請で違反となるケース

車庫証明(自動車保管場所証明)の手続きに関し、日行連は、自動車販売会社の販売員が違反となる行為として、次の例が明示しています。
  • 自社が販売した車両の車庫証明申請書を販売員が代わりに作成する
  • 自社のデーターベースを利用して車庫証明申請書を作成する
  • 申請書類を警察署に提出した後、車台番号の追記や記載内容の訂正・補正を行う
つまり「書類を届けるだけ」であれば問題ありませんが、一文字でも記入・修正・追記した時点で「書類の作成」と評価されるリスクがあります。

自動車登録手続きで違反となるケース

移転登録・変更登録・新規登録などの自動車登録申請書についても、日行連の通知では、車庫証明と同様のロジックで違反例が挙げられています。
  • 販売員が自社販売車両の自動車登録申請書を代わりに作成する
  • 自社のデーターベースを利用して自動車登録申請書を作成する
  • 運輸支局等への提出後に追記・訂正・補正を行う
また、国土交通省の見解(行政書士法違反となる事例等)では、自動車登録申請書の作成は「自動車の販売に付随する真に必要な範囲内の行為」には当たらないと明確に回答されています。「販売業務の一環だから許容される」という解釈は法的に認められません。

継続検査(車検)で違反となるケース

車検(継続検査)において、自動車整備工場が指定工場として車検を実施する場合でも、これらの申請書類を顧客に代わって作成・記入すると行政書士法違反となる可能性があります。たとえば、次のような例です。
  • 整備工場のスタッフが、顧客の継続検査申請書や重量税納付書を代わりに記入・作成する
  • 車検証の情報をもとにシステムや自社データベースから申請書のデータを作成・入力する
  • 申請書類に誤りがあった際、整備工場のスタッフが運輸支局の窓口で訂正・補正を行う
かつては「整備工場が申請書類を作成し、提出のみ行政書士に依頼する」という運用が業界内で広く行われていましたが、この場合も書類を作成した事実は変わりません。何らかの形で人件費などの対価が発生している以上、違反と評価されるリスクがあります。

運送業の許認可申請で違反となるケース

トラック販売会社や運送事業に関連する業者が、顧客の運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可申請・増車申請・事業用連絡書の取得などを代行するのも、行政書士法違反となる恐れがあります。具体的には、次のような違反例があります。
  • トラック販売店のスタッフが、販売した車両の増車申請に必要な事業計画変更届出書や事業用自動車等連絡書を作成する
  • 運送業コンサルティング会社の担当者が、顧客の運送業許可申請書類を「サポート」と称して作成・入力する
実務では、トラックの販売営業担当者が、販売サービスの一環として増車申請や事業用連絡書の取得を「無償で」代行するケースがあります。しかし、仮に社内で費用を請求していなくても、その営業担当者の人件費は会社が負担しており、実質的に対価が生じていると判断される可能性があります。

行政書士法違反を回避するためのポイント

行政書士法違反は「知らなかった」では済まされません。現場での誤解を防ぐため、今回の法改正で加わった「いかなる名目によるかを問わず」と「業として」という2つのキーワードを正確に理解しましょう。

「いかなる名目によるかを問わず」を正しく理解する

行政書士法第19条第1項では、第1条の3で定める行政書士の独占業務につき、無資格者が行うことを禁止しています。上記の条文は2026年1月1日施行の改正行政書士法で見直され、無資格者が報酬を得ることにつき「いかなる名目によるかを問わず」という文言が加えられました。
ここで言う名目とは、会費、手数料、コンサルタント料などとのように、書類作成業務とは明示しない形での受領方法を指します。作成費用を無料としていても「販売代金や整備代金に報酬が含まれている」と判断されると、行政書士法違反に問われる恐れがあります。

「業として」を正しく理解する

行政書士法第1条の3が定める独占業務は「業として」行う場合に適用されます。「業として」とは、不特定多数の依頼に対して、反復・継続的に行うことを指します。ただし、この解釈は思いのほか広く、「1回限りだから問題ない」という判断は危険です。
自動車販売店の現場では、すべての販売案件で同じフローとして登録書類や車庫証明を作成しているケースが多く、このような場合は明らかに「反復・継続的」な行為とみなされます。また、一連の販売業務の中に書類作成が組み込まれている以上「業として」の要件を満たさないと主張することは難しいでしょう。

まとめ

業界慣行で顧客の代わりに行ってきた自動車関連の手続きは、改正行政書士法で禁止されている旨が強調されるようになりました。違反例を念頭に、今後は業界全体で業務フローを見直す必要があります。
会社をコンプライアンス違反のリスクから守る上で、行政書士との連携はますます重要です。自動車・運送業関連の手続きに慣れた行政書士は、国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」で探せます。是非ご利用ください。

この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。