OBD検査とは?整備工場向け|対象車両の判定・実施手順・電子保安基準適合証(保適証)の発行フローを解説

OBD検査とは?整備工場向け|対象車両の判定・実施手順・電子保安基準適合証(保適証)の発行フローを解説

令和6年(2024年)10月から義務化されたOBD検査は、高度な電子制御装置が搭載された車両に欠かせないものとされます。検査の実施タイミングや対象車両などに疑問を抱えるディーラー・整備工場の担当者に向けて、制度の概要から実務フロー、令和7年12月に始まる保適証サービスとの電子連携まで、現場ですぐに使える情報を整理しました。

 
車検の申請手続きや名義変更まで含めて外部委託を検討している場合は、以下の記事も参考になります。
【2026年最新】車検代行をディーラーや整備工場に断られる理由

この記事のポイント

  • OBD検査は、電子制御装置の異常コード(DTC)を読み取り、安全性を確認する車検制度です。
  • 対象となるのは、一定時期以降に型式認定を受けた国産車・輸入車です。
  • 指定整備工場では、OBD検査で「適合」と判定されなければ電子保安基準適合証(保適証)を発行できません。
  • 2026年以降は、OBD検査システムと保適証サービスの電子連携が本格化します。
  • 車検周辺の申請・届出業務は、自動車手続きに強い行政書士との連携が重要になります。

OBD検査とは

近年の自動車には、エンジン制御や自動ブレーキをはじめとする多数の電子制御装置が搭載されています。これらの異常は外観検査では発見が難しく、従来の車検では見落とされるリスクがありました。こうした背景から、令和6年(2024年)10月1日に保安基準の一部が改正され、OBD検査が正式に義務化されています。
OBDとは「On-Board Diagnostics」の略称で、車両に搭載された自己診断システムのことです。エンジンやブレーキ、排気系などを制御するECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が、各システムの異常を検知すると、DTC(Diagnostic Trouble Code:故障コード)として自動的に記録します。
OBD検査では、VCI(Vehicle Communication Interface)と呼ばれる専用の通信インターフェースをOBDポートに接続し、専用アプリを通じてこのDTCを読み出して合否を判定します。整備士であれば日常的に使用する故障診断の仕組みと基本的に同じですが、OBD検査として行う場合は所定の検査システムを通じて実施する必要があります。
※参考:OBD検査(一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)

OBD検査の対象となる車両

OBD検査はすべての車両に義務付けられているわけではなく、対象となるかどうかは車両の種別と型式認定の時期によって決まります。入庫車両ごとに検査要否を正確に判断することが、現場対応の第一歩です。

検査対象となる車両の基準

OBD検査の対象となるのは、一定の時期以降に型式認定を受けた新型車です。国産車は令和3年(2021年)10月1日以降、輸入車は令和4年(2022年)10月1日以降に型式認定を受けた車両が対象となります。ただし輸入車については、検査の実施開始が令和7年(2025年)10月からとなっており、国産車とはスケジュールが異なる点に注意が必要です。
なお、大型特殊自動車・被牽引自動車・二輪自動車はOBD検査の対象外です。日常的に扱う乗用車・小型貨物車が主な対象と考えておくとよいでしょう。
区分対象となる年式の目安備考
国産乗用車・貨物車2021年10月以降の新型車車検証備考欄で要確認
輸入乗用車・貨物車2022年10月以降の新型車検査開始は2025年10月〜
二輪・大型特殊・被牽引対象外

入庫車両がOBD検査の対象かどうか判断するには

入庫時に最初に確認すべきは、自動車検査証(車検証)の備考欄です。OBD検査の対象車両には「OBD検査対象車両」と記載されています。電子車検証の場合はICチップの読み取りで確認できるほか、OBD検査システムにログインして車台番号を入力することでも対象・非対象を照会できます。
車両の入庫時は、年式だけで機械的に判断せず、車検証またはシステムでの確認を習慣づけましょう。

車検(継続検査)におけるOBD検査の実施手順

OBD検査は、受付から合否判定・結果記録まで一連のシステムを通じて完結します。各ステップを正しい順序で実施することが、保適証の適正な交付につながります。

STEP1|車両受付時に検査要否を確認する

入庫時にまずOBD検査システムへログインし、車台番号などの車両情報を入力して検査要否を確認します。システムへのアクセスには工場IDとパスワードが必要です。まだ取得していない場合は、OBD検査ポータルから事前に申請を済ませておく必要があります。

STEP2|DTCの読み取りと合否判定を行う

VCIをOBDポートに接続し、専用アプリ(Android版またはWindows版)を起動してDTCを読み出します。読み取ったデータはサーバーに送信され「適合」または「不適合」の判定結果が表示されます。
「適合」であればそのまま次のステップへ進みますが、「不適合」が出た場合は以下の対応が必要です。
  • 検出されたDTCをもとに、該当する電子制御装置の整備・修理を実施する
  • 修理完了後に再度OBD検査を受け、「適合」を確認してから保適証の発行へ進む
オーナーへの説明は「電子制御装置に記録された異常コードが検出されたため、修理後に再検査が必要です」といった形で、専門用語を避けた平易な言葉を使うと伝わりやすいでしょう。

STEP3|検査結果の記録・参照を行う

検査結果はOBD検査システム上に自動で記録され、必要に応じてCSV形式でのエクスポートも可能です。指定整備工場においては、保安基準適合証(保適証)の交付に先立ち、OBD検査の「適合」が必須条件となっています。
OBD検査を実施せずに保適証を交付した場合は検査の一部未実施とみなされ、行政処分の対象となるため、発行フローの中にOBD検査を確実に組み込む運用体制を整えましょう。

【整備工場向け】令和7年12月の制度改正ポイント

OBD検査の義務化から約1年が経過した令和7年(2025年)12月、保適証サービスとOBD検査システムの電子連携という次のフェーズが始まります。現場への影響が大きい改正であるため、内容と対応ポイントを事前に把握しておかなくてはなりません。

保適証サービスとOBD検査システムの電子連携が開始される(2026年中)

令和8年(2026年)のうちに、保適証サービスとOBD検査システムが電子的に連携されます。連携後は、OBD検査システムから保適証サービスへの検査結果「適合」の連携がなされない限り、保適証サービスによる電子保安基準適合証の発行ができなくなります。

※引用:保適証サービスとOBD検査システムとの連携イメージ(国土交通省)
電子連携の開始にあたっては、OBD検査システムを扱う各整備事業者に専用の連携用IDが発行されます。発行された連携用IDをあらかじめ保適証サービスに登録しておくことで、OBD検査結果の連携および電子保安基準適合証の作成・発行のための準備が整います。

システム連携は無料で利用できる

OBD検査システムと保適証サービスの連携は、無料で利用できる追加機能として実装される予定です。
ただし、これからOBD検査を含めた整備業務を始める場合、DTCの読み取りに使用するVCI本体の導入にあたってコストがかかるため、未導入の工場は早めに準備を進める必要があります。また、工場IDをまだ取得していない場合は、OBD検査ポータルからの申請を早期に済ませておきましょう。

OBD検査は「検査モード」で実施するよう徹底する

システム連携に向けて現場で注意を要するのは、通常の故障診断と操作を混同しないことです。
日常的な整備で使用する故障診断モードではなく、OBD検査用のDTC読み取りモードで実施しなければ、検査システム上で「未実施」として扱われるケースがあるためです。今回の電子連携の導入も、故障診断モードで確認しただけで「適合」と判断してしまうミスの多発を受けたものです。
保適証との電子連携が始まると、このような操作ミスが保適証の発行遅延に直結します。整備士だけでなくサービスフロント担当者も含めた社内周知を徹底し、操作手順書の整備と定期的な確認を行う体制を構築しておきましょう。

まとめ

電子制御装置の適合・不適合を確かめるためのOBD検査は、実施にあたり事前の運用確認が必要です。入庫時に対象車両・非対象車両を正確に確認すること、専用アプリの「OBD検査用DTC読み取りモード」で実施しているかチェックすることを徹底しなければなりません。
車検に伴う自動車登録・名義変更・住所変更・運輸支局への届出など、整備業務の周辺にある書類手続きは、申請取次に対応した行政書士と提携しましょう。国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」では、自動車登録・申請手続きを専門とする行政書士を地域・分野で絞り込んで検索できます。

自動車登録に強い地域の行政書士を探す

お住まいの地域・対応エリアから、自動車登録に強い行政書士を探せます。

北海道・東北
関東
中部
近畿
中国・四国
九州・沖縄

この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。