【2026年10月から要件見直し】外国人の起業準備に役立つ!スタートアップビザの特徴とメリット

【2026年10月から要件見直し】外国人の起業準備に役立つ!スタートアップビザの特徴とメリット
外国人起業家の支援策として、起業準備のための在留資格が「スタートアップビザ」という名称で用意されています。注意したいのは、2025年10月16日に在留資格「経営・管理」の許可基準が厳格化されたことで、スタートアップビザについても要件の見直しが入った点です。
ここでは、日本で腰を据えてビジネス開始の準備を進めたい外国人向けに、スタートアップビザの施策と共に、後の経営管理ビザの取得に役立つ審査のポイントを解説します。
経営管理ビザ制度全体の変更点や背景については、以下の記事で詳しく解説しています。
【2026年最新】経営管理ビザ厳格化で不許可急増?変更点と対策

スタートアップビザとは

スタートアップビザとは、外国人起業活動促進事業に基づく支援の取り組みのひとつです。支援対象となるのは日本での起業を目指す外国人で、会社設立前の準備活動を行うための在留資格(特定活動44号)を取得できます。支援は認定を受けた「外国人起業促進実施団体」が行い、その多くは東京都・大阪府などの地方自治体です。
スタートアップビザ(特定活動)の在留期間は原則1年であり、更新できたとしても最長2年です。この期間を使って、在留資格「経営・管理」へ移行しなければなりません。取得するときは「原則1年以内に事業運営を始める必要がある」と考えておきましょう。
なお、外国人起業促進実施団体として認定されている自治体は、JETROの公式サイト(リンク)などから確認できます。

スタートアップビザでできること

スタートアップビザで付与される在留資格「特定活動」の在留期間は原則1年で、要件を満たせば1回更新できます。この期間中に行えるのは、次のような起業に向けた活動です。
  • 市場調査
  • 事業計画の作成
  • 法人向け銀行口座の開設
  • 事業所(事務所・店舗・倉庫など)の確保
  • 取引先との条件交渉といった起業準備活動
また、スタートアップビザを取得した外国人起業家(特定外国人起業家)の配偶者や子どもは、「家族滞在」の在留資格で日本に同行・帯同できます。ただし家族滞在の在留資格では、家族自身が独立して就労することは原則できません。家族全員で日本に移住して起業準備を進めたい場合は、生活費や滞在費の計画も含めて事前に準備しておきましょう。
※参考:外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)/経済産業省

スタートアップビザと経営管理ビザの違い

スタートアップビザは「起業の準備段階」に特化した在留資格(特定活動44号)であるのに対し、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)は実際に会社を設立・経営するための在留資格です。在留期間は前者が最長2年、後者は3か月〜5年で、事業が継続する限り更新が可能という点でも大きく異なります。
上記のような違いから、事業の運営に求める条件も異なります。詳しい外国人起業家向けのビザの違いは下の表のとおりです。
比較項目スタートアップビザ経営管理ビザ(改正後)
在留資格特定活動(44号)経営・管理
在留期間原則1年(更新1回・最長2年)3か月・6か月・1年・3年・5年
事業所要件1年以内に確保する見込みがある申請時点で確保済みであること(自宅兼用は原則不可)
資本金・事業規模要件1年以内に財産総額3,000万円以上となる見込みがある払込済資本金3,000万円以上(法人の場合)※
常勤職員要件1年以内に1人以上従事する見込み申請時点で1人以上雇用している
経営経験・学歴要件1年以上の経営経験、または修士・博士・専門職学位3年以上の経営管理経験、または修士・博士・専門職学位
日本語能力の要件規定なし申請者または常勤職員のいずれかがJLPT N2相当以上(新設)
事業計画書の要件外部識見者(VCなど)の意見聴取が必要中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認が必要(新設)
申請窓口外国人起業促進実施団体 → 地方出入国在留管理局へ地方出入国在留管理局
※個人事業主の場合は、事業所の確保・人件費・設備投資等の事業に投下された総額が3,000万円以上であること。
2025年10月16日の改正により、経営管理ビザの許可基準は大幅に厳格化されました。資本金要件が従来の500万円から3,000万円に引き上げられたほか、日本語能力要件・常勤職員の雇用義務・事業計画書の専門家確認義務が新設されています。
ここで注意したいのは、すでにスタートアップビザを取得している人です。経営管理ビザに今後切り替えるときは、改正告示の施行日(令和7年10月16日)以降に確認証明書が交付されている場合、3,000万円規模の資金調達など新基準に対応できる準備が必要です。
参考:【2026年最新】経営管理ビザ厳格化で不許可急増?変更点と対策

【2025年10月16日改正】スタートアップビザの要件

2025年10月16日の法改正では、経営管理ビザの許可基準が大幅に厳格化されました。それに合わせてスタートアップビザの要件も見直されており、資本金規模や経営経験などの基準が引き上げられています。

外国人起業家に求められる要件

改正後の告示では、外国人起業家が起業準備活動計画の確認を受けるにあたり、以下の要件をすべて満たすことが求められます。
■ 事業分野の適合性
……起業を目指す事業が「日本の産業の国際競争力の強化および国際的な経済活動の拠点の形成」という制度の趣旨に合致していることが前提です。より具体的には、外国人起業促進実施団体が各地の自治体である場合は、その指定する一定の事業分野でなくてはなりません。多くは、その地方の産業振興に役立つ事業分野です。
■ 事業規模:財産総額3,000万円以上(改正で大幅引き上げ)
……申請後1年以内に、事業の用に供される財産の総額(資本金・出資総額を含む)が3,000万円以上となる見込みがあることが必要です。改正前は500万円が目安とされていたため、要件が大幅に引き上げられた点は特に注意が必要です。また、1年以内に経営者・管理者以外の常勤職員(日本在住)が1人以上従事する見込みがあることも求められます。
■ 経営経験または学歴要件
……申請者本人が、事業の経営または管理について1年以上の実務経験を有していること、あるいは経営管理・申請事業に関連する分野において博士・修士・専門職学位(国外取得含む)を有していることが必要です。単なるアイデアや意欲だけでなく、事業を実際に推進できる能力を客観的に示すことが求められます。
■ 日本国内居住義務(改正で新設)
……改正により新たに設けられた要件として、起業準備活動の在留期間中は日本国内に居住することが義務付けられました。海外に居住しながら日本での起業準備活動のみ行うといった使い方は認められません。
※参考:スタートアップビザの要件見直しについて/経済産業省

起業準備活動計画(事業計画書)の要件

外国人起業家は、上記の個人要件に加え、起業準備活動計画(事業計画書)についても一定の基準を満たす必要があります。
計画の内容は「適正かつ確実」なものでなければならず、この判断は外国人起業促進実施団体が行います。審査のしくみは、事業の起業・経営に関し識見を有する者(ベンチャーキャピタルやアクセラレーターなどの外部有識者)の意見を聴いたうえで、計画確認証明書を交付するかどうかを判断するものです。このとき、ビジネスとして成立しうる内容かどうかが厳しく問われます。
計画書には、1年以内に日本国内に事業所を確保する見込みを明記することも必要です。なお、国家戦略特区の創業活動促進事業(特区での経営管理ビザ)を過去または並行して利用している場合、その期間とスタートアップビザの期間を合算して2年を超えることはできません。制度の組み合わせを検討する際は、残りの利用可能期間に注意が必要です。

スタートアップビザの申請の流れ

スタートアップビザの取得は、一般的なビザ申請と異なり「実施団体への申請」と「出入国在留管理局への申請」の2段階で進みます。それぞれのステップで求められる内容を確認しておきましょう。

①外国人起業促進実施団体への申請

まず、経済産業大臣の認定を受けた外国人起業促進実施団体(各地の自治体など)を選び、起業準備活動計画の確認申請を行います。
申請時は、日本語または英語で作成した起業準備活動計画書(様式第1号・別紙含む)とともに、起業活動の工程表・申請者の履歴書・住居を明らかにする書類・1年間の滞在費を明らかにする書類などを提出します。審査を通過すると「起業準備活動計画確認証明書」が交付されます。確認証明書の有効期間は交付日から3か月のため、速やかにビザ申請の手続きに移行しましょう。

②出入国在留管理局への申請

確認証明書を受け取ったら、管轄の地方出入国在留管理局に対して在留資格「特定活動(44号)」の付与申請を行います。提出する主な書類は、確認証明書・パスポート・賃貸借契約書・預金通帳の写しなどです。審査を経て在留資格が付与されると、いよいよ日本での起業準備活動を開始できます。

③在留中の管理・支援

在留資格取得後も、外国人起業家は実施団体による継続的な管理・支援を受けることになります。実施団体は少なくとも月1回、外国人起業家と面接を行い、起業準備活動の進捗状況や生活状況を確認したうえで、その結果を経済産業大臣および地方出入国在留管理局に報告しなければなりません。

④在留資格変更許可申請(経営管理ビザへの移行)

在留期間内に会社の設立・事業所の確保・資本金の調達などの準備が整ったら、在留資格を「経営・管理」(経営管理ビザ)に変更する申請を行います。
この変更申請において、自社が発行する有償新株予約権に対する払込金額が確定・払込済みであり、かつ返還義務が付されていない場合は、その金額を資本金等に算入したうえで事業規模要件(財産総額3,000万円以上)を判断してもらえる特例があります。資金調達の手段としてエクイティファイナンスを活用している場合は、この特例の活用を念頭に置いて計画を立てることが有効です。

2025年10月の要件厳格化を踏まえたスタートアップビザ審査のポイント

令和7年10月16日の要件見直し以降、スタートアップビザの審査はより厳しくなっています。実施団体が外部識見者の意見を踏まえて判断する審査において、どのような点が重視されるのかを理解しておくことが、計画書作成の第一歩です。
※参考:外国人起業活動促進事業に関する告示(令和7年10月16日分)

事業の国際競争力・拠点形成への適合性

告示(第5条第6項第1号①)では、申請者の起業準備活動が「我が国の産業の国際競争力の強化および国際的な経済活動の拠点の形成を図る上で適切なものであること」と明記されています。つまり、審査では事業の内容そのものが日本の産業振興に資するかどうかが問われます。
この要件を満たすためには、事業計画書において「なぜ日本市場でこの事業を展開するのか」「日本の産業や経済にどのような貢献をもたらすのか」を具体的に説明することが重要です。単に日本での売上を見込むだけでなく、技術・知識・ネットワークの観点から日本経済への波及効果を記述することが求められます。裏付け資料として、業界レポートや市場調査データ、競合分析資料、海外での事業実績を示す資料(顧客契約書・決算書等)などを用意しましょう。

事業計画の適正性・確実性

告示(第5条第6項第1号②)では、起業準備活動計画が「適正かつ確実なものであること」が要件とされています。実施団体はVC・アクセラレーター等の外部識見者の意見を聴いたうえでこれを判断するため、投資家に対するピッチに近い水準の説得力が計画書に求められます。
具体的には、以下の事項を計画書・添付資料に盛り込むことが重要です。
  • 起業活動の工程表(起業準備の開始から経営管理ビザへの切り替えまでのマイルストーン)
  • 事業開始に必要な資金額と資金調達方法(自己資金・融資・出資の内訳)
  • 事業所の開設予定時期と場所
  • 法人設立を予定する場合の役員構成・国籍・勤務形態
添付書類として、上陸後または在留資格変更後1年間の住居を明らかにする書類(賃貸借契約書等)と、1年間の滞在費を明らかにする書類(預金通帳の写し等)も必須です。

事業規模要件の見込み(財産総額3,000万円・常勤職員1名以上)

すでに解説しましたが、告示(第5条第6項第1号③)では、申請後1年以内に「財産総額3,000万円以上」かつ「常勤職員1名以上(経営者・管理者以外)」の事業規模となる見込みがあることが明記されています。これは令和7年10月の改正で大幅に引き上げられた要件であり、審査上最も注目されるポイントの一つです。
財産総額3,000万円の「見込み」を示すためには、資本金の払込計画だけでなく、投資家からの出資確約書・融資予約書・有償新株予約権の払込金額に関する合意書面など、資金調達の具体的な根拠となる書類を用意しましょう。常勤職員についても、採用計画や内定通知書・雇用契約書の案などで見込みの具体性を示すことが審査の信頼性を高めます。
<参考> 経営管理ビザ3000万円要件を徹底解説【2025年10月16日施行・更新への影響】

申請者の経営経験・学歴要件

告示(第5条第6項第1号⑤)では、申請者が「事業の経営または管理について1年以上の経験を有すること」または「経営管理・事業関連分野の博士・修士・専門職学位(国外取得含む)を有すること」のいずれかを満たすことが必要です。
経営経験を証明する資料としては、過去の会社の登記書類・決算書・雇用契約書・役員就任証明書などが考えられます。学位要件を満たす場合は、学位記の写しと日本語翻訳文を用意してください。なお、経営管理ビザへの切り替え時には「3年以上の経営経験」が必要となるため、スタートアップビザの在留期間中に経営実績を積み上げていくことを意識した計画を立てましょう。

まとめ

スタートアップビザは、日本での起業を目指す外国人が、会社設立前の準備段階から在留資格(特定活動44号)を取得して活動できる制度です。2025年10月16日の要件見直しにより、財産総額3,000万円以上の事業規模見込みや日本国内居住義務など、申請基準は大幅に厳しくなりました。しかしその分、実施団体による手厚い支援を受けながら起業準備を進められるという制度本来のメリットは変わりません。
経営管理ビザへの切り替えを見据えると、スタートアップビザの在留期間(最長2年)は決して長くありません。資金調達・事業計画・事業所の確保といった準備を計画的に進めることが、ビザ変更の許可を得るための要だと言えます。
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この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。