2026年1月施行の行政書士法改正の概要
2026年1月1日、改正行政書士法が施行された。補助金申請の現場に直接影響するこの改正は「誰が・どのような名目で・何をしてはいけないか」を条文レベルで明確にしたものです。事業者であれば、依頼先を選ぶ際の重要な基準として押さえておきたい内容だといえます。法改正の背景
行政書士法は、行政書士の業務範囲・資格要件・罰則などを定めた法律です。同法第1条の3では「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成する」ことが行政書士の業務とされ、無資格者はできません。補助金の申請書類は「官公署に提出する書類」に該当するため、その有償作成は改正前から行政書士の独占業務として位置づけられています。しかし現実には、経営支援に関するさまざまな名目で対価を受け取りながら、実態として補助金申請書類を作成・代行する無資格業者が業界に数多く存在します。行政書士の資格を持たない補助金コンサルタントが申請書類の作成まで踏み込んでいても、名目しだいでグレーゾーンとして黙認されてきたのが実情です。
何が変わった?行政書士法改正のポイント3つ
2025年6月に法改正が公布され、2026年1月1日に施行されました。核心となるのは第19条(業務の制限)の改正です。改正前の第19条は「行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない」と規定するにとどまっていました。これに対し、改正後は「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない」と明文化されています。
第2のポイントは、電子申請への対応です。補助金申請のデジタル化が進み、GビズIDを使ったオンライン申請が一般化するなか、電子申請の代理操作も行政書士の独占業務の範囲に含まれることが条文上で整理されました。紙の書類だけでなく、電磁的記録の作成・代理送信も規制の対象となっています。
第3のポイントとして重要なのは、今回の改正で新たに違法となる行為が増えたわけではない点です。総務省の通知(総行行第281号)でも、この改正は「現行法の解釈を条文に明示する」ものであると説明されている。つまり、改正前から違法だった行為が、条文の文言によってより明確に可視化されたにすぎません。
※参考:行政書士法(e-gov)、「行政書士法の一部を改正する法律」の成立について(会長声明)、行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)
行政書士法改正による変更点と、各業界への影響は以下の記事でも詳しく解説しております。
【2026年1月施行】行政書士法改正の内容は?各業界・利用者への影響とは
改正で違法性が明確化された行為の例
今回の改正によって、無資格者が行えば違法となる行為が具体的に見えやすくなりました。下記はその代表的な例です。- 補助金の申請書や事業計画書を有償で作成する行為(名目を問わず)
- コンサル料、手数料、成功報酬などの名目による申請書類の有償作成代行
- GビズIDなどを使った電子申請の代理操作
- 採択後に提出が必要な実績報告書の作成代行
<参考>【2026年1月施行】行政書士法改正の内容は?各業界・利用者への影響とは
補助金申請に関係する各業者の業務範囲
補助金申請に関わる業者には、行政書士・中小企業診断士・無資格の補助金コンサルなど複数の種類があります。それぞれの業務範囲は法律によって明確に異なるため、相談しようとするときは「何をどこまで任せられるか」を正確に理解しておきましょう。ここで紹介する3者の業務範囲を整理すると、下の表のとおりです。
| 業務内容 | 行政書士 | 中小企業診断士 | 補助金コンサル(無資格) |
|---|---|---|---|
| 補助金制度の情報提供・アドバイス | ◎ | ◎ | ◎ |
| 事業計画の内容コンサルティング | ◎ | ◎ | ◎ |
| 申請書類・事業計画書の有償作成 | ◎ | ✕ | ✕ |
| 電子申請の代理操作 | ◎ | ✕ | ✕ |
| 採択後の実績報告書作成(有償) | ◎ | ✕ | ✕ |
行政書士は補助金申請をどこまでできる?
行政書士は、補助金申請に関するほぼすべての業務を有償で担うことができる唯一の資格者です。申請書類・事業計画書の作成から、官公署への代行提出、GビズIDを使った電子申請の代理操作まで、一括して対応できます。採択後に求められる実績報告書の作成も業務範囲に含まれるため、申請から補助金受給の完了まで一貫して任せられる点が大きな強みです。
中小企業診断士はどこまでできる?
中小企業診断士は、経営コンサルティングの国家資格であり、経営課題の分析・改善提案・事業計画の内容に関するアドバイスといった支援業務を行うことができます。補助金申請においても「どの補助金が自社に合うか」「事業計画の方向性をどう組み立てるか」といったコンサルティングは適法です。ただし、申請書類や事業計画書の作成そのものを有償で代行することは、行政書士法違反にあたります。たとえ経営の専門家であっても、書類作成の対価を受け取る行為は認められていません。
なお、中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスを持つ場合は、コンサルティングから書類作成までワンストップで依頼できるため、依頼先を選ぶ際の判断基準のひとつになるでしょう。
経営支援・コンサルタントはどこまでできる?
経営コンサルタント、コンサルティングサービス提供事業者などと呼ばれる無資格の事業者も、補助金制度に関する情報提供や申請戦略についてのアドバイスは行うことができます。「どの補助金に申請すべきか」「採択されるための要件は何か」といった助言的なサポートは、資格がなくても適法な範囲です。一方で、申請書類の作成・代行・電子申請の代理操作を有償で行うことは認められていません。
無資格業者に依頼した場合のリスク
「安くて親切だから」「知り合いの紹介だから」という理由で無資格業者に補助金申請を依頼するケースは少なくありません。しかし、依頼する側にも無視できないリスクが生じる点を、事前にしっかり把握しておく必要があります。リスク1|補助金が不採択・無効になる
補助金の申請手続きそのものに違法性が認められた場合、行政庁の審査において不利な判断を受ける可能性があります。近年、省力化投資補助金などの申請マニュアルには「行政書士法に抵触する行為は認められない」旨の記載が盛り込まれるようになっており、審査機関側も違法代行の排除に動き始めています。違法な代行業者による申請であることが発覚した場合、申請そのものの受理を拒否されるかもしれません。さらに深刻なのは、採択・交付後に違法性が判明した場合です。補助金の交付決定が取り消され、すでに受け取った補助金の全額返還を求められるリスクがあるのです。
詳しくは「補助金適正化法の解説」をご確認ください。
リスク2|依頼した事業者側にも法的リスクが及ぶ
「違法とは知らずに依頼した」という事情は、必ずしも免責の理由にはなりません。公的資金を扱う補助金申請のプロセスに違法行為が介在していた事実そのものが、コンプライアンス上の問題として自社に残ることになります。とりわけ、金融機関との取引や入札参加資格の審査など、コンプライアンスが重視される場面では、こうした過去の事実が信用評価に影響する可能性があります。また、取引先や業界内での評判にも波及し得るでしょう。
安全に補助金申請を依頼できる相手の選び方
無資格業者によるリスクを避けるためには、依頼先を選ぶ段階での確認が欠かせません。「実績があるから大丈夫」「知人の紹介だから問題ない」という判断は危険で、資格の有無と業務内容を自分の目で確かめることが何より重要です。依頼前に確認すべき3つのポイント
まず確認したいのは、行政書士としての登録の有無です。日本行政書士会連合会のWebサイトでは、登録行政書士を氏名や事務所名で検索できます。相手が「行政書士です」と名乗っていても、登録が確認できなければ資格者とは言えません。数分で調べられる作業なので、必ず依頼前に実施しましょう。次に、依頼先での業務体制を確認しましょう。経営コンサルティングサービスから補助金申請代行までを一気通貫に行うと謳うサービスでは、創業・経営改善の支援、資金調達の支援、補助金申請代行(有資格者)で各分野の専門家が分業体制を取る場合が一般的です。分業がない場合は、担当者がどんな資格・経験を有するのか見極めなくてはなりません。
3つ目は、電子申請の代理操作を誰が担当するかの確認です。昨今の補助金申請はGビズIDを使ったオンライン手続きが主流になっており、この代理操作も行政書士にしか認められていません。申請書の作成は行政書士が行い、電子申請の送信を別の無資格スタッフが担当するといったケースも違法にあたります。担当者の資格まで含めて確認することが望ましいといえるでしょう。
行政書士に補助金申請を依頼するメリット
行政書士に依頼する最大のメリットは、補助金申請に関わるすべての書類作成・手続きを、法的に適正な形で一任できる点です。申請書類の作成はもちろん、事業計画書の整理・肉付け、電子申請の代理操作、採択後の実績報告書の提出まで、一人のプロに継続して担ってもらえます。また、法改正への対応や各補助金制度の最新動向を継続的に把握しているため、申請要件の見落としや書類不備によるリスクを大幅に減らせます。補助金の採択には制度への深い理解と書類の説得力が求められるため、適切な依頼先の選定は、コンプライアンス遵守のみならず採択率向上にも直結するといえるでしょう。
まとめ
補助金申請の支援を依頼する場合は、各業者の業務範囲を理解し、適切なベンダーを選ぶことが大切です。依頼先の選択を誤ると、補助金の不採択・返還請求、さらには自社のコンプライアンスリスクにまで波及します。経営支援や補助金申請ができる行政書士は、国内最大の行政書士検索サイト「申請Navi」で探せます。是非ご利用ください。