特定技能(外食業)の受入れ停止の対象とは
「受入停止」と聞くと、外食業での外国人採用がすべて止まったように感じるかもしれません。しかし実際には、停止の対象となる申請の種類と対象外となる申請の種類が明確に区分されています。まずここを正確に理解することが、今後の採用方針を考える上での第一歩です。停止の対象となる申請(原則不許可)とは
停止措置が適用されるのは、主に新たに外食業の特定技能1号として受け入れるための申請です。具体的には次の3種類が該当します。■海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付)
……海外から外食業の特定技能1号として新たに呼び寄せるための申請で、4月13日以降に受理されたものはすべて不交付となります。
■国内にいる外国人の雇い入れ(外食業への在留資格変更)
……留学生や技能実習生など、ほかの在留資格から外食業の特定技能1号に切り替えるための申請です。原則として不許可となります(一部例外あり、後述)また、外食業の特定技能1号への移行を目的とした「特定活動」への変更申請も、原則として受け付けられません。
注意が必要なのは、申請の可否が「受理日」を基準に判断される点です。受理日とは、窓口に書類を持参した日ではなく、入管が申請を正式に受け付けて受付番号を発行した日を指します。郵送や持参のタイミングと受理日がずれる場合もあるため、4月13日をまたぐ申請を検討していた事業者は特に注意が必要です。
停止の対象外となる申請(引き続き受け入れできる場合)とは
停止措置はあくまで「新規の受け入れ拡大」を止めるものです。- 外食業で特定技能1号から2号に変更する
- すでに外食業で就労している外国人の在留資格を更新する
- すでに外食業で就労している外国人が移籍する(外食業→外食業)
- すでに外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)の許可がある
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了している
- 2026年3月27日(停止発表日)までに食品産業特定技能協議会への加入申請を行っており、かつ4月13日より前(4月12日まで)に特定活動への変更が受理されている
なお、上記の例外ケースに該当し審査が進む場合も、許可の時点での在留者数によっては、特定技能1号ではなく特定活動(特定技能1号移行準備)への変更や更新を案内されることがあります。
※参考:特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(出入国在留管理庁)
在留資格「特定技能」とは?1号・2号の違いや申請方法をわかりやすく解説
なぜ特定技能(外食業)で受入停止になったのか
特定技能(外食業)での受け入れ停止措置は突発的なものではなく、特定技能制度の設計上、あらかじめ想定されていたしくみが発動した結果です。背景を理解しておくと、今後の動向も見通しやすくなります。受入れ見込数(上限)のしくみ
特定技能制度では、分野ごとに「受入れ見込数」と呼ばれる上限が閣議決定によって定められています。これは「人手不足への対応に必要な範囲を超えて外国人を受け入れすぎない」ためのしくみで、5年ごとに見直されます。外食業分野については、令和6年度から令和10年度末までの5年間における1号特定技能外国人の受入れ見込数(上限)が5万人と設定されました。なお、外食業分野全体の受入れ見込数は5万5,300人で、内訳は特定技能1号が5万人、2027年から始まる育成就労制度による受入れが5,300人(令和9〜10年度の2年間分)となっています。
入管法の規定により、この上限に近づいたと見込まれる場合、農林水産大臣の求めに応じて法務大臣が在留資格認定証明書の交付停止措置を発動できます。今回の受入停止は、まさにこの規定に基づくものです。
※参考:特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)
想定を超えた在留者数の急増
停止措置が現実のものとなった直接の原因は、外食業分野における特定技能1号在留者数の急増です。新型コロナウイルスの水際対策終了後、外食需要の回復とインバウンド客の増加を背景に、飲食業の人手不足は深刻さを増しました。その結果、特定技能外国人の活用が急速に広がり、在留者数が想定を上回るペースで増加していきました。2026年2月末時点の在留者数は約46,000人(速報値)に達し、このまま増加が続けば2026年5月頃に上限の5万人を超える見通しとなりました。この見込みを受けて、出入国在留管理庁と農林水産省は2026年3月27日に停止を発表し、4月13日から措置を発動しています。
技能測定試験も同時に停止
受入停止の影響は申請手続きにとどまりません。外食業分野の特定技能1号を取得するために必要な「外食業特定技能1号評価試験」についても、国内・海外を問わず当面の間、試験実施および予約手続きが停止されました。試験を所管するOTAFF(一般社団法人外食産業技能評価機構)も、すでに予約受付を停止しています。試験を受けて資格取得を目指していた外国人にとっても、受験の機会が実質的に閉ざされた状態であり、外食業1号の新規取得ルートは現時点では機能していません。
停止はいつ解除されるのか
気になるのは「いつ再開されるのか」という点ですが、現時点では具体的な解除時期は示されていません。分野別運用方針によれば、農林水産大臣が次の3つの指標をもとに人手不足状況の変化を継続的に把握し、再び人材確保が必要と判断した場合に、法務大臣に対して停止の解除(再開)を求めるしくみとなっています。- 外食業分野の特定技能1号および育成就労外国人の在留者数
- 有効求人倍率
- 雇用人員判断(DI)
特定技能の受入停止中でも外食業で外国人を採用する4つの方法
受入停止はあくまで「外食業分野の特定技能1号の新規受け入れ」に限られた措置です。視野を広げれば、現時点でも活用できる手段はいくつかあります。自社の状況に合わせて、以下の4つの選択肢を検討してみてください。外食業内の転職者(既存の特定技能人材)を採用する
即効性が高い方法は、すでに外食業分野で特定技能1号として就労している外国人を、自社に転職という形で受け入れることです。前述のとおり、外食業から外食業への転職に伴う在留資格変更は停止措置の対象外であり、引き続き申請が可能です。ただし、同じ状況に置かれた事業者が多いため、既存の特定技能人材の獲得競争はすでに激化しています。人材紹介会社や外食業向けの求人媒体を活用しながら、早期に動き出さなくてはなりません。
また、転職者を受け入れる側の職場環境や待遇条件が採用可否を左右するため、現在在籍している外国人スタッフの定着強化と並行して取り組む必要があります。
飲食料品製造業の特定技能を活用する
「飲食料品製造業」は外食業とは別の特定産業分野として区分されており、現時点では受入停止の対象外です。弁当・惣菜・食品加工など、外食業と隣接する業務領域での活用が考えられます。なお、令和6年3月の閣議決定により、食料品スーパーや総合スーパーの食料品部門における惣菜等の製造も飲食料品製造業分野の対象に追加されており、活用できる業態の幅が広がっています。
外食業分野以外にも、特定技能では介護、宿泊、農業、自動車運送業など、さまざまな産業分野で外国人材を受け入れられます。2026年には「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」が加わり、対象は全19分野に拡大しています。
各分野で認められる業務や技能試験、日本語能力、受入れ企業に求められる条件については、【2026年最新】特定技能の対象分野は全19分野に拡大!最新の受入れ要件・注意点を徹底解説で詳しく解説しています。ただし、飲食料品製造業分野でも在留者数は増加傾向にあり、いつ充足に近づくかは予断を許しません。この手段を検討している場合は、なるべく早く動くことをお勧めします。
特定技能2号(外食業)への移行・新規採用をする
特定技能2号は今回の停止措置の対象外です。在留期間の更新回数に上限がなく、家族の帯同も認められるため、長期的な人材確保という観点から非常に有効な選択肢といえます。2号を取得するには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 外食業分野の特定技能2号評価試験に合格していること
- 日本語能力が「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(JLPT N3合格が目安)であること
- 食品衛生法の営業許可を受けた飲食店等において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人などを指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、副店長・サブマネージャー等として店舗管理を補助した実務経験があること
育成就労制度(2027年施行予定)の活用を視野に入れる
技能実習制度の後継として2027年の施行が予定されている「育成就労制度」は、外食業分野も対象の育成就労産業分野に指定されています。外食業での受入れ見込数は令和9〜10年度の2年間で5,300人とされており、制度が本格稼働すれば新たな受入れルートとなります。育成就労の大きな特徴は、就労開始までに求められる日本語能力が「日本語教育の参照枠」のA1相当以上と、特定技能1号よりも低い水準に設定されている点です。日本語能力がまだ十分でない外国人でも受け入れやすく、現場での就労を通じてスキルと語学力を同時に育てていくことができます。
制度の設計上、育成就労を修了した外国人は特定技能1号、さらに要件を満たせば特定技能2号へと段階的にキャリアアップできる道筋が整えられています。停止中の今だからこそ、2027年以降を見据えた受入体制の準備を始めておく価値があります。
【2027年施行】育成就労制度とは?技能実習との違い・対象分野・転籍要件をわかりやすく解説
外食産業での外国人受入れで行政書士に相談した方が良いケース
在留資格に関する手続きは、一見シンプルに見えても、個々の状況によって判断が変わる複雑な制度です。特に受入停止という異例の措置が加わった今、専門家への相談が有効なケースが増えています。すでに国内にいる特定技能外国人を雇い入れる場合
外食業内での転職受け入れは停止の対象外とはいえ、実際の手続きは単純ではありません。受け入れようとしている外国人が現在どの在留資格を持っているか、どの分野でどのような業務に従事してきたか、そして申請の受理日がどのタイミングになるかによって、申請の可否や必要書類が変わってきます。また、ここで紹介した経過措置や例外ケースへの該当可否は、個別の事情を丁寧に確認しなければ正しく判断できません。「おそらく大丈夫だろう」という思い込みで申請を進めると、書類の不備や受理日のタイミングのずれによって不許可となるリスクがあります。採用コストと手間をかけた後に不許可となる事態は避けたいところです。
こうした判断の難しいケースほど、早い段階で専門家に確認することが結果的に時間と費用の節約につながります。
特定技能以外の在留資格で外国人を受け入れようとする場合
育成就労や技術・人文知識・国際業務(技人国)など、特定技能1号以外の在留資格を活用して外国人を受け入れようとする場合は、資格ごとの要件と認められる業務範囲を正確に理解する必要があります。たとえば技人国ビザは、調理や接客といった現場作業への従事を原則として認めておらず、業務内容の設計を誤ると不許可になるだけでなく、後になって入管から指摘を受けるリスクもあります。
雇用契約書や業務内容の記載が実態と乖離していると、更新時に問題が生じることもあります。複数の在留資格を比較しながら自社の雇用形態・業務内容に最も適したルートを選び、必要書類を正確に整えるには、申請取次の資格を持つ行政書士の関与が大きな安心材料になります。
在留資格の手続きは「一度不許可になると再申請のハードルが上がる」という性質もあります。初めての外国人採用や、これまでとは異なる在留資格の活用を検討している場合は、まず専門家に無料相談をしてみることをお勧めします。
まとめ
2026年4月13日に始まった特定技能「外食業」の新規受入停止は、在留者数が上限の5万人に到達見込みとなったことで発動した措置です。いつ解除されるかは現時点では未定ですが、外食業内での転職受け入れ・飲食料品製造業の活用・特定技能2号への移行・育成就労制度の準備など、今すぐ動き出せる手段は複数あります。制度は複雑で個別判断が必要な場面も多いため、不安な点は早めに専門家へ相談することをおすすめします。外食業分野での外国人採用でお困りの方は、国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」をご活用ください。在留資格・ビザ申請を専門とする行政書士を地域・分野で絞り込んで検索でき、受入停止後の代替ルートの検討から申請取次まで対応できる専門家をスムーズに見つけることができます。