【2026年施行】車庫証明の代行は違法?ディーラーがやるとアウトなケース一覧

【2026年施行】車庫証明の代行は違法?ディーラーがやるとアウトなケース一覧
2026年1月1日、行政書士法が改正・施行されました。自動車ディーラーや販売店がこれまで当たり前のように行ってきた車庫証明・登録申請の代行業務が、名目や費用の有無を問わず違法となる可能性があります。「うちは無料でやっているから大丈夫」という認識は通用しません。
 
最初に、車庫証明に関する行為ごとの合法・違反の区分を整理しておきましょう。
 
行為判定理由
販売員が車庫証明申請書を作成し、車両代金に報酬を含める違反書類作成+実質的報酬の両要件を満たす
社内DBを使って申請書を自動生成・入力する違反入力・生成行為も「作成」に該当
「書類作成費0円、提出代行の人件費のみ請求」とする違反一連の作業への対価とみなされる
提出後に窓口で販売員が車台番号を追記・訂正する違反追記・訂正も「作成」に該当
顧客が自分で申請書を作成し、提出のみ販売店が代行する合法書類作成に関与していないため
行政書士が作成した書類を販売店スタッフが提出する合法提出行為は独占業務外
行政書士が書類作成・申請し、販売店は委任状取得のみ合法販売店が書類に一切タッチしない
書類作成費を「別途無料サービス」として提供するグレー(実態次第で違反)販売利益に書類作成コストが含まれれば違反
 
【参考】今回の改正による業務全体への影響はこちらの記事で確認できます。取り扱う車両の種類ごと、業務の種類ごとに改正行政書士法の影響と対策が知りたい人は下記の記事をご覧ください。 「無料サービスだから問題ない」「少し書類を作るだけなら大丈夫」と考えて続けている車庫証明業務でも、実態によっては行政書士法違反となる可能性があります。思いがけず違反に問われることがないよう、早めに専門家と業務の棚卸しを行っておきましょう。
 

この記事のポイント

  • 車庫証明の代行はほぼNG(従来のやり方は通用しない)
  • 「無料」「サービス」「手数料込み」でもすべて違反になる可能性
  • 販売店がやっていいのは提出のみ or 行政書士に丸投げだけ
  • 違反すると会社にも罰金(最大100万円)が科される可能性あり
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車庫証明の代行についてよくある疑問

Q. ディーラーが車庫証明申請書を無料で作成している場合でも違法ですか?

A. はい、違法です。2026年1月の改正により「いかなる名目によるかを問わず」が条文に追加され、書類作成費を0円としていても、車両代金・諸費用・登録代行手数料などに人件費が含まれていれば実質的な報酬とみなされます。
 

Q. 行政書士に書類を作成してもらい、販売店スタッフが警察署に提出するだけでも違法ですか?

A. 提出のみであれば合法です。ただし、窓口で記載漏れが見つかりスタッフが加筆・訂正した時点で違法になります。
 

Q. 自社のシステム(社内DB)で申請書を自動入力する場合も違法ですか?

A. 違法です。自動生成・自動入力も「書類の作成」に該当するため、行政書士以外が行えません。
 

Q. 法人(会社)も罰則を受けますか?

A. はい。今回の改正で両罰規定(第23条の3)が新設されました。担当従業員の違反行為に対して、会社・法人にも100万円以下の罰金が科される可能性があります。
 

Q. 施行前に行った代行についても問われますか

A. 改正法が適用されるのは2026年1月1日以降に行われた行為です。施行前の運用が遡って改正法違反となるわけではありません。
 

Q. 顧客から委任状をもらっていれば問題ないのではないですか

A. 委任状の有無は、行政書士法違反かどうかの判断を左右しません。問われるのは、行政書士以外の者が報酬を得て書類の作成を行ったかどうかです。
 
関連記事:【2026年1月以降】自動車関連手続きの代行は委任状があっても行政書士法違反になる?
 

Q. 見積書の「登録代行費」という項目名は変えるべきですか

A. 項目名だけを変えても、実態が変わらなければ意味がありません。重要なのは、誰が書類を作成しているかです。
 
自社スタッフが作成を続けたまま項目名を「事務手数料」等に変更しても、実態で判断されるため違反の状態は変わりません。行政書士へ委託したうえで、費用の根拠を行政書士側へ移すことが必要です。具体的な進め方は、第4章「ディーラー・自動車販売店が取るべき対応」で解説しています。
 
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2026年1月から始まる行政書士法改正の内容

行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)が令和7年通常国会において議員立法により成立し、2026年1月1日に施行されました。この改正は、自動車の登録申請や車庫証明の申請に深く関わる内容となっています。
 
※参考:行政書士制度(総務省)
 

第19条の条文はどう変わったか

行政書士法第19条第1項は、行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受けて書類を作成する業務を業として行うことを禁じる規定です。今回の改正で、この条文に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。
 
改正前は単に「報酬を得て」とされていたため、「車両代金に含まれているだけで書類作成料は取っていない」「登録代行費は無料にしている」といった名目上の工夫で実質的な違反行為が見過ごされてきた側面がありました。今回の改正はこのグレーゾーンを明確に塞ぐものです。
 

「報酬」に該当するかどうかの判断基準

行政書士法の「報酬」とは「役務に対する対価」です。その判断は、契約内容・一連の作業に占める書類作成行為の重要性・受領した手数料の額などを総合的に勘案して個別に行うとされています。
 
こうした考え方に基づくと、
 
  • 車庫証明申請書の作成は無料で、提出の代行だけ有料にしている
  • 車庫証明に関する業務は、購入してくれた顧客に提供する無償サービス
  • メインは販売業務で、車庫証明申請の代行はそれに付随するもの
 
という運用も原則として違反です。車両代金に一部または全部を含めるなどとして、書類の作成を含む一連の作業の対価を受け取っているのであれば、書類作成部分の金額的な割合が少なくても報酬に当たると解釈されます。
 

車庫証明に関する業務で違反となる行為・ならない行為の具体例

法改正の内容を理解したうえで、次に気になるのが「では、具体的に何がOKで何がNGなのか」という点ではないでしょうか。ここでは、日本行政書士会連合会が公表した資料をもとに、違反・適法それぞれのパターンを整理します。
 
※参考:自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例(日本行政書士会連合会 許認可業務部運輸交通部)行政書士法違反となる事例等(国土交通省)
 
関連記事:車庫証明の必要書類は?普通車・軽自動車・賃貸・法人まで状況別に解説
 

違反とみなされる行為パターン

自動車登録申請は自動車の所有者が、車庫証明申請は自動車の保有者が、それぞれ自ら行うものとされています。「作成費用を無料にしているから問題ない」「代金に含めているだけで代行料は取っていない」といった対応は、今回の法改正により完全に違反となります。
 
具体例として、次のような場合が挙げられます。
 
  • 販売員が自社販売車両の車庫証明申請書や自動車登録申請書を作成する行為。たとえ作成費用を無料としていても、車両の販売代金や整備代金に報酬が含まれているとみなされるため違反となる
  • 販売員が申請書を作成する際に、自社の顧客情報や車両情報のデータベースを使用する行為。上記と同様の理由から違反とみなされる
  • 書類を警察署または運輸支局に提出した後、車台番号の追記や記載内容の訂正・補正を行う行為。窓口の担当者から訂正を求められた場合であっても、販売員がこれを行うと違反となる
  • 「書類の作成は無料で、提出代行の人件費・交通費のみ実費として請求する」という運用。書類作成を含む一連の作業に対する対価であると判断された場合、書類作成部分の金額的な割合が少なくても違反となる
 
【参考】実際の違法該当性は、書類作成行為の有無や対価の性質などを総合的に判断して決まります。顧客から支援を求められることの多い配置図の作成に関するOK・NGのラインについてはこちらの記事を参考にしてください。
 

適法と認められる行為パターン

では、どのような対応であれば適法といえるのでしょうか。大きく分けると「本人申請」と「行政書士への委任」の2つが適法な手段となります。
 
▼ 本人申請で適法と認められる例
 
  • 車両の所有者・保有者本人が申請書類をすべて自分で作成し、管轄の警察署(車庫証明)または運輸支局(登録申請)へ自ら提出する
  • 顧客が申請書を自分で作成したうえで、添付書類の収集と提出のみを自動車販売会社が代行し、かつその代行に対して書類作成を含まない実費(印紙・証紙代、用紙代など)のみを収受する
  • 販売店スタッフが申請書の「書き方の案内・説明」にとどまり、実際の記載行為を一切行わない
 
▼ 行政書士に委任する例
 
  • 顧客(依頼者)から委任状を取得したうえで、行政書士が名義人として申請書類を作成し、警察署・運輸支局への申請までを行政書士が担う
  • 自動車販売会社が行政書士事務所と業務委託契約を締結し、車庫証明・登録申請の書類作成・申請業務をすべて行政書士側に委ねる。この場合、販売店スタッフは書類への記載・訂正に一切関与しない
  • 行政書士への報酬は行政書士が直接顧客に請求するか、販売会社が中継する場合でも行政書士名義での請求として明確に区分し、販売会社が独自の「代行料」を上乗せしない
 
車庫証明業務では、書類への記入だけでなく、窓口での追記・訂正や「無料サービス」としての書類作成でも、運用によっては行政書士法違反となる可能性があります。自社でどこまで対応でき、どこから行政書士への依頼が必要なのか、早めに確認しておきましょう。
 
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ディーラー・自動車販売店が取るべき対応

法改正への対応は「知っていれば防げる違反」です。ここでは、自社の業務フローの見直しから行政書士との契約整備、顧客への説明方法まで、実務に直結する対応策を順を追って解説します。
 

社内業務フローを見直す

まず取り組むべきは、現在の業務実態の棚卸しです。「誰が申請書を作成しているか」「誰が警察署・運輸支局に書類を持参しているか」「その行為に対して顧客から何らかの対価(名目を問わず)を得ているか」という3点を確認してください。1つでも販売スタッフが関与している業務フローがあれば、即座に改善が必要です。
 
次に、見積書・注文書・請求書の記載を見直しましょう。「登録代行費」「車庫証明取得費」といった項目が自社スタッフによる業務を前提として記載されている場合、これを行政書士が提供するサービスへの費用として切り替える必要があります。行政書士との契約が整いしだい、請求書上の名義や費用の根拠を行政書士側に移行することが重要です。
 

行政書士と業務委託契約を組む

適法な業務フローを構築するうえで、行政書士との業務委託契約の締結は中心的な対応策となります。契約書には少なくとも下記の項目が必要です。
 
  • 委託する業務の範囲(車庫証明申請・登録申請の書類作成および提出代行)
  • 報酬額および支払い条件
  • 守秘義務(顧客情報の取り扱い)
  • 委任状の取得手順と管理方法
  • 業務完了時の報告義務
 
実際の書類フローは「顧客から委任状を取得 → 行政書士が書類を作成 → 行政書士名義で申請 → 完了後に行政書士から販売店・顧客へ報告」という流れが基本です。販売店スタッフが書類に一切タッチしない体制を徹底することが、コンプライアンス対応の核心です。
 
【参考】車庫証明を行政書士に委託するメリットはこちらの記事で確認できます。
 
委託費用は車両の販売単価と比べれば小さな金額である一方、違反が問われた場合には、罰金に加えて料金体系の変更、顧客への説明、書面の作り直しといった対応が必要になります。負担の大きさが釣り合わないことは明らかです。
 
月間の取扱台数が多い販売店であれば、継続契約により1件あたりの費用を抑えられる場合もあります。以下より、取扱台数と対応エリアに応じた委託費用の目安をご確認ください。
 
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消費者(購入者)への影響を説明する

法改正によって購入者が最も実感しやすい変化は、費用の透明化です。これまで車両代金に「込み」になっていた手続き費用が、行政書士費用として別途明示されることで、疑問や不安が浮かんでくる顧客が少なくないはずです。
 
顧客への説明では「費用が増えた」ではなく「本来の適正な手続きに変わった」という伝え方が有効です。以下の文言を参考にしてください。
 
「これまでは私どもが便宜上、車庫証明の手続きをお手伝いしておりましたが、2026年1月の法改正により、書類作成は行政書士が担当することになりました。手続きの確実性・正確性という点では、むしろご安心いただける体制です。費用については、行政書士費用として別途ご案内いたします。」
 
この説明を見積書・注文書の備考欄に印刷しておくと、口頭説明の漏れを防ぐことができます。
 

まとめ

2026年1月施行の行政書士法改正により、自動車販売店が車庫証明・登録申請を代行する行為は、名目や費用の多寡を問わず原則として違法となりました。「無料だから問題ない」「代金に含めているだけ」という従来の慣行は、今後一切通用しません。違反した場合は担当者個人だけでなく、会社・法人にも罰則が及ぶ可能性があります。

「これまで問題なかったから大丈夫」と従来の運用を続けていても、書類への記入・訂正や費用の受け取り方によっては、行政書士法違反となる可能性があります。 自社でどこまで対応でき、どこから行政書士への依頼が必要なのか分からない場合は、現在の業務内容を一度整理しておきましょう。

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この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。