自動車の所有権解除とは?ローン完済後の手続き・必要書類・費用を徹底解説

自動車の所有権解除とは?ローン完済後の手続き・必要書類・費用を徹底解説

マイカーローンを完済したら、忘れずに行いたいのが「所有権解除」の手続きです。手続きをしないままでは、車の売却・廃車・名義変更といった場面で支障が生じます。

ここでは、所有権解除の意味から手続きの流れ・必要書類・費用相場・書類紛失時の対処法まで、普通車・軽自動車別にわかりやすく解説します。

 

所有権解除とあわせて、車の名義変更手続きを進めたい方も多いでしょう。必要書類や費用、陸運局での流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

車の名義変更を自分でやる方法|必要書類・費用・手続きの流れをわかりやすく解説

この記事のポイント

  • 所有権解除とは、ローン完済後に車の所有者名義を自分へ変更する手続きです。
  • 手続きをしないままだと、売却・廃車・譲渡ができない場合があります。
  • 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きを行います。
  • 必要書類や費用は、普通車・軽自動車・住所変更の有無で異なります。
  • 平日に動けない場合や書類が複雑な場合は、行政書士への依頼も有効です。

自動車の所有権解除が必要になるしくみ

マイカーローンで車を購入すると、ローンの返済が終わるまでの間、車の所有権はローン会社やディーラー(販売店)にあります。これを「所有権留保」といい、車検証(自動車検査証)の所有者欄に記載されているのは、実際に車を使っている本人ではなく、ローン会社やディーラーの名義です。
一方で、ローンを完済したのであれば、所有者名義を自分(使用者)に変更する手続きができます。これを「所有権解除」と呼び、普通車なら移転登録と呼ばれる名義変更の手続きを実施します。
「所有権解除をしなくて問題ないのでは」と感じる方も多いのですが、所有権解除を怠ると、さまざまな場面で思わぬ支障が生じます。最も困るのが、車を売却・廃車・譲渡しようとするタイミングです。車検証上の所有者がローン会社になっているため、新しい所有者への名義変更手続きを進めることができません。
また、道路運送車両法第13条第1項では、自動車の所有者に変更が生じた場合は15日以内に移転登録を行うことが義務付けられており、怠ると50万円以下の罰金が科される可能性があります。日常的な運転に支障がないため後回しにされがちですが、完済後は速やかに手続きを済ませておきましょう。

自動車の所有権解除の手続きの流れ

所有権解除の手続きは、
  1. ローン会社への依頼
  2. ローン会社から返送された書類の受け取り
  3. 移転登録の申請
という3段階で進みます。普通車(運輸支局)と軽自動車(軽自動車検査協会)では手続き先が異なりますが、大まかな流れは共通です。
完済からすべての手続きが完了するまで、書類のやり取りを含めると2〜4週間程度かかるケースもあるため、売却や廃車の予定がある場合は早めに動き出しましょう。

ローン会社に所有権解除を依頼する

まず、手元にある車検証と完済証明書(契約終了通知書)を準備します。完済証明書はローンの返済が完了した後、1週間〜10日程度で自宅に郵送されてくるのが一般的です。
次に、車検証の「所有者」欄に記載されているローン会社に連絡し、所有権解除に必要な書類の種類と送付先を確認します。電話対応のほか、WebフォームやFAXで受け付けているローン会社も多く、ローン会社のWebサイトで手続き方法を確認できる場合もあります。
必要書類が揃ったら、ローン会社が指定する宛先に郵送します。重要書類を同封するため、簡易書留での発送が推奨されます。送付書類の内容はローン会社によって異なりますが、一般的には以下のものが求められます。
  • 車検証のコピー(または原本)
  • 印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 委任状
  • 完済証明書
  • 所有権解除依頼書(ローン会社所定の様式)
なお、ローン返済中に住所変更や改姓があった場合は、印鑑証明書と車検証の情報が一致しないため、住民票や戸籍抄本など「変更のつながりがわかる書類」を追加で求められることがあります。

ローン会社から返送された書類を受け取る

送付した書類に不備がなければ、ローン会社での処理が完了した後、名義変更に必要な書類が返送されてきます。処理期間はローン会社によって異なりますが、1週間〜10日程度が目安です。
ローン会社から送られてくる書類の内容は、普通車と軽自動車で異なります。普通車の場合は、旧所有者(ローン会社)の実印が押された譲渡証明書や委任状、印鑑登録証明書などが届きます。
軽自動車の場合は「申請依頼書」などが届く形が一般的ですが、詳細はローン会社により異なるため、送付前の問い合わせ時に確認しておくと安心です。

名義変更(移転登録)の手続きを行う

ローン会社から書類が届いたら、必要書類一式を揃え、新しい使用者の住所(使用の本拠の位置)を管轄する窓口に出向いて申請します。普通車は管轄の運輸支局(陸運局)、軽自動車は管轄の軽自動車検査協会が申請先です。
申請が完了すると新しい車検証が交付され、これで所有権解除の手続きはすべて完了となります。
なお、名義変更の手続きにはオンライン申請(OSS)を利用する方法もあります。OSSを使うと、移転登録と車庫証明の手続きを同時にオンラインで完結でき、窓口への往復が1回少なくなるメリットがあります。

自動車の所有権解除のための必要書類【普通車・軽自動車別】

所有権解除の窓口申請に必要な書類は、普通車(運輸支局)と軽自動車(軽自動車検査協会)で異なります。事前に過不足なく揃えておかないと、当日窓口で受付してもらえないケースもあります。事前にリストを確認しながら準備を進めましょう。

普通車の必要書類一覧

普通車の移転登録では、旧所有者(ローン会社)と新所有者(本人)の双方に関わる書類が必要になります。特に印鑑登録証明書は双方分が必要な点を見落としがちなので注意してください。
書類名取得先備考
移転登録申請書
(OCR第1号様式)
運輸支局窓口 or ダウンロード本人申請の場合は実印を押印
手数料納付書
(自動車検査登録印紙を貼付)
運輸支局窓口登録手数料分の印紙を貼付
譲渡証明書ローン会社から郵送旧所有者(ローン会社)の実印が必要
新旧所有者の印鑑登録証明書市区町村窓口発行から3か月以内。新・旧それぞれ1通ずつ必要
委任状
(代理申請の場合)
自作 or ローン会社から郵送新旧所有者それぞれの実印を押印
車検証手元にある有効期間内の原本。電子車検証の場合は「自動車検査証記録事項」も用意
自動車保管場所証明書
(車庫証明)
管轄警察署使用の本拠の位置が変わる場合のみ必要。証明日から概ね1ヶ月以内
使用者の住所を証する書面
(住民票等)
市区町村窓口新所有者と新使用者が同一の場合は不要
車検証の種類についても確認が必要です。所有者と使用者が異なる車検証には「Aタイプ」と「Bタイプ」の2種類があり、Bタイプは所有者の情報が備考欄に記録されています。
また、2023年1月以降に交付された電子車検証の場合、券面には所有者の記載がなく、情報はICタグに格納されています。申請手続きをスムーズに進めるため、車検証の交付時に渡された「自動車検査証記録事項」のコピーも手元に用意しておくと安心です。
ローンの返済期間中に住所変更や改姓があった場合は、印鑑証明書と車検証の記載内容が一致しなくなります。その場合は、住民票や戸籍抄本など「変更のつながりがわかる書類」を追加で提出する必要があります。

軽自動車の必要書類一覧

軽自動車の名義変更は、普通車と比べて必要書類が少なく、実印や印鑑登録証明書が不要な点が大きな違いです。使用者の住所に変更がない場合は、住民票等の提出も不要です。
書類名取得先備考
自動車検査証変更記録申請書
(軽第1号様式)
軽自動車検査協会窓口 or ダウンロード当日窓口で記入可
車検証手元にある原本(コピー不可)
使用者の住所を証する書面
(住民票または印鑑登録証明書)
市区町村窓口使用者または住所に変更がある場合のみ。いずれか1点(発行から3か月以内)。コピー可
申請依頼書軽自動車検査協会使用者本人以外が手続きする場合に必要
ナンバープレート車に付いているもの管轄変更が生じる場合のみ返納
軽自動車税の申告が必要な場合は、軽自動車検査協会に隣接する税関係窓口でも手続きが必要になります。また、地域によっては名義変更の手続き後に、管轄の警察署へ自動車保管場所届出書(車庫届出)の提出が求められるケースもあります。

所有権解除にかかる費用の相場

所有権解除にかかる費用は、自分で手続きするか、専門家に代行を依頼するかによって大きく異なります。自分で対応できれば数百円〜数千円で済む一方、複雑なケースでは専門家への依頼が結果的にコストを抑えることもあります。

自分で手続きする場合(最安)

書類を自分で揃えて窓口に持参する場合、費用は実費のみで済みます。普通車の場合は運輸支局で支払う自動車検査登録印紙代として700円、軽自動車検査協会での申請手数料は無料です。そのほか、印鑑証明書や住民票の取得にそれぞれ300円前後(市区町村により異なる)がかかります。
使用の本拠の位置(住所)に変更がある場合は、別途車庫証明の取得が必要です。警察署での手数料は地域によって異なりますが、2,000〜2,800円程度が目安です。
費用の合計は、車庫証明が不要な場合で1,000〜2,000円程度、必要な場合でも4,000円前後が目安となります。

行政書士に代行依頼する場合

所有権解除の代行手続きは、行政書士に依頼することができます。報酬の目安は5,500〜11,000円程度(登録手数料700円等の実費別)が一般的ですが、地域や事務所によって異なります。車庫証明の取得代行が加わる場合や、管轄変更によるナンバー変更が必要な場合は、それぞれ追加費用が発生します。
平日に運輸支局へ出向く時間が取れない場合や、住所変更・改姓が絡んで必要書類が複雑になる場合、車庫証明の取得と同時に進めたい場合などは、行政書士への依頼が確実です。自分で手続きするより費用はかかりますが、書類の不備による差し戻しや、何度も窓口に足を運ぶ手間を考えると、費用対効果は十分あります。

所有権解除の書類を紛失した場合はどうする?

所有権解除の手続きには複数の書類が必要になるため、準備の途中や保管中に紛失してしまうケースもあります。書類の種類によって対応方法が異なるため、何をなくしたかを確認した上で、それぞれの窓口に相談しましょう。

完済証明書をなくした場合

完済証明書は、ローンの返済が完了した後、一般的に1週間〜10日程度で自宅に届きます。一定期間が経っても届かない場合や、届いたものを紛失してしまった場合は、ローン会社に直接連絡して再発行を依頼します。
再発行の手続き方法はローン会社によって異なりますが、WebフォームやFAX、郵送で受け付けているところが多く、一部の信販会社はWebサイトから申請フォームをダウンロードできる場合もあります。再発行には数日〜1週間程度かかるケースが多いため、手続きを急いでいる場合は早めに連絡することが大切です。

所有権解除書類(譲渡証明書など)を紛失した場合

ローン会社から届けてもらう譲渡証明書や委任状などを紛失した場合は、やや注意が必要です。これらの書類はローン会社が発行するものであり、種類によっては再発行に応じてもらえないケースがあります。一方で「所有権関連書類の再発行申請書」といった手続きを設けている信販会社もあります。
いずれにせよ、紛失が判明した時点でできるだけ早くローン会社に連絡し、対応方法を確認することが先決です。自己判断で手続きを止めたり放置したりすると、手続き全体が大幅に遅れてしまうことがあります。

車検証を紛失した場合

車検証を紛失した場合は、再交付の申請が可能です。普通車は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会の窓口で手続きができます。本人が申請に行けない場合は代理人による申請も認められていますが、その際は委任状が必要です。
車検証の再交付を受けた後、改めて所有権解除の手続きを進める流れになります。

名義変更・売却・廃車と所有権解除を同時に行うには?

所有権解除は単独で手続きするだけでなく、名義変更・売却・廃車といった手続きと同時に進めることも可能です。状況に応じて組み合わせることで、窓口への往復回数を減らすことができます。

所有権解除と名義変更を同時に行う場合

普通車の場合、所有権解除(旧所有者からの移転)と名義変更(新しい所有者への移転)は、同日・同じ運輸支局の窓口でまとめて申請することができます。車を家族に譲る場合や、中古車として知人に売却する場合などに活用できます。
その際の必要書類は、所有権解除に必要なものと名義変更に必要なものをそれぞれ揃える形になります。書類の準備は増えますが、窓口への足が一度で済む分、時間と交通費の節約につながります。

車を売却・買取に出す場合

原則として、ローンが残っている状態では所有権解除ができないため、残債を完済してから手続きを進めることが必要です。ただし、大きな事故や災害による全損など、特別な事情がある場合は、ローン会社やディーラーと相談の上で例外的な対応が認められるケースもあります。
買取業者に売却する場合は、車検証の原本とローン会社から送られてきた名義変更用書類を買取業者に渡し、業者側が手続きを代行する流れが一般的です。ローン会社への連絡から書類の受け取りまでに1〜2週間かかることを踏まえ、売却を決めたタイミングでできるだけ早くローン会社へ連絡しておきましょう。

廃車手続きと同時に行う場合

車を廃棄する場合の手続きには「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類があります。いずれも、所有権解除と同時に運輸支局で申請することが可能です。また、廃車(抹消登録)と同時に申請する場合は、通常の移転登録では必要な自動車保管場所証明書(車庫証明)が不要になります。
 
車を手放す予定がある場合は、所有権解除と廃車手続きを同時に進めることで、窓口への往復を減らせるケースがあります。廃車手続きの種類や必要書類については、以下の記事も参考にしてください。
廃車手続きはどうする?流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説
 

まとめ

自動車の所有権解除は、ローン完済後に必ず行うべき手続きです。普通車と軽自動車で手続き先・必要書類・費用がそれぞれ異なる点、完済からすべてが完了するまでに2〜4週間程度かかる点を押さえた上で、早めに準備しましょう。
書類の準備や平日の窓口対応が難しい場合、住所変更・改姓が絡んで手続きが複雑になる場合、名義変更・車庫証明の取得と同時に進めたい場合は、自動車登録を専門とする行政書士への依頼が確実です。
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この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。