車庫証明を行政書士に依頼すべき?費用・流れから2026年法改正による影響まで解説

車庫証明を行政書士に依頼すべき?費用・流れから2026年法改正による影響まで解説
自動車を購入したり、引っ越しで保管場所が変わるときは、車庫証明を申請しなければなりません。申請代行は行政書士に依頼する必要があり、今までやってくれていた業者に依頼するのは法改正の兼ね合いで難しくなっています(参考:行政書士法改正の解説記事)。
ここでは、車庫証明の基本的な知識から、行政書士に依頼するメリット・デメリット、費用の相場、手続きの流れまでを一通り解説します。

この記事のポイント

  • 車庫証明は自分でも取得できるが、平日に警察署へ2回行く必要があり手間がかかる。
  • 行政書士に依頼すれば、書類作成から申請・受取まで任せられ、時間と手間を大きく削減できる。
  • 費用は約7,000〜17,000円が目安で、ディーラーより安く抑えられるケースが多い。
  • 2026年の行政書士法改正により、報酬を得て代行できるのは行政書士のみである点に注意が必要。
  • 「時間がない・確実に終わらせたい人」は行政書士、「費用重視で時間に余裕がある人」は自己申請が向いている。

そもそも車庫証明とは?取得が必要なケース

車を購入したり、引っ越しをしたりすると「車庫証明を取ってください」と言われることがあります。でも、そもそも車庫証明とは何なのか、なぜ必要なのか、よくわからないまま手続きが進んでしまうケースも少なくありません。まずは基本から確認しましょう。

車庫証明(自動車保管場所証明書)の基本

車庫証明とは、正式には「自動車保管場所証明書」といい、自動車の保管場所(駐車スペース)が確保されていることを、所轄の警察署長が証明する書類です。日本では、車を道路上に常時駐車することが法律で禁止されており、すべての自動車に対して、道路以外の保管場所を確保することが義務づけられています。
保管場所として認められるには、いくつかの要件を満たす必要があります。
  • 道路上の場所以外であること
  • 自動車の使用の本拠(自宅や事業所など)から直線距離で2km以内であること
  • 自動車が支障なく出入りでき、車全体を収容できる広さがあること
  • 申請者がその場所を保管場所として使用する権原(自己所有または賃借など)を有していること
この証明書は、普通自動車の登録手続きの際に運輸支局へ提出が求められます。
なお、軽自動車の場合は「保管場所届出」という別の手続きになり、警察署への届出は必要ですが、登録時に証明書の提出は不要です。また、二輪車(バイク)は対象外となっています。

車庫証明が必要になる主なシーン

車庫証明が必要になるのは、主に普通自動車の登録手続きが発生するタイミングです。具体的には次の3つの場面が該当します。
■新車・中古車を購入したとき(新規登録)
……まだナンバープレートがついていない車を新たに登録する際に必要です。新車はもちろん、ナンバーのない中古車を購入した場合も同様です。
■引っ越して住所が変わったとき(変更登録)
……氏名・住所・使用の本拠の位置を変更する場合に必要となります。同一市区町村内の引っ越しでも、使用の本拠の位置が変わる場合は手続きが必要です。
■売買・相続・離婚などで名義が変わるとき(移転登録)
……所有者が変わる移転登録では、使用の本拠の位置の変更を伴う場合に車庫証明が必要になります。たとえば、親から子へ車を譲る場合や、中古車販売店から個人へ名義を移す場合などが該当します。
ただし、使用の本拠の位置によっては、車庫証明の取得が不要な地域もあります。過疎地域など、自動車の保管場所に関する条例が適用されない市区町村では申請が省略できるケースがあるため、不明な点は管轄の警察署に確認しましょう。
※参考:自動車の保管場所証明申請(警察庁)

【2026年最新】行政書士法改正で車庫証明依頼の何が変わった?

2026年から行政書士法が改正された影響で、業者に車庫証明を依頼するときの対応が変化しています。最近になって「行政書士報酬の名目で費用が加わり、料金が高くなった」「行政書士を自分で探すように言われた」といったケースが増加しました。
行政書士法では、改正前から「官公署に提出する書類を、報酬を得て、業として作成・提出代理する行為は行政書士のみが行える」という原則が定められています。車庫証明の申請書はまさに警察署(官公署)に提出する書類であり、今回の改正で「名目を問わず無資格者が行うのは禁止」という旨が改めて強調されています。
このような変化に伴い、今まで車庫証明の申請を代行してくれていた業者では、行政書士と提携したり、行政書士に依頼するよう案内したりする体制へと変更が進められているのです。
こちらの法改正の影響については、行政書士法改正の解説記事で詳しく解説しておりますので、ご参考ください。

行政書士に車庫証明の申請を依頼するメリット・デメリット

車庫証明の申請について「行政書士に頼む必要は本当にあるのか」と迷う方は少なくありません。ここでは、依頼することで得られるメリットと、知っておくべきデメリットを整理します。

【メリット】書類作成・警察署への往復が不要になる

車庫証明の取得には、警察署への訪問が最低2回必要です。1回目は申請書類一式の提出、2回目は証明書の受け取りのためです。しかも警察署の窓口は平日の限られた時間帯しか受け付けていないため、会社員や共働き世帯にとっては、休暇を取るか早退・遅出で対応するしかなく、思いのほか負担が大きい手続きです。
行政書士に依頼すれば、申請書・保管場所の所在図・配置図といった書類の作成から、警察署への提出・受取まで一切を代行してもらえます。依頼者が動くのは、必要書類を行政書士に渡す(または郵送する)だけ。それ以降は行政書士が管轄警察署に出向いてすべて対応してくれるため、手続きの間も日常の生活や仕事を続けられます。

【メリット】書類不備によるやり直しリスクを回避

車庫証明の申請書類には、配置図・所在図・自認書・使用承諾書など複数の書類が必要で、それぞれに記載上の細かいルールがあります。寸法の記入方法や押印の有無、駐車場の形状の描き方など、初めて自分で準備する場合はミスが起きやすく、書類不備として窓口で受理されないこともあります。
行政書士はこうした書類作成を日常業務として行っており、管轄警察署ごとのローカルルールも把握しています。また、駐車場が賃貸の場合には管理会社や大家から使用承諾書を取得する必要がありますが、どのような記載が必要か、どう依頼すればよいかといった実務知識も豊富です。不備による再訪問や再申請のロスをなくせることは、時間的なメリットとして見逃せません。

【メリット】自動車登録・名義変更と一括代行できる

行政書士が扱える業務は車庫証明だけではありません。移転登録(名義変更)・変更登録(住所変更)・相続に伴う登録申請など、自動車に関わる登録手続きも行政書士の専門業務です。車庫証明と自動車登録をまとめて依頼できるため、複数の窓口を使い分ける手間がなく、スケジュール管理もシンプルになります。
さらに、行政書士は「出張封印(丁種封印)」という制度を利用できます。通常、名義変更後の新しいナンバープレートを取り付ける際には車を運輸支局へ持ち込む必要がありますが、この制度を使えば行政書士が車の保管場所へ出向いて封印を行うことができます。車を動かさずに手続きが完了するため、遠方の場合や車が動かせない状況でも対応可能です。希望ナンバーや図柄入りナンバーへの変更も、あわせて依頼できます。

【デメリット】行政書士報酬が追加で発生する

行政書士への依頼で生じるデメリットは、追加で発生する報酬です。自分で申請する場合にかかるのは法定手数料のみ(都道府県によって異なりますが、約2,000円程度)ですが、行政書士に依頼すると、書類作成・申請・受取に対する報酬が加わり、法定手数料を含めた合計で7,000〜17,000円程度が目安となります。
ただし、書類に不備が出て警察署への再訪問が発生すれば、交通費や時間のコストはその分増えます。

車庫証明を行政書士に依頼する場合の費用の相場

「行政書士に頼むといくらかかるのか」は、依頼を検討するうえで最も気になる点のひとつです。ここでは費用の内訳と相場を整理し、自分で申請する場合・ディーラーに依頼する場合と比較してみます。

行政書士報酬の内訳

行政書士に車庫証明を依頼した場合の費用は、大きく「行政書士報酬」と「法定手数料」の2つに分けられます。
行政書士報酬とは、書類の作成・警察署への申請・証明書の受取という一連の業務に対する対価です。全国的な相場はおおむね5,000〜15,000円程度で、事務所の所在地や対応エリアの広さ、書類作成の難易度によって異なります。都市部の事務所では比較的リーズナブルな設定の場合もあれば、対応エリアが広域にわたる場合は交通費相当分が加算されるケースもあります。
法定手数料は、警察署に支払う公的な費用で、都道府県の条例によって金額が異なります。目安は約2,000円程度です。
これらを合計すると、行政書士への依頼費用の総額は7,000〜17,550円程度が目安となります。なお、自動車登録や名義変更とセットで依頼すると、個別に依頼するよりトータルの費用が抑えられる事務所もあります。車の購入や名義変更と同時に手続きが必要な場合は、まとめて相談してみるとよいでしょう。

ディーラー代行・自己申請との費用比較

行政書士への依頼費用が高いか・安いかは、ほかの選択肢と比べることで判断しやすくなります。
車庫証明の申請方法代行費用法定手数料合計目安警察署への訪問
自分で申請0円約2,000〜2,550円約2,000〜2,550円2回必要
行政書士に依頼5,000〜15,000円約2,000〜2,550円約7,000〜17,550円不要
ディーラーに依頼10,000〜30,000円約2,000〜2,550円約12,000〜32,550円不要
自分で申請する場合は費用を最小限に抑えられますが、平日に警察署へ2回出向く必要があります。ディーラーに依頼する場合は窓口がひとつにまとまる反面、代行費用が高めに設定されているケースが目立ちます。行政書士への依頼はその中間に位置し、プロによる確実な代行を受けながら、ディーラーよりも費用を抑えられる場合が多いといえます。

こんな場合は行政書士への依頼がお得

費用だけで判断するのが難しい場合は、自分の状況に照らし合わせてみてください。次のようなケースでは、行政書士への依頼が合理的な選択になります。
まず、平日に仕事を抜けて警察署へ2回出向くことが難しい方。有給を使う機会コストを考えると、数千円の報酬は決して高くありません。引っ越しや車の購入が重なり、手続きに割く時間や労力が足りないという状況も同様です。また、自動車登録や名義変更もまとめて依頼したい方にとっては、ワンストップで対応できる行政書士は特に心強い存在です。ディーラーへの依頼と比べてもコストが低く抑えられるため、「プロに任せたいが費用も気になる」という方にとって、行政書士はバランスの取れた選択肢といえるでしょう。

行政書士に車庫証明の申請を依頼した場合の手続きの流れ

実際に行政書士へ依頼するとなると、「何を用意すればいいのか」「どんな流れで進むのか」が気になるところです。ここでは依頼から証明書の受取までの流れを順番に説明します。

行政書士に連絡・委任状を準備する

まず、依頼したい行政書士事務所に電話・メール・FAXなどで連絡を取ります。その際、車の情報(車名・車台番号・保管場所の住所など)や手続きの目的(新規登録・名義変更・住所変更など)を伝えると、その後のやりとりがスムーズです。
依頼が決まったら、委任状を作成します。委任状は「この手続きをあなたに任せます」という意思を示す書類で、多くの事務所では書式をあらかじめ用意しており、記入例とともに送ってもらえます。あわせて、車検証のコピーや印鑑(認印)などを事務所へ郵送または持参します。
なお、駐車場が賃貸の場合は、管理会社や大家から「使用承諾書」を取得する必要があります。この書類は行政書士が書式を案内してくれることが多いので、まずは相談してみましょう。

必要書類を揃える(または作成を任せる)

車庫証明の申請に必要な書類は以下のとおりです。
  • 自動車保管場所証明申請書(2通)
  • 所在図(使用の本拠と保管場所の位置関係を示した地図)
  • 配置図(保管場所の形状・寸法・出入口の向きなどを示した図面)
  • 自認書(保管場所が自己所有の土地・建物の場合)または使用承諾書・賃貸借契約書の写しなど(他人の土地・建物を使用する場合)
これらの書類のうち、所在図・配置図・自認書・承諾書については、行政書士が作成を代行するのが一般的です。依頼者が自分で準備するのは、車検証のコピーや賃貸契約に関する情報など最小限で済みます。
車庫証明の必要書類は以下の記事でも詳しく解説しております。
車庫証明の必要書類は?普通車・軽自動車・賃貸・法人まで状況別に解説

行政書士に申請を代行してもらう

必要書類が揃ったら、行政書士が保管場所の位置を管轄する警察署へ書類一式を提出します。申請先は「申請者の住所地の警察署」ではなく、「保管場所の所在地を管轄する警察署」である点に注意が必要ですが、この確認も行政書士が行います。
審査期間は、地域や警察署によって異なりますが、おおむね3〜7営業日が目安です。審査期間中に警察官が保管場所を現地確認に訪れることがあります。審査の進捗確認や警察署とのやりとりも行政書士が対応するため、依頼者が直接警察署に問い合わせる必要はありません。

車庫証明書を受け取る

審査が完了すると、行政書士が警察署で自動車保管場所証明書と保管場所標章を受領します。その後、依頼者へは郵送または持参で届けてもらえます。
車庫証明書を受け取ったら、運輸支局での自動車登録申請へと手続きが進みます。このまま同じ行政書士に自動車登録も依頼すれば、証明書の受渡しなく一括で手続きを完了させることが可能です。車の購入・名義変更・住所変更と車庫証明をセットで依頼している場合は、証明書の取得後にすぐ登録申請へ移れるため、全体のスケジュールも短縮できます。

行政書士への依頼が向いているケース・自分で行うべきケース

車庫証明の手続きは、条件が整っていれば自分でも行えます。一方で、状況によっては行政書士に任せたほうが時間・労力・リスクの面で合理的な選択になります。自分の状況に照らし合わせて、どちらが向いているかを確認しましょう。

行政書士への依頼が向いているケース

仕事や家事・育児で平日の時間が取りにくい方にとって、警察署への2回の訪問は大きなハードルです。窓口は平日昼間しか対応していないため、会社員や共働き世帯では有給休暇を使わざるを得ないケースも多く、そのコストを考えると行政書士報酬との差は縮まります。
また、車庫証明と同時に自動車登録・名義変更・住所変更が発生している場合も、行政書士への依頼が適しています。複数の手続きをまとめて任せられるため、窓口を使い分ける手間がなく、スケジュール全体をシンプルに管理できます。
引っ越し直後で荷解きや各種手続きが重なっている時期、あるいは小さな子どもがいて外出しにくい状況なども同様です。「書類の書き方がよくわからない」「不備があったらどうしよう」という不安を抱えている方にとっても、専門家に任せることで確実性が高まります。
※参考:こんなときはご相談を(日本行政書士連合会)

自分で手続きするほうが向いているケース

費用を最小限に抑えたい場合は、自己申請が有力な選択肢です。法定手数料の約2,000〜2,550円のみで手続きできるため、時間に余裕があるなら経済的です。
平日に時間を確保できる方、または自宅や職場の近くに管轄警察署がある方であれば、2回の訪問もそれほど大きな負担にはなりません。過去に一度でも車庫証明を自分で取得した経験があれば、書類の書き方や流れもある程度わかっているため、スムーズに進められるでしょう。
OSSを活用したオンライン申請を使いこなせる方であれば、警察署への来署なく手続きを完結させることも可能です。ただし、OSSは利用環境の準備(マイナンバーカードとICカードリーダーなど)や操作に慣れが必要なため、初めての人は複雑に感じる場合もあります。不明点は申請先の都道府県警察本部または警察署に確認するのが確実です。

まとめ

車庫証明は、普通自動車の購入・引っ越し・名義変更のたびに必要になる手続きです。書類の種類が多く、警察署への訪問も平日に2回必要なため、思いのほか手間がかかります。
また、2026年1月の行政書士法改正により、車庫証明の書類作成・申請代行を報酬を得て行えるのは行政書士のみであることが明確化されました。これまで業者に依頼できていたとしても「業者が提携する行政書士に依頼するか、自分で依頼先を探す」という流れになります。
車庫証明の申請を依頼できる行政書士をお探しの方は、全国の行政書士をエリア・業務分野から検索できる「申請Navi」をご活用ください。自動車登録・名義変更に対応した事務所を地域ごとに比較できます。

この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。