2026年7月以降の査証手数料はどう変わる?
外国人が日本に入国する際に必要となる査証(ビザ)の手数料は、2026年7月1日から大きく引き上げられました。新旧手数料を入国査証の種類ごとに示すと、次のとおりです。| 査証の種類 | 2026年6月以前 | 2026年7月以降 |
| 一次入国査証 | 3,000円 | 15,000円 |
| 数次入国査証 | 6,000円 | 30,000円 |
なお、入国後の活動のための在留資格についても、許可を得るための手数料が大幅に値上げされるとともに、在留期間に応じた段階制の体系となります。これらの見直しを踏まえると、とくに中長期滞在者(在留期間が3か月を超える外国人)の負担が著しく重くなる見込みです。
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※参考:領事館の徴収する手数料に関する政令(令和8年7月1日施行)、領事館の徴収する手数料に関する政令(令和5年3月27日施行)
48年ぶりに行われた査証手数料値上げの背景
今回の査証手数料の改定は、1978年に手数料が定められて以来、実に48年ぶりのことです。改定の理由として、国内の物価上昇や、為替相場の変動への対応する必要性が挙げられています。加えて、査証発行にかかる行政コストの増加や、主要国との手数料水準の乖離を踏まえた見直しであるとの見解も示されており、あわせて年間で一定規模の税収増が見込まれ、外国人行政や不法滞在対策の財源にあてる方針も明らかにされています。
【基礎知識】外国人の入国・在留のしくみ
外国人が日本に入国し、その後滞在を続けるためには、査証と在留資格という2つの異なる制度が関わってきます。この2つを混同してしまうと、今回の手数料改定がどこに影響するのかも分かりにくくなるため、まず基本的なしくみを確認しておきます。外国人の滞在に必要なのは査証+在留資格
査証とは、日本に入国しようとする外国人に対して、日本での入国審査を受けるにふさわしい人物であることを、海外にある日本の大使館や総領事館があらかじめ確認し、いわば推薦する役割を持つものです。この査証の発給業務は外務省と在外公館が管轄しており、申請者は自国にある日本の大使館や総領事館で手続きを行います。一方、在留資格は、日本に入国した外国人が国内でどのような活動を行い、どのような身分で滞在するのかを認めるための資格であり、こちらは出入国在留管理庁が管轄しています。就労や留学、家族滞在といった在留資格の種類に応じて活動範囲や在留期間が定められ、入国後の在留資格の変更や在留期間の更新もすべて出入国在留管理庁の窓口で行われます。
したがって、これから入国しようとする場合は査証と在留資格の両方が必要であり、すでに国内にいる場合は在留期間の更新・在留資格の変更を継続的に行う必要があります。
一次入国査証と数次入国査証の違い
一次入国査証は、査証の有効期間内に1回だけ日本への入国を認める査証です。観光や短期の商用、親族訪問など、一度きりの訪日を予定している人が主に利用する形式で、入国後に一度国外へ出てしまうと、再度入国するには新たに査証を取り直す必要があります。数次入国査証は、査証の有効期間内であれば何度でも日本への入国を認める査証です。仕事で頻繁に日本と自国を往来する人や、家族が定期的に来日する予定がある人など、複数回の入国が見込まれる場合に選ばれます。
手数料の面では、数次入国査証の方が一次入国査証より高く設定されていますが、その分、入国のたびに査証を取り直す手間や費用を省ける利点があります。頻繁に往来する予定があるにもかかわらず一次入国査証を選んでしまうと、結果的に何度も申請を繰り返すことになり、総額でみるとかえって割高になる場合もあります。
査証手数料の値上げによる関係者への影響と対策
査証手数料の改定は、外国人本人だけでなく、外国人材を受け入れる企業側にも影響が及びます。ここでは企業と本人・家族それぞれの立場からどのような負担増が生じるのかを整理します。【企業への影響】外国人材の採用・出張受け入れのコストが増加する
海外拠点の従業員を日本に出張させたり、取引先の担当者を招待したりする企業では、その都度発生する査証手数料が今回の改定によって直接増加します。これまで一次入国査証であれば3,000円程度で済んでいた手続きが約15,000円になるため、出張や招待の頻度が高い企業ほど、年間で見たコストの増加を実感しやすくなります。技能実習や特定技能といった制度で外国人を受け入れている企業では、査証手数料を本人が負担するのか、企業が負担するのかという取り決めをあらためて見直す必要が出てきます。これまでの取り決めが低い手数料を前提にしていた場合、新料金のまま適用すると本人の負担感が想定以上に大きくなることもあるため、受入れ前に負担割合を確認しておくことが望まれます。
また、採用計画や受入れ予算を立てる際に使う見積書についても、査証手数料の項目を旧料金のまま記載していると、実際の支出との間にずれが生じてしまいます。これから外国人材の採用を進める企業は、見積りの段階で新料金を反映しておくことが必要です。
監理団体や登録支援機関のように、複数の外国人をまとめて受け入れ、査証手続きを一括して進める立場にある団体では、1人あたりの増加額がそれほど大きく見えなくても、対象人数が多いために総額としての増加が目立ちやすくなります。年間で何十人分もの手続きを扱う団体ほど、この総額増加をあらかじめ把握しておくことが重要になります。
【本人・家族への影響】活動費用や家族の呼び寄せにかかる費用が増加する
配偶者や子どもを日本に呼び寄せる際に必要となる家族滞在などの査証についても、今回の改定によって申請時の手数料が増加します。すでに日本で働いている外国人が家族の呼び寄せを予定していた場合、当初想定していた費用よりも実際の支出が増える可能性があるため、事前の資金計画を見直しておくとよいでしょう。観光や親族訪問といった短期滞在目的の査証についても、改定の対象から外れているわけではなく、同様に手数料が増加します。日本に住む家族が母国の親族を短期間招待する場合なども、この負担増の影響を受けることになります。
家族全員がまとめて来日する予定があり、複数回の往来を見込んで数次査証を選ぶ家庭では、1人あたりの手数料が高い数次査証を家族分申請することになるため、世帯全体で見た負担額はより大きくなります。
こうした費用の増加は、本人や家族が事前にその内容を認識していなければ、申請の窓口で初めて金額を知って驚くという事態にもつながりかねません。急に高くなったという不満を招かないためにも、査証を申請する前の段階で、最新の手数料を確認しておくことが大切です。
就労・家族帯同を目的とする外国人の負担額はどれくらい増えるのか
査証手数料と在留手数料はそれぞれ異なる時期に改定されるため、いつ申請したかによって入国から在留までの総額が変わります。ここでは就労や家族帯同を目的とする人を想定し、申請のタイミング別に負担額の違いを整理します。2026年6月以前に査証を申請し、在留期間更新も9月30日までに申請する場合の負担額
査証を2026年6月以前に、在留期間の更新申請も9月30日までに済ませる場合は、いずれの手数料も改定前の旧料金がそのまま適用されます。このケースは今回の改定の影響をまったく受けないため、入国から在留までを通じて最も負担が少ないパターンといえます。| 手続き | 6か月 | 1年 | 3年 | 5年 |
| 査証(一次入国査証) | 3,000円 | 3,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
| 査証(数次入国査証) | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 在留期間更新許可申請 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(一次査証+更新) | 9,000円 | 9,000円 | 9,000円 | 9,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(数次査証+更新) | 12,000円 | 12,000円 | 12,000円 | 12,000円 |
2026年7月1日〜9月30日の間に査証を申請し、在留期間更新も9月30日までに申請する場合の負担額
査証の申請が2026年7月1日から9月30日の間にあたる場合は、すでに改定後の新料金が適用されます。一方で、在留期間更新の申請が9月30日までに行われていれば、こちらはまだ旧料金の対象となるため、査証部分のみ値上げの影響を受ける過渡期のパターンになります。| 手続き | 6か月 | 1年 | 3年 | 5年 |
| 査証(一次入国査証) | 15,000円 | 15,000円 | 15,000円 | 15,000円 |
| 査証(数次入国査証) | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
| 在留期間更新許可申請 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(一次査証+更新) | 21,000円 | 21,000円 | 21,000円 | 21,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(数次査証+更新) | 36,000円 | 36,000円 | 36,000円 | 36,000円 |
2026年10月1日以降に在留期間更新を申請する場合の負担額
在留期間更新の申請が2026年10月1日以降になる場合は、査証手数料に加えて在留手数料も新料金の対象となり、査証と在留の両方が改定後の金額となるフル改定後のパターンに該当します。在留期間更新の手数料は許可される在留期間に応じて段階的に決まる仕組みで、更新後の在留期間が長くなるほど手数料も高くなります。| 手続き | 6か月 | 1年 | 3年 | 5年 |
| 査証(一次入国査証) | 15,000円 | 15,000円 | 15,000円 | 15,000円 |
| 査証(数次入国査証) | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
| 在留期間更新許可申請 | 15,000円 | 20,000円 | 40,000円 | 75,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(一次査証+更新) | 30,000円 | 35,000円 | 55,000円 | 90,000円 |
| 入国から次回更新までの合計額(数次査証+更新) | 45,000円 | 50,000円 | 70,000円 | 105,000円 |
※在留期間更新許可申請の金額は、2026年10月施行予定の改定案に基づく段階区分のうち、6か月・1年・3年・5年に相当する目安額です。実際の適用額は正式な政令公布時の内容をご確認ください。
まとめ
今回の査証手数料の改定は1978年以来48年ぶりのもので、一次入国査証・数次入国査証ともに旧料金からおよそ5倍に引き上げられており、あわせて2026年10月からは在留資格の変更・更新にかかる手数料も在留期間に応じた段階制へと見直される予定であるため、企業にとっては出張者や受入れ人材にかかるコストの見積り直しが、本人・家族にとっては家族の呼び寄せや再入国にかかる費用の資金計画の見直しが、それぞれ申請のタイミングを踏まえたうえで必要になります。在留資格の手続きは要件が複雑で、書類の不備が不許可につながるリスクもあります。手数料の額が上がるほど、申請の失敗によるコストも大きくなります。スムーズかつ確実に手続きを進めるため、申請取次行政書士に相談しておくと安心です。在留資格の申請に対応した行政書士をお探しの方は、国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」をご活用ください。