農業補助金はいくらもらえる?新規就農・農機購入・スマート農業で使える制度一覧【2026年版】

農業補助金はいくらもらえる?新規就農・農機購入・スマート農業で使える制度一覧【2026年版】
農業を始める際や経営を拡大する際には、農地の確保、機械・施設の導入、研修費用など、多額の資金を要します。国や地方自治体が営農者向けに実施する補助金・助成金制度は、積極的に利用しましょう。
ここでは、2025年末時点で利用可能な主要な農業補助金の種類と内容、申請時のポイントを詳しく解説します。
 
なお、補助金制度全般・中小企業が利用できる一覧については以下の記事で詳しく解説しております。
中小企業が利用できる補助金一覧|採択・交付のポイントから行政書士に依頼するメリットまで

目的別・農業補助金の一覧【2026年5月時点】

国や自治体は、新規就農者の育成や農業の生産性向上を目的として、さまざまな補助金制度を用意しています。ここでは、就農準備から経営開始、設備導入、施設整備まで、目的別に活用できる主要な補助金制度を紹介します。

就農準備資金・経営開始資金(新規就農時の費用)

就農準備資金および経営開始資金は、原則50歳未満の若手または新規就農者向けの補助金です。資金の使途は限定されておらず、研修中や就農直後の生活費全般(住居費、食費、光熱費など)に充てられます。
就農に向けた研修を受けている人向けの「就農準備資金」では、都道府県が認めた農業大学校や先進農家・農業法人などの研修機関で、本格的に農業技術を学ぶ人を対象とするものです。研修終了後は1年以内に就農する必要があり、その後も交付期間の1.5倍(最低2年間)は農業を継続することが求められます。

項目

内容

制度名称

就農準備資金

補助対象

就農に向けて必要な技術等を習得する研修期間中の研修生

補助の要件

・就農予定時の年齢が原則50歳未満
・概ね1年以上かつ概ね年間1,200時間以上研修を受ける
・原則、前年の世帯所得が600万円以下である
・常勤の雇用契約を締結していない
・研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入する

補助率

定額

補助額

月額12.5万円(年間最大150万円)を最長2年間交付
新規・若手の就農者が独立し、自営で農業を開始するときは「経営開始資金」が営農開始直後の不安定な時期の支えとなります。補助を受けるにあたって、認定新規就農者として市町村に認められ、青年等就農計画を策定することが求められます。農地の確保や地域との関わりも重視されており、地域計画の目標地図に位置付けられることで、地域農業の担い手として認められるしくみです。
経営開始資金の交付を受けるときは、交付終了後も同期間の営農継続が義務付けられる点に留意しましょう。

項目

内容

制度名称

経営開始資金

補助対象

独立・自営就農する認定新規就農者

事業者の要件

・独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満
・認定新規就農者である
・原則、前年の世帯所得が600万円以下である
・経営開始5年後までに農業で生計が成り立つ実現可能な計画である
・目標地図に位置付けられている
・上記もしくは農地中間管理機構から農地を借り受けている

補助率

定額

補助額

月額12.5万円(年間最大150万円)を最長3年間交付
※夫婦で共同経営する場合:夫婦計で月額1.5倍(年間最大225万円)を交付
※参考:就農準備資金・経営開始資金(農林水産省)

雇用就農資金(農業研修費用)

雇用就農資金は、農業法人等が49歳以下の就農希望者を新たに雇用して、農業就業や独立就農に必要な研修を行うための経費を補助する制度です。新しく雇用する就農者の育成に加え、次の経営者を育成するための派遣研修も支援対象となります。

項目

内容

制度名称

雇用就農資金

補助対象

・就農希望者を新たに雇用し、研修を実施する場合
・独立就農を希望する者を一定期間雇用し、研修を実施する場合
・次世代経営者として育成するため、他社に派遣して研修を受けさせる場合

事業者の要件

【農業法人等の主な要件】
・おおむね年間を通じて農業を営む事業体であること
・原則として期間の定めのない雇用契約を締結すること
・労働環境の改善に取り組むこと
・過去5年間に本事業等の対象となった新規雇用就農者が2名以上の場合、農業への定着率が2分の1以上であること
【新規雇用就農者の主な要件】
・就農の継続および独立する強い意欲のある49歳以下
・支援開始時点で正社員採用後4か月以上12か月未満
・過去の農業就業期間が5年以内
【派遣研修生の主な要件】
・原則55歳未満
・研修終了後1年以内の役員などへの登用

補助率

定額

補助額

【雇用就農者育成・独立支援タイプ】
・年間最大220万円(要件により15万円/人加算)
・1経営体当たりの新規採択人数は年間5人まで
・3人目以降は原則年間最大20万円
【新法人設立支援タイプ】
・年間最大120万円、最長4年間
・3年目以降は年間最大60万円
【次世代経営者育成支援タイプ】
・月あたり最大10万円、最短3ヶ月~最長2年間
※参考:雇用就農資金(農林水産省)

農地利用効率化等支援交付金(経営改善のための設備導入費用)

農地利用効率化等支援交付金は、経営改善に取り組むときに必要な農業用機械・施設の導入を支援する制度です。
制度には、地域計画が立てられている地域の一定要件を満たす営農者向けのタイプのほか、融資を受けて経営改善する営農者向けのタイプ、さらに農業の担い手確保など経営強化を目指す人向けのタイプが用意されています。
本制度を利用するときは、目標と達成する年度を定める必要があるため、実現可能性のある経営改善計画が必要です。

項目

内容

制度名称

農地利用効率化等支援交付金

補助対象

【地域農業構造転換支援タイプ】
農地引受力の向上などのための農業用機械・施設の導入費用
【融資主体支援タイプ】
融資により経営改善に取り組むための農業用機械・施設の導入費用
【担い手確保・経営強化支援事業】
担い手の経営発展に必要な農業用機械等の導入費用
※その他、被災農業者支援タイプ、条件不利地域支援タイプあり

事業者の要件

【主な共通要件】
・地域計画の目標地図に位置付けられた者である
・認定農業者、認定就農者など市町村が認める者であること
・成果目標を設定し、目標年度までに達成する
【地域農業構造転換支援タイプの追加要件】
.地域計画が策定された地域である
・地域計画で農地の目標集積率が高い(8割以上など)
・事業者が地域の農地の引受けや農作業受託の中核となる担い手である
【融資主体支援タイプの追加要件】
・融資を受けて農業用機械・施設を導入する

補助率

原則として各タイプ補助対象の10分の3以内
(タイプや設備導入の方法で上限額あり)

補助額

上限4,000万円
※参考:農地利用効率化等支援交付金(農林水産省)

農業構造転換支援事業(共同利用施設の見直しにかかる費用)

農業構造転換支援事業は、農業用の共同利用施設を再編・集約・合理化するための費用を交付する制度です。共同利用施設は、育苗施設などの生産過程に必要な施設や、農産物処理加工施設、農作物被害防止施設などを指します。共同利用施設に対する補助は、既存施設の撤去費用も対象です。

項目

内容

制度名称

新基本計画実装・農業構造転換支援事業

補助対象

・老朽化した共同利用施設の再編、集約、合理化に要する経費
・共同利用施設の再編、集約、合理化の更なる加速化に要する経費

事業者の要件

・受益農業従事者が5名以上である
・成果目標の基準を満たしている
・面積要件等を満たしている
・修繕・更新に係る積立計画を策定している
・原則として、総事業費が5千万円以上である
・再編、集約、合理化の計画(原則3年以内)を作成する

補助率

【共同利用施設の再編、集約合理化】
事業費の2分の1以内
※一部の取組については別途定める補助率以内
【再編集約・合理化の更なる加速化】
共同利用施設の再編集約・合理化の取組の補助対象経費のうち都道府県が負担する額の2分の1以内

補助額

【共同利用施設の再編集約・合理化】
補助上限額:年間20億円を3年間
※施設ごとに上限事業費の設定あり
【再編集約・合理化の更なる加速化】
国庫補助金額の10分の1
※参考:新基本計画実装・農業構造転換支援事業(農林水産省)

そのほかの制度

これまで紹介した農林水産省の主要補助金以外にも、新規就農者や農業経営者が活用できる支援制度があります。IT導入補助金や地方創生に関連する支援金は、農業分野でも広く利用されており、初期投資の負担軽減や経営基盤の強化に役立ちます。また、各自治体が独自に実施する補助金制度も充実しており、地域の実情に応じた柔軟な支援が受けられます。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の労働生産性向上を目的として、デジタル化やDX等に向けたITツール(ソフトウェアなど)の導入を支援する制度です。農業法人を含む中小企業・小規模事業者が対象で、補助率は原則2分の1、一定条件を満たせば最大3分の2まで引き上げられます。
スマート農業のためのシステム導入では、IT導入補助金の利用も視野に入るでしょう。具体的には、経営管理・販売管理向けのシステムのほか、生産管理システムや、農作業記録アプリケーションなどの導入が見込めます。
<参考>IT導入補助金とは?補助額・対象・申請方法を2026年版で解説

自治体独自の補助金制度

都道府県や市町村は、地域の実情に応じた独自の農業支援補助金を実施しています。とくにスマート農業機器の導入支援に力を入れている自治体が多く、国の補助金と併用することでより高い補助率を実現できるケースもあります。
自治体の補助金は、申請手続きが比較的簡素で採択率が高い傾向にあり、小規模な設備投資に適しています。ドローンや自動換気装置、センサー類など、個別の機器導入を検討している場合は、まず居住地域や就農予定地の自治体が実施する補助金制度を確認することをおすすめします。

起業支援金

起業支援金は、地方創生の一環として、東京圏以外の地域または東京圏の条件不利地域で社会的事業を起業する者を支援する制度です。対象者は、交付決定後に個人開業届または法人設立を行い、起業地の都道府県内に居住している、または居住する予定がある者です。
農業分野においても、地域課題の解決に資する事業であれば起業支援金の対象です。たとえば、地域農産物を活用した6次産業化事業、農業体験サービスの提供、環境に配慮した有機農業の展開などが該当する可能性があります。

移住支援金

移住支援金は、東京23区に居住している、または東京圏から東京23区に通勤している人が、東京圏以外の都道府県または東京圏の条件不利地域に移住した場合に支給される制度です。世帯での移住の場合は100万円、単身での移住の場合は60万円が支給され、18歳未満の世帯員が帯同する場合は、1人につき100万円が加算されます。
農業を始めるために地方移住を検討している場合、この移住支援金を活用することで、移住や就農準備にかかる初期費用の負担を軽減できます。

農業補助金の申請で押さえたいポイント

農業補助金は、制度ごとに対象年齢や営農形態、計画づくりの要件が細かく定められており、要件を満たさないと申請しても採択されません。申請の前段階では、公募要領をよく確認し以下のポイントを押さえましょう。

年齢制限の有無を確認する

若手・新規就農者向けの補助金制度では「原則49歳以下」「原則50歳未満」といった年齢制限が設定されています。年齢要件を満たさない場合、経営改善や農地集約化などの目的に切り替え、別の補助金を検討する必要があります。

認定農業者制度を利用する

多くの設備導入系・経営強化系の補助金では「認定農業者」であることが採択上有利に働くか、あらかじめ申請要件として設定されていることがあります。認定農業者制度は、市町村が基本構想に基づいて営農者を審査し、効率的かつ安定的な農業経営を目指す「農業経営改善計画」を認定するしくみです。
認定農業者になることで、補助金だけでなく、低利融資や税制の優遇、農地の利用集積に関する支援など、さまざまな施策を有利に活用しやすくなります。営農を続ける場合は、早めに認定を得られるよう対応すると良いでしょう。
※参考:認定農業者制度について(農林水産省)

まとめ

農業分野で利用できる補助金には、目的のほかにも年齢制限、営農形態、地域計画への位置付け、成果目標の設定など、細かな要件が定められています。公募要領を読み自身の就農ステージや経営計画に合った制度を選びましょう。
補助金の申請手続きは、事業計画書の作成、必要書類の準備、成果目標の設定など、専門的な知識が求められる場面が少なくありません。本業と並行で申請を進めるにあたり、官公署での手続きを専門とする行政書士によるアドバイスや申請支援は欠かせないといえます。
国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」では、全国各地の補助金申請の実績を有する行政書士を紹介しています。相談先をお探しの方は是非ご利用ください。

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この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。