廃車手続きはどうする?流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説

廃車手続きはどうする?流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説
車を手放すとき「廃車手続きってどこでするの?」「自分でできるの?」と悩む方は少なくありません。
ここでは、普通車・軽自動車それぞれの申請先・必要書類・費用から、手続き後に受け取れる重量税や自賠責保険の還付まで、廃車手続きの全体像をわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 廃車手続きは、「一時的に乗らない」のか「解体して完全に手放す」のかで選ぶ手続きが変わります。
  • 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が申請先で、必要書類や費用も異なります。
  • 手続きをしないまま放置すると、自動車税がかかり続けるほか、重量税や自賠責の還付を受け損ねるおそれがあります。
  • 自分でできる手続きではあるものの、相続・ローン残債・名義違い・書類紛失がある場合は複雑になりやすいです。
  • 迷う場合は、自動車手続きに強い行政書士に依頼するのが安全です。

廃車手続きとは

車を解体したり、しばらく乗らずに保管したりするときは、廃車手続きが必要です。まずは廃車手続きの基本的な仕しくみと、手続きをしなかった場合のリスクを整理してみましょう。

廃車手続きの種類

廃車手続きとは、正確には抹消登録と呼ばれる手続きの総称です。登録を受けた自動車の使用をやめる際に、その登録情報を抹消するために行います。
「廃車にする=スクラップにする」とイメージしがちですが、実際には目的に応じて手続きの種類が異なります。手続きを正しく選ぶことで、不要な自動車税や自賠責保険料を払い続けるリスクを防ぐことができます。また、普通車と軽自動車では申請先も異なるため、まず自分の車がどちらに該当するかを確認しておくことが大切です。

普通車の廃車手続き

普通車(登録自動車)の廃車手続きには、以下の3種類があります。
■一時抹消登録
……しばらく乗らないが、将来また乗る可能性がある場合に行う手続き。登録を一時的に止める
■永久抹消登録
……リサイクル事業者に引き渡して解体処分した場合に行う手続き。登録を完全に消去する
■輸出抹消仮登録
……自動車を海外に輸出する場合に行う手続き
申請先は、自動車の使用の本拠(主に自宅や事業所の所在地)を管轄する**運輸支局(陸運局)**です。国土交通省のワンストップサービスを通じて、自宅からオンラインで申請することも可能です。

軽自動車の廃車手続き

軽自動車の廃車手続きは、普通車とは名称・申請先が異なります。軽自動車の場合に対応する手続きは以下の3種類です。
■自動車検査証返納届(一時使用中止)
……しばらく乗らない場合に車検証を返納し、登録を一時停止する手続き
■解体返納
……車検証をまだ返納していない状態から、解体処分とともに登録を抹消する手続き
■解体届出
……すでに一時使用中止の手続きを済ませた後に解体した場合に行う届出
申請先は、ナンバープレートの管轄である軽自動車検査協会の事務所・支所です。受付は平日のみとなっているため、訪問前に各事務所の業務受付時間を確認しておきましょう。

廃車手続きをしないとどうなる?

車を処分した後や、乗らなくなった車を放置したまま廃車手続きを怠ると、さまざまなリスクが生じます。
まず、自動車税(軽自動車税)が課税され続けます。税金は車両の登録状況に基づいて課税されるため、実際には乗っていない・すでに解体した車であっても、手続きが完了するまで毎年納税義務が発生し続けます。
また、自賠責保険の残存期間に応じた保険料の還付を受けられなくなる可能性もあります。廃車手続きと合わせて保険会社への解約手続きを行えば残存分の保険料が返金されますが、放置していると還付の機会を逃すことになります。
さらに、廃車したつもりの車を第三者に売却・譲渡した際、登録が残ったままでは名義変更などの手続きでトラブルになるケースもあります。加えて、自動車リサイクル法では使用済み自動車の適正処理が義務づけられており、解体業者への引き渡しや抹消登録を行わずに放置・不法投棄した場合は法的な問題に発展することもあります。

廃車手続きの申請先・必要書類・費用一覧

廃車手続きの種類によって、申請先・必要書類・費用はすべて異なります。自分の車が普通車か軽自動車かを確認したうえで、該当する手続きの内容を確認しておきましょう。

【普通車】一時抹消登録(一時的に使用しない場合)

しばらく乗らないが、将来また乗る可能性がある普通自動車に適した手続きです。登録を一時的に停止するもので、再び乗りたくなったときに「中古新規登録」として再登録できます。
申請先は、自動車の使用の本拠(自宅・事業所等)を管轄する運輸支局(陸運局)です。国土交通省のワンストップサービスを利用したオンライン申請にも対応しています。
必要書類は以下のとおりです。
  • OCR申請書(第3号様式の2)
  • 手数料納付書 ※運輸支局窓口で入手可
  • 所有者の印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 自動車検査証の原本
  • ナンバープレート前後2枚
  • 委任状(代理人が申請する場合・実印押印)
手数料は350円(自動車検査登録印紙代)のみです。ただし、現在の住所や氏名が車検証の記載と異なる場合は、住民票や戸籍の附票など変更を証明する書類が追加で必要になります。

【軽自動車】自動車検査証返納届(一時的に使用しない場合)

軽自動車でしばらく使用しない場合の手続きは、自動車検査証返納届(一時使用中止)です。普通車の一時抹消登録に相当する手続きで、車検証(自動車検査証)を軽自動車検査協会へ返納します。
申請先は、ナンバープレートの管轄を担う軽自動車検査協会の事務所・支所です。受付は平日のみのため、訪問前に営業時間を確認してください。
必要書類は以下のとおりです。
  • 自動車検査証(車検証)の原本
  • ナンバープレート前後2枚(紛失した場合は車両番号標未処分理由書が必要)
  • 自動車検査証返納証明書交付申請書・返納届出書(軽第4号様式)
  • 申請依頼書(使用者以外が手続きする場合)
  • 事業用自動車等連絡書(黒ナンバー車両の場合のみ)
手数料は、自動車検査証返納証明書の交付を受ける場合は450円、交付が不要な場合は無料です。なお、軽自動車税は毎年4月1日時点の車検証名義人に課税されます。年度をまたいで課税されないよう、3月末までに手続きを済ませることを推奨します。

【普通車】永久抹消登録(解体など手放す場合)

リサイクル事業者(引取業者)に引き渡し、解体処分した普通自動車に適した手続きです。登録が完全に抹消されるため、再登録はできません。
申請先は運輸支局です。申請の前提として、解体業者から移動報告番号(解体報告番号)が通知されている必要があります。引取業者による解体完了報告がなされた後に申請してください。
必要書類は以下のとおりです。
  • OCR申請書(第3号様式の3)
  • 手数料納付書
  • 所有者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 自動車検査証(原本)
  • ナンバープレート(前後2枚)
  • 委任状(代理人が申請する場合・実印押印)
  • 自動車重量税還付申請書(重量税の還付がある場合/振込口座情報・マイナンバーも必要)
申請手数料は無料です。所有者が死亡している場合でも、相続人のうち1名が相続関係を証明する戸籍謄本等を持参することで申請できます。

【軽自動車】解体返納(解体など手放す場合)

一時使用中止(車検証返納)の手続きをせずに解体する場合の手続きを、解体返納といいます。車検証を持ったままの状態で解体業者に引き渡したケースがこれに当たります。
申請先は、使用の本拠を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所です。
必要書類は以下のとおりです。
  • 自動車検査証(車検証)原本(コピー不可)
  • 移動報告番号(引取業者から交付される使用済自動車引取証明書に記載のリサイクル券番号)
  • ナンバープレート(前後2枚)※紛失した場合は車両番号標未処分理由書が必要
  • 解体届出書(軽第4号様式の3)※当日窓口で入手可
  • 申請依頼書(所有者以外が手続きする場合)
  • 事業用自動車等連絡書(黒ナンバー車両の場合のみ)
申請手数料は無料です。自動車重量税の還付を受ける場合は、解体返納の申請と同時に還付申請を行う必要があります。後日の単独申請はできないため注意が必要です。還付申請には振込口座情報とマイナンバーの記載が求められます。

【軽自動車】解体届出(一時使用中止後に解体した場合)

自動車検査証返納届(一時使用中止」を行った後に、その軽自動車を解体した場合に必要な手続きです。すでに車検証は返納済みのため、解体が完了したことを届け出る手続きになります。
申請先は最寄りの軽自動車検査協会の事務所・支所です。なお、一定の条件を満たす場合は郵送による申請も認められています。郵送申請が可能なのは、一時使用中止の手続き済みであること・重量税の還付申請がないこと・引取業者から解体完了の報告がなされていること、の3つをすべて満たす場合に限られます。郵送にかかる費用(返信用封筒代を含む)は申請者の負担です。
必要書類は以下のとおりです。
  • 移動報告番号(引取業者から通知されたもの)
  • 解体届出書(軽第4号様式の3)※当日窓口で入手可。または軽自動車検査協会Webサイトからダウンロード可
  • 申請依頼書(所有者以外が手続きする場合)
申請手数料は無料です。

【普通車】輸出抹消仮登録(海外に持ち出す場合)

自動車を海外に輸出する場合は、輸出前に「輸出抹消仮登録」を行い、輸出後に「輸出抹消登録」を完了させる2段階の手続きが必要です。
申請先は運輸支局です。申請書には輸出予定日の記入が必要なため、事前に輸出スケジュールを確認しておきましょう。
必要書類は以下のとおりです。
  • OCR申請書(第3号様式の2)
  • 手数料納付書(手数料印紙貼付)
  • 所有者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 自動車検査証(原本)
  • ナンバープレート(前後2枚)
  • 委任状(代理人が申請する場合・実印押印)
なお、外国人や外国法人が申請する場合は、印鑑登録証明書の代わりにサイン証明書などの代替書類の提出が認められています。輸出抹消仮登録の完了後、実際に輸出が完了したら輸出証明書を運輸支局に提出して「輸出抹消登録」が完結します。

自分で廃車手続きをする流れ

廃車手続きは、普通車と軽自動車で申請先が異なります。事前に車種を確認したうえで、以下の流れに沿って手続きを進めてください。どちらも受付は平日のみのため、スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。

普通車の場合(運輸支局で手続き)

普通車の廃車手続きは、次の流れで進みます。
①解体業者へ車を引き渡し、移動報告番号を受け取る
……リサイクル事業者(引取業者)に車を引き渡すと、解体完了後に「移動報告番号(解体報告番号)」が通知されます。永久抹消登録の申請にはこの番号が必要なため、通知を確認してから次のステップへ進んでください。
②ナンバープレートを取り外す
……前後2枚のナンバープレートは、運輸支局の窓口で直接返納します。ドライバー等で取り外して持参してください。紛失・盗難の場合は、警察に届け出た際の届出警察署名・受理番号を記載した「理由書」が必要です。
③必要書類を準備する
……現在の住所や氏名が車検証の記載と異なる場合は、住民票や戸籍の附票も必要です。自動車重量税の還付を受ける場合は振込口座情報とマイナンバーも用意してください。代理人が申請する場合は実印を押した委任状も必要です。
委任状の様式や書き方は以下の記事で詳しく解説しております。
自動車登録の委任状とは?書き方・様式・印鑑まで完全解説
④管轄の運輸支局(陸運局)へ行く
……ナンバープレートの管轄地域を担う運輸支局に出向きます。運輸支局の敷地内または隣接地に軽自動車検査協会が併設されている場合がありますが、普通車の手続き窓口は運輸支局です。間違えないよう注意しましょう。
⑤申請書類を記入・窓口に提出する
……運輸支局の窓口でOCR申請書と手数料納付書を入手し、必要事項を記入します。手数料がかかる場合は印紙を購入して納付書に貼付したうえで、登録窓口に提出します。重量税の還付申請は永久抹消登録申請書と兼用書式になっているため、同時に処理できます。
⑥抹消登録証明書を受け取る
……手続きが完了すると、永久抹消登録の場合は「抹消登録証明書」、一時抹消登録の場合は「登録識別情報等通知書」が交付されます。いずれも将来の再登録や各種手続きで必要になる重要書類のため、大切に保管してください。

軽自動車の場合(軽自動車検査協会で手続き)

軽自動車の廃車手続きは、ナンバープレートの管轄を担う軽自動車検査協会の事務所・支所で行います。普通車とは申請先も書類名も異なるため注意が必要です。なお、解体を伴わない「一時使用中止」の場合は、下記の①解体業者への引き渡しは不要です。
①解体業者へ車を引き渡し、移動報告番号を受け取る
……引取業者から交付される使用済自動車引取証明書に記載されたリサイクル券番号(移動報告番号)を確認します。解体完了の報告がなされた後に申請してください。一時使用中止の場合はこのステップは不要です。
②ナンバープレートを取り外す
……前後2枚のナンバープレートを取り外し、軽自動車検査協会の窓口で返納します。紛失した場合は「車両番号標未処分理由書」の提出が必要です。
③必要書類を準備する
……所有者以外が申請する場合は「申請依頼書」も必要です。重量税の還付を受ける場合は振込口座情報とマイナンバーも用意してください。
④管轄の軽自動車検査協会の事務所・支所へ行く
……ナンバープレートの管轄地域を担う軽自動車検査協会の事務所・支所へ出向きます。受付は平日のみのため、営業時間を事前に確認しましょう。書類記入の時間を考慮し、時間に余裕を持って来場することをおすすめします。
⑤申請書類を記入・窓口に提出する
……解体届出書等を窓口に提出します。手続き完了後、軽自動車税の停止申告が必要な場合は、軽自動車検査協会の敷地内に設置されている自動車税事務所(税申告窓口)でも手続きを行いましょう。
⑥手続き完了・証明書を受け取る
……一時使用中止の場合は「自動車検査証返納証明書」が交付されます。将来再び乗る場合に必要になるため、大切に保管してください。自動車重量税の還付がある場合は、後日申請した口座に振り込まれます。

廃車手続きをするとお金が戻ってくる?税の還付の条件

廃車手続きをすると、条件を満たした場合に自動車重量税や自賠責保険料が返金されます。金額は大きくないケースもありますが、見逃すと損になるため、しくみと条件をきちんと把握しておきましょう。

自動車重量税還付の条件

自動車重量税は、車検時に次の車検までの期間分を前払いする税金です。廃車にした場合、前払い分のうち未経過分(使わなかった期間に相当する分)が戻ってきます。ただし、還付を受けるには以下の条件をすべて満たす必要があります。
まず、永久抹消登録(または軽自動車の解体返納)と同時に還付申請を行うことが必要です。解体が完了した後に単独で還付申請することはできません。国税庁の定める様式では、自動車重量税還付申請書は永久抹消登録申請書と一体になっているため、申請のタイミングを逃すと還付を受けられなくなります。
次に、車検の残存期間が1ヶ月以上あることが条件です。残存期間が29日など1か月を切っている場合は還付対象外となります。また、自動車リサイクル法に基づき許可を受けた解体業者によって適正に解体されていることも前提条件です。

自動車重量税の還付は月割りで計算される

還付される金額は、次の計算式で算出されます。
還付金額 = 納付済みの自動車重量税額 × 車検残存期間(月単位)÷ 車検有効期間(月単位)
例えば、車検時に15,000円の重量税を納付し、2年(24か月)の有効期間のうち12ヶ月が残っている場合、還付額は7,500円です。残存期間は月単位で計算され、端数の日数は切り捨てとなります。
還付申請には振込先の口座情報とマイナンバーの記載が必要です。本人が申請する場合は個人番号カード(または通知カード+身分証明書)を持参してください。代理人が申請する場合は、委任状・所有者の個人番号カードの写し(または通知カードの写し)・代理人自身の身分証明書がそろって初めて申請できます。還付金は審査後に指定口座に振り込まれますが、受け取りまでにはおおむね2ヶ月半程度かかります。

自賠責保険を返金してもらうには

自賠責保険も廃車後に中途解約することで、残存期間に応じた保険料の返金が受けられます。返金額の計算式は次のとおりです。
返戻金 =(加入時に支払った保険料 ÷ 保険期間の月数)× 解約手続き完了翌月以降の残存月数
ただし、返戻金から解約・返金にかかる手数料が差し引かれるため、単純な月割り計算の金額より少なくなります。また、自動車重量税と同様に残存期間が1か月未満の場合は返金が発生しません。
手続きは廃車完了後に加入保険会社へ連絡し、中途解約を申請します。その際に必要なものは以下のとおりです。
  • 抹消登録証明書または登録識別情報等通知書(一時抹消の場合)
  • 自賠責保険証書
  • 振込先口座情報
車検有効期限まで1年以上残っているケースでは数千円〜1万円以上になることもあります。廃車が決まったら、重量税の還付申請と合わせて早めに手続きを進めることをおすすめします。

廃車手続きを行政書士に依頼すべきケース

「廃車買取業者やディーラーに頼めば全部やってくれる」と思っている方も多いですが、廃車手続きの中でも書類作成や運輸支局・軽自動車検査協会への申請代行は、法律上、行政書士のみが行える業務です。廃車買取業者やディーラー経由で手続きが進む場合も、実際には提携している行政書士が対応しています。
こちらは2026年の行政書士法改正により、従来より明確に違法化されました。詳細や必要な対策は行政書士法改正の解説記事にて解説しております。
提携先の行政書士の費用が割高に感じる場合や、ここで挙げるような複雑な事情がある場合は、自分で申請取次対応の行政書士を探して依頼する方法も検討しましょう。

相続した車を廃車にする場合

所有者が亡くなった後、その車を廃車にする場合は通常の手続きより書類が増え、手間も大きくなります。
普通車の永久抹消登録では、申請人と被相続人の相続関係を証明するため、被相続人の出生から死亡までをたどれる戸籍謄本と、相続人全員との関係がわかる書類の収集が必要です。相続人が1名の場合でも、代表相続人の印鑑登録証明書や、遺産分割協議書(車の査定額が100万円以下の場合は遺産分割協議成立申立書も可)の作成が求められます。
軽自動車の場合は、普通車と異なり廃車であれば相続に関する書類の提出は基本的に不要で、車検証・ナンバープレート・申請依頼書(認印可)で手続きできます。ただし、一時使用中止済みの車を他の相続人名義に変更してから廃車にするケースでは、所有者変更記録申請(譲渡証明書・新所有者の住所証明書類が必要)が絡むこともあります。
このように相続が絡む廃車では書類収集の手間が大きく、遺産分割協議書の作成や他の相続手続きと合わせて行政書士に一括依頼することで、時間と労力を大幅に節約できるでしょう。

書類紛失・ローン残債・法人名義など複雑な状況の場合

通常の廃車手続き以上に対応が求められるケースがいくつかあります。こうした状況では、個人で対応しようとすると追加の窓口対応が発生したり、手続きが止まったりすることがあるため、行政書士への依頼が現実的です。
たとえば、車検証を紛失している場合は、運輸支局または軽自動車検査協会でまず再交付の手続きを済ませる必要があり、手続きの手間が増えます。ローン返済中の車は所有者がローン会社や販売店の名義のままになっていることが多く、廃車の前にローン会社への連絡と所有権解除の手続きが必要です。解除の書類のやり取りには1〜3週間かかるケースもあります。
法人名義の車を廃車にする場合は、印鑑証明書に加えて商業登記簿謄本などの書類が追加で必要となります。また、ナンバープレートを紛失・盗難した場合は、警察署への届出と受理番号を記載した理由書の提出が必要です。

行政書士への依頼にかかる費用目安

行政書士に廃車の申請代行を依頼した場合の費用は、手続き代行費用だけで5,000〜15,000円程度が相場です。書類の取得代行も合わせて依頼する場合は、取得実費が別途加算されます。
報酬体系は事務所によって異なり、書類作成と申請代行を含む固定料金型と、採択・完了後に報酬が発生する成功報酬型があります。複数の事務所を比較するうえでは、費用だけでなく対応範囲(書類取得の代行が含まれるかどうか等)も確認しておくとよいでしょう。

廃車手続きでよくある質問

廃車手続きについて、実際に多く寄せられる疑問をまとめました。状況が複雑な場合は無理に自分で進めず、行政書士に相談してみましょう。

Q. 所有者が亡くなった場合(相続)はどうする?

普通車と軽自動車で対応が異なります。
普通車(登録自動車)の場合、故人名義のままでは抹消登録の申請権限がないため、まず相続人への移転登録が必要です。ただし、移転登録と永久抹消登録は同時に申請(移転抹消同時申請)することができます。申請には被相続人と相続人との相続関係を証明する戸籍謄本類、遺産分割協議書(または遺産分割協議成立申立書)、相続人の印鑑登録証明書などが必要です。
軽自動車の場合は相続手続きが不要で、車検証・ナンバープレート・申請依頼書(認印可)をそろえて軽自動車検査協会で解体返納または自動車検査証返納届の手続きができます。将来的に再登録する場合は改めて登録手続きが必要です。なお、所有者がローン会社名義のまま残っているケースでは、先にローンの精算と所有権解除が必要になります。

Q. ローンが残っている車の廃車はどうする?

ローン返済中の車は、車検証の所有者欄がローン会社やディーラーになっていることがほとんどです。この場合、残債を完済して所有権解除の手続きを行わない限り、廃車にすることができません。
まず車検証の所有者欄を確認し、ローン会社またはディーラーに連絡して残債の有無を確認してください。残債を完済すると所有権解除の書類が発行されますが、書類の準備に1〜3週間程度かかる場合があります。所有権が解除され、自分名義になって初めて廃車手続きに進めます。なお、車の買取価格で残債を相殺できるケースもあるため、廃車買取業者に状況を相談してみる方法もあります。

Q. 名義が違う車(家族名義・他人名義)はどうする?

車検証上の所有者と手続きをする人が異なる場合は、所有者本人からの委任が必要です。普通車の場合は所有者の実印が押された委任状が、軽自動車の場合は申請依頼書(認印可)が必要です。
なお、使用者(日常的に乗っている人)と所有者(車検証上の名義人)が異なるケースは珍しくありません。家族名義の車の場合でも手続き上の区別はないため、所有者本人に委任状の作成・署名を依頼するのが原則です。所有者に連絡がとれない、または協力が得られない場合は手続きが進められなくなるため、早めに行政書士に相談することをおすすめします。

Q. 車検証を紛失した場合はどうする?

車検証を紛失している場合は、廃車手続きの前に再交付の申請が必要です。普通車は管轄の運輸支局で再交付を申請できます。軽自動車は管轄の軽自動車検査協会の事務所・支所で再交付申請が可能です。いずれも申請書類・手数料・本人確認書類などが必要になるため、訪問前に必要書類を確認しておきましょう。
ナンバープレートを紛失・盗難した場合は、警察へ届け出たうえで届出警察署名や受理番号を記載した「車両番号標未処分理由書」(普通車では「理由書」)を提出することで、ナンバーなしでも手続きを進めることができます。

Q. 動かない車・事故車の廃車手続きはどうする?

自走できない車であっても、廃車手続き自体は通常と同じ流れで行えます。全損・水害車・故障車なども対象です。
手続き上の問題は生じませんが、車を解体業者まで運ぶ手段を確保する必要があります。レッカー引き取りに対応している廃車買取業者や解体業者に依頼すれば、費用の一部または全部を負担してもらえるケースもあります。解体業者に車を引き渡した後、引取業者から移動報告番号が通知された時点で、はじめて抹消登録の申請が可能になります。

まとめ

廃車手続きは、車種(普通車か軽自動車か)と目的(一時的な使用中止・解体・輸出)によって、申請先・必要書類・費用がすべて異なります。手続きをしないまま放置すると自動車税が課税され続けるほか、重量税や自賠責保険料の還付も受けられなくなるため、車を手放すことが決まったら早めに動き出しましょう。
廃車・自動車登録に対応した行政書士をお探しの方は、国内最大級の行政書士検索サイト「申請Navi」をご活用ください。地域や対応分野から絞り込んで、自分の状況に合った行政書士をすぐに見つけることができます。

この記事の執筆・監修者

氏名:遠藤 秋乃
行政書士・司法書士資格保有

経歴:

大学卒業後、不動産会社で4年・メガバンクの融資部門での勤務2年を経る。

2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かしてさまざまな分野の相談に200件以上対応。

入管手続き、相続、企業法務、事業承継などさまざまな分野について最新事例の調査・研究を進め、行政書士資格保有者の立場から、読者に良質な情報をお届けしています。