自動車登録に委任状が必要なケースとは
自動車の名義変更や住所変更などの登録手続きは、本人以外の人物(代理人)が運輸支局の窓口で申請することができます。ただし、その際には必ず委任状が必要となります。「誰に頼むか」によって委任状の位置づけが若干異なるため、自分のケースがどれに当たるかを事前に確認しておきましょう。親族や友人・知人に登録申請を任せる場合
家族や知人に手続きを代わってもらう場合も、運輸支局への申請には委任状が必要です。委任状があれば、所有者本人でなくても代理人として窓口での申請手続きを行うことができます。なお、住所変更(変更登録)の場合、本人が自ら申請するときは委任状は不要です。しかし、家族や知人に頼む場合は、車検証上の所有者・使用者本人が署名・押印した委任状が必要になります。
所有者がローン会社の場合は、ローン会社の委任状も別途必要となる点も覚えておきましょう。
行政書士に登録申請を依頼する場合
行政書士は、依頼者から報酬を受け取って自動車登録の申請書類を作成・提出することが法律上認められた専門家です。中古車販売店や整備工場などが「登録代行」を行う場合も、実務上は行政書士が関与しているのが一般的です。<参考>【2026年施行】行政書士法改正で車検・自動車登録の代行は違法?ディーラー・販売店が知るべき違反リスクと対応策
行政書士に依頼する際も委任状は必要となります。依頼者(委任者)が作成した委任状によって、行政書士(受任者)が正式な代理人として登録申請を行う形になります。なお、行政書士への依頼であっても、委任状の書式や記載すべき内容は一般的な委任状と基本的に同じです。行政書士側で様式を用意してくれることも多いですが、内容をしっかり確認してから署名・押印するようにしましょう。
電子申請でも委任状は必要
自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)を使ってインターネット上で電子申請を行う場合も、第三者に申請を依頼するときは委任状が必要です。電子申請における委任状には、紙の委任状を使う方法と電子委任状を使う方法の2種類があります。紙の委任状を利用する場合は、受任者(代理人)側がシステム上で委任情報を転記する操作を行います。電子委任状を作成する場合は、委任者・受任者それぞれが電子署名を行うことになります。
どちらの方法も「委任状なしで第三者が申請する」ことはできないため、電子申請だからといって省略できるものではありません。
自動車登録に必要な委任状の種類
自動車登録の手続きでは、手続きの種類や立場によって必要な委任状が異なります。2021年1月1日の制度改正以降、一時抹消前の旧使用者や使用者本人の委任状は不要となりました。ここでは、現在の制度で必要とされる委任状の種類を整理します。
旧所有者の委任状
名義変更(移転登録)の手続きを代理人が行う場合、車を譲り渡す側(旧所有者)の委任状が必要です。旧所有者本人が運輸支局に出向かない場合、代理人が申請を行うための根拠書類となります。旧所有者の委任状には、受任者(代理人)の氏名・住所、委任する自動車の登録番号または車体番号、そして旧所有者本人の署名と実印による押印が必要です。実印を使用する場合は、印鑑登録証明書も合わせて提出するのが原則となります。
新所有者の委任状
車を譲り受ける側(新所有者)本人が手続きに行けない場合も、委任状が必要になります。新所有者の委任状も基本的な書式は旧所有者のものと同様ですが、新所有者本人が委任者として署名・押印する点が異なります。なお、名義変更の申請は旧所有者・新所有者のどちらが行っても問題ありません。双方が運輸支局に行けない場合は、それぞれの委任状を代理人が持参することで手続きを完了させることができます。
車庫証明用の委任状
自動車の保管場所(車庫)の証明申請を代理人が行う場合にも、委任状が必要です。車庫証明は運輸支局ではなく管轄の警察署への申請となりますが、代理申請の際には申請者本人が作成した委任状の提出を求められます。車庫証明用の委任状の書式は、登録申請用のものとは別に用意する必要があります。各都道府県警察のウェブサイトで書式を公開しているケースが多いため、申請先の警察署が所在する都道府県の書式を確認するのが確実です。名義変更と車庫証明の申請を同時に代理人へ依頼する場合は、それぞれ別の委任状が必要になることを覚えておきましょう。
委任状の書き方
委任状の記載内容は法律で細かく定められているわけではありませんが、国土交通省や各運輸局が定めた様式を使うのが確実です。受任者・委任者の情報を正確に記入し、押印まで済ませてから手続きに臨みましょう。▼委任状のイメージ

委任状の様式の入手方法
委任状の様式は、各地の運輸局・運輸支局のホームページでダウンロードできます。なお、様式は窓口でも入手できますが、自宅でダウンロードして印刷するのがスムーズです。委任状に記載例が付属しているので、初めて作成する方はそちらも合わせて確認しておきましょう。
※参考:各種様式(関東運輸局)
受任者の氏名の書き方
委任状の冒頭には、代理人(受任者)の氏名と住所を記入します。ここに記載した人物だけが正式な代理人として申請窓口での手続きを行えるため、氏名・住所ともに住民票や運転免許証と一致する正確な表記で記入することが重要です。受任者が行政書士などの専門家である場合は、事務所名ではなく個人名での記入が基本となります。代理人を複数立てることは通常想定されていないため、一人の受任者に絞って記入しましょう。
委任する権限の書き方
委任状には「委任する権限の内容」を明記する欄があります。関東運輸局の様式では「下記自動車の検査登録申請・届出に係る一切の権限を委任します」という文言があらかじめ印刷されており、基本的にそのまま使用できます。手続きの種類(名義変更・住所変更・廃車など)を具体的に書き添えるとより明確になりますが、様式の文言のみでも受理されるケースがほとんどです。自作の書式を使う場合は「一切の権限」と明記しないと権限の範囲が不明確になることがあるため、注意が必要です。
そのほかの必要な情報
委任状には、上記に加えて以下の情報を記入します。■自動車登録番号または車体番号
……手続き対象の車両を特定するために必須。車検証に記載されている内容をそのまま転記する
■委任者の情報(氏名・住所)
……車検証上の所有者と一致している必要がある
■委任者の実印による押印+印鑑登録証明書
……譲渡証明書を紙で提出する場合(名義変更など)に必要。電子申請や認印が認められるケースもあるが、原則として移転登録は実印が求められる
捨印(訂正欄への押印)については、様式の訂正欄に委任者本人が押印しておくことで、軽微な記載ミスを窓口で訂正できるようになります。必須ではありませんが、記載ミスに備えて押印しておくと安心です。
電子委任状の作成方法
OSSの委任状選択画面(リンク)では、電子委任状の作成方法を確認できます。電子申請で代理人に手続きを依頼する場合は電子委任状が必要となり、「電子証明書を用いるもの」と「用いないもの」の2種類から委任者の環境に応じて選択します。受任者情報ファイルを作成する必要がある
電子委任状を作成するにあたっては、まず受任者(代理人)の情報をまとめたファイルを用意する必要があります。受任者側がOSSのシステム上で受任者情報ファイルを作成し、そのファイルを委任者に共有する流れです。委任者はそのファイルを使って電子委任状の作成画面に受任者情報を読み込み、委任内容を確認した上で作成を行います。紙の委任状と異なり、受任者・委任者の双方がシステム上で操作を行うため、事前に手順を確認し、連絡を取り合いながら進めましょう。
委任者・受任者それぞれが電子署名する
電子証明書を用いる委任状の場合、委任者と受任者のそれぞれが電子署名を行うことで委任状が完成します。電子署名にはマイナンバーカードなどに格納された電子証明書を使用し、専用のICカードリーダーまたは対応スマートフォンが必要です。電子証明書を用いない方法(書面委任状)を選択した場合は、紙の委任状をスキャンしてシステムに添付するか、受任者側が紙の委任状を保持したうえで申請を進める形となります。どちらの方法でも手続き上の効力は同じですが、電子証明書を用いる方法のほうがオンライン上で完結できるため、利便性は高いといえます。
まとめ
自動車登録の委任状は、代理人に申請手続きを任せるために欠かせない書類です。家族への依頼でも行政書士への依頼でも、電子申請であっても、第三者が窓口で手続きを行う場合には必ず必要になります。自動車登録の手続きは、使用・売却ができる日に影響するため、プロに任せると安心です。手続きできる行政書士は、国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」で探してみてください。